国際共同制作 特集ドラマ「太陽の子」
放送 2020年8月15日(土)午後7時30分~8時50分[NHK総合]
柳楽優弥×有村架純×三浦春馬
戦時下の科学者の苦悩を描く青春群像劇
第二次世界大戦末期、京都大学の物理学研究室に海軍から下された密命は、核分裂のエネルギーを使った新型爆弾を作ること。核エネルギーの研究を進める一方で、科学者として兵器開発をすすめるべきなのか苦悩する研究者たち。研究好きの石村修(柳楽優弥)は、純粋に実験に取り組もうとするが、時代の波に翻弄されていく。弟の裕之(三浦春馬)もまた、戦争の真実に向き合わざるを得ない。そして、兄弟が秘かに想いを寄せる朝倉世津(有村架純)は未来を語ろうとするが・・・。戦争に翻弄された若者たちの悲劇の物語。
柳楽優弥、有村架純、三浦春馬ら、人気俳優が戦争に翻弄された若者たちを演じる。国際共同制作で作られた映画「太陽の子」とは違う視点で描く、もう一つのドラマです。
- 作・演出 黒崎博(NHK制作局)
- 音楽 Nico Muhly(ニコ・ミューリー)
- 出演 柳楽優弥、有村架純、三浦春馬、三浦誠己、宇野祥平、尾上寛之、渡辺大知、葉山奨之、奥野瑛太 / イッセー尾形、山本晋也、國村隼、田中裕子 ほか
- 制作統括 土屋勝裕、浜野高宏、山岸秀樹
- 共同プロデューサー Ko Mori(コウ・モリ ELEVEN ARTS)、佐野昇平(KOMODO Productions)
- 共同制作 ELEVEN ARTS Studios
あらすじ
太平洋戦争末期、京都帝国大学の物理学研究室で原子の核分裂について研究している石村修(柳楽優弥)は、海軍から命じられた核エネルギーを使った新型爆弾開発のための実験を続けていた。空襲の被害を防ぐための建物疎開で家を失った幼なじみの朝倉世津(有村架純)が、修の家に居候することになる。そこに修の弟の裕之(三浦春馬)が戦地から一時帰宅し、久しぶりの再会を喜ぶ。爆弾開発の実験がなかなか進まないなか、研究室のメンバーは研究を続けていく事に疑問を持ち始める。そして、裕之が再び戦地へ行くことになったやさき、広島に原子爆弾が落とされたという知らせが届く。研究者たちは広島に向かい、そこで焼け野原になった広島の姿を目撃するのだった。
見どころ・心に焼き付いた名場面
- 砂浜で入水自殺をしようとする裕之を修が止めるシーン
一時帰宅した裕之は明るく振る舞っていたが、実は仲間が次々と特攻で戦死しているのに自分だけがこうして生かされていることにもどかしさを感じていた。
- 母・フミが修に言ったひと言
広島・長崎の原爆が落とされ、次は京都かもしれないと噂され、母と世津には疎開させて自分は比叡山から原爆を見る…と言う修に対して母が言った。「科学者とはそんなに偉いんか」
- 裕之の手紙
修が広島から帰ると、母・フミは仏壇の前に座り、世津は取り乱していた。戦地から裕之の手紙が届いたのだ。そこには、死を覚悟した裕之の思いが綴られていた。
主な登場人物・キャスト
石村修 柳楽優弥
京都帝国大学の学生で、原子物理学を志す科学者の卵。実験に夢中になると周りが見えなくなるので仲間から「実験バカ」と呼ばれている。アインシュタインの理論に憧れる一方で、難しい計算が大の苦手なのがコンプレックス。幼なじみの世津にひそかに思いを寄せている。
朝倉世津 有村架純
修と裕之の幼なじみ。空襲被害を避けるための建物疎開で家を取り壊され、修の家に居候することに。軍の紡績工場で働きながら、誰よりも強く、終戦後の「未来」を考えている。
石村裕之 三浦春馬
修の弟。陸軍の下士官として戦地にいるが、肺の療養のため帰ってくる。前線での壮絶な体験を顔に出すことなく、家族に対して明るく、優しくふるまう。裕之もまた世津に思いを寄せている。
澤村 イッセー尾形
京都五条坂にある陶器屋「釜いそ」の主。焼き物の釉薬(ゆうやく)として使用している「硝酸ウラン」を修に提供している。
朝倉清三 山本晋也
世津の祖父。世津と二人暮らしだったが、建物疎開で家を失い、世津と一緒に修の家の離れに移り住むことになる。
荒勝文策 國村準
京都帝国大学理学部の教授。日本の原子物理学の第一人者。アインシュタインとも交流を持ち、徹底した実験主義で原子核エネルギーの秘密に迫ろうとする。日本の敗色が濃くなる中、海軍の依頼で新型爆弾の開発を引き受ける。
石村フミ 田中裕子
修と裕之の母。軍人だった夫を失ってからは女手一つで息子たちを育ててきた。戦時下で暮らしが厳しくても平常心を忘れることなく、違う道をそれぞれに歩む息子たちをじっと見守っている。
出演者・スタッフのコメント
柳楽優弥さん
科学は人間にとって善にも悪にもなり得る。
きっと主人公も思い悩んだであろう問題に僕自身も真剣に向き合いました。
