渋沢栄一の人物像について興味を持ったきっかけ
日本資本主義の父といわれる渋沢栄一。しかし、彼の青春時代は、ペリー来航で尊皇攘夷論が巻き起こり、渋沢栄一も攘夷を志して同志を集め、幕府を打倒する作戦を練っていました。日本の未来のために一人の農民が命をかけて立ち上がろうとする気概は凄いとしか言いようがありません。
今の時代に、日本のために命をかけて何かを成し遂げようとする若者はいないでしょう。裏を返せば、それほど幕末の時代は日本国家にとって危機的なな状況にあったとも言えるかもしれません。
幕末の英雄を挙げれば、西郷隆盛、坂本龍馬、吉田松陰、勝海舟、伊藤博文、木戸孝允、福沢諭吉、板垣退助など、多くの人の名前が頭に浮かびます。そんな中で、渋沢栄一は政治家でもなく官僚でもなく、農民出身の一般人でありながら国民を生活を豊かにするために奔走した異色の英雄だと思うのです。
そんな渋沢栄一は、どういう人物だったのか?大河ドラマ「青天を衝け」の放送が決まったときから、私は渋沢栄一の人物像についてとても興味を持ちました。
特に、渋沢栄一の若かりし頃は、一農民でありながら国の将来を憂い、倒幕へと突き進んだこともあったと言います。彼の人生で何かひとつでもボタンをかけ違えていたら、若くして命を落としていたかもしれません。
そんな危うい幕末から明治にかけての時代を生き抜き、彼を突き動かした原動力は何だったのか?そして、そんな渋沢栄一とはどういう人物だったのか?大河ドラマ「青天を衝け」を通じて、彼の人物像や性格を掘り下げてみました。
大河ドラマ「青天を衝け」から読み解く渋沢栄一の性格
大河ドラマ「青天を衝け」から読み取れる渋沢栄一の性格について考察してみました。あくまでも、一視聴者としての意見です。
強情っぱり(負けず嫌い)
強情っぱりで負けず嫌いという性格は、ある意味いろんな歴史上の英雄たちに共通する性格でもあります。若き栄一にとってライバル心を燃やした相手は、喜作や長七郎でした。喜作は、栄一にとって恋のライバルにもなり、お千代の嫁取りで剣術で競い合います。また、藍玉の商いでは父親ともライバル心を燃やし、村の不作の年に栄一が藍玉を買い付けて危機を救いました。
負けず嫌いの強情っぱりは、得てして自己顕示欲ばかりが強くなって失敗しがちですが、栄一の場合には地道な努力がベースにあったことから、決して無謀な行動ではなかったことが彼を成功に導いたのではないかと思いました。
向上心が旺盛(勉強熱心)
幼い頃から読書好きで、世の中の出来事にも興味を持ち勉強熱心だったことは、大河ドラマ「青天を衝け」を見ていてもひしひしと伝わってきます。彼の凄いところは、読書から情報を得るだけではなく自分の中でよく考えて、その情報を自分の力にできるところです。そういう向上心があったからこそ、父親の役に立ちたいと思って行動した時にも、やや背伸びはするものの大失敗をすることがなかったのだと思います。
チャレンジ精神が強い
考える力と行動する力。これもまた、英雄にとっては不可欠な要素だと思います。栄一は、若い頃から父親について商売のやり方を叩き込まれていたようです。この力は、晩年に彼の活躍を大いに支えることとなります。若き栄一は、村の農民たちが集まる場で、藍の出来栄えを相撲の番付に見立てて評価し、競争意識と情報交換による技術の底上げを狙いました。
自分の考えたアイデアを試してみたい、新しいことに挑戦してみたいというカレのチャレンジ精神と行動力は素晴らしいと感銘を受けました。
偉い人に対しても物怖じしない度胸の持ち主
正しいと思うことはに関しては、相手が目上の人であっても自分の考えを主張するタイプです。これは、現代社会においても「イエスマン」や「忖度」という行動が多い会社組織の中で評価されるべきポイントだと思います。熟考した自分の考えを持っていること、そして、強いものに対しても物怖じしない度胸が座っていること。これが、栄一の秀でた性格だと思えてなりません。
正義感が強い(理不尽を許せない)
若き栄一は、父・市郎右衛門の名代として、多額の御用金を申し渡された際に、その理不尽さに歯向かおうとします。こんな理不尽なことがまかり通る世の中はおかしい、正さなければなならないと栄一は感じたことでしょう。この時の悔しい思いが、おそらく彼の人生の中で「国民の生活を豊かに」という行動の原動力になっていったことは間違いないと思います。
正義感の強さは、一般的には政治家向きの性格かもしれません。栄一は、一時期は明治政府の役人になったこともありました。しかし、官僚を辞して民間人として世の中を変えようとします。彼のこの先見性は、今の時代にも通じるものがありそうです。新しいものは、常に民間主導で生まれるものだと…。
一本気・一途(いちず)
コレだと心に決めたものは、一途に追い続ける。その一本気で猪突猛進な性格は、お千代を嫁にしたというだけではなく、明治の世になって若き頃の理不尽な経験がバネとなって「努力が報われる世の中、万民にとって豊かな世の中を作りたい」という思いとなって邁進していったのでしょう。志したものを最後までやのの通す意思の強さは、素晴らしいものがあります。
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