この役を演じる事への責任を今でも感じています。
全スタッフ、全キャスト一丸となって丁寧に取り組んだ作品です。ご期待下さい。
7月8日完成試写会でのインタビューコメントより
『科学者を目指している人物を演じることは今までなかったので、演技する以前に勉強しなければならないことがたくさんあったことが大変だった。学びながら撮影することは、今回の撮影ならでは。あまり他の現場ではない経験をさせていただきました。』
有村架純さん
「人が亡くなる悲しみよりも、明日は自分が死ぬかもしれないという恐怖。次第に何事にも無感動になり人間としての感覚が麻痺していく。明日を今日をどう生き抜くか、人々が必死に毎日を耐え忍んだそんな状況下でも、幾つもの美しい朝を迎え、澄んだ空を見上げた人々がいたはずだと私は思いました。戦争が起きていることが嘘みたいに、その時ばかりは一瞬でも忘れられる。世津はその一人。今日を生きたことを後悔しないように、毎日訪れてくれる日常を愛おしく噛み締めた女性。そう生きることが彼女なりの覚悟として捉え演じました。飲み込んだ言葉もきっとたくさんあったはず。戦争を経験していない、生きたことのない時代をイメージするには限界があるかもしれませんが、女性の凄みはいつの時代も変わらずにあるということを学びました。」
7月8日完成試写会でのインタビューコメントより
『世津は戦時中を懸命に生きようとした女性なんですが、監督もおっしゃったように死と隣り合わせで過ごす毎日というものが想像できなくて、当然なまはんかな気持ちでは演じられないですし、毎日緊張感を持って現場にいました。その中で、世津として一番何を大事に持っていようかと考えた時に、鮮明に見える緑とか美しい空とか風とか音とか五感をとても大事にして毎日をいとおしく生きていようというふうに決めて現場に立っていました。』
三浦春馬さん
散る事を見据え、残された日々をどう過ごすべきか…
家族に対して気丈に振る舞う学徒出陣兵がどれだけ辛かったか…
若くして、自分が居ない未来に希望を託す青年の想いを役を通して考えさせられました。世界で唯一の被爆国の日本ですが、この作品を多くの人にご覧いただいて、今まで以上に日本が平和と希望を願える美しい国になるよう祈ります。
7月8日完成試写会でのインタビューコメントより
『戦地で神風として散っていく仲間を目のあたりにしている彼の経験から、療養明け自分ももしかしたら散る運命にあるのかもしれないということを一瞬たりとも忘れたことはなかったと思うんです。裕之の明るい部分でも漆黒とした感情に移り変わるというむごさみたいなものが表現できたらいいのかなと現場では思ってました。』
作・演出 黒崎博のコメント
「太陽の子」に込めた思い
一冊の古い日記を手にしたことが、始まりでした。そこには科学に情熱を注ぎ、青春を燃焼させる若い研究者の日常が書かれていました。原子物理学という新しい学問へのじりじりするような憧れと、一方でそれを兵器に転用することへの疑問。その姿は知らない誰かではなく、私たちと同じように生き方を探し続ける等身大の若者として迫り、僕は心を揺さぶられました。どうしてもその青春の形を物語にしたくなり、シナリオを書きました。テーマに強く共鳴してくれた人々によって、この物語は作られました。海外からも大勢のスタッフが参加しています。国籍に関係なくたくさん議論し、考えました。柳楽優弥さんは日本海に飛び込み、比叡山を駆けずり回って演じてくれました。キャスト・スタッフと合宿しながら撮り進めた「格闘の記録」が一人でも多くの方に届くことを願っています。
制作統括 土屋勝裕のコメント
新しい映像表現への挑戦
太平洋戦争の末期に日本でも原子爆弾を開発しようとしていた科学者たちがいた。その事実に向きあい、科学と戦争というテーマに真正面から挑む作品を、8Kという最新の映像技術を使って作り上げました。京都帝国大学のほこりっぽい研究室で、汗を垂らしながら物理の複雑な方程式と格闘する若者たちの姿が、まるでその場にいるかのようにリアルに迫ってきます。物資が不足するなかで必死にかき集めた黄色いウラン、原子が崩壊するときにみせる青緑色の光、色のなくなった原爆投下後の広島の焼け野原、今までに見たことのない映像が、当時にタイムスリップしたかのように、ドラマの空間へと見るものを引きずり込みます。重く苦しいドラマですが、どんな時代でも精いっぱいに生きようとしている人がいる、その姿を最新の8K映像で目撃していただきたいと思います。
特集ドラマ「太陽の子」の再放送・見逃し動画配信は?
特集ドラマ「太陽の子」の再放送は、2020年8月19日(水)午後11時40分〜放送される予定です。なお、見逃し動画配信については、現在のところ未定です。
関連番組
BS1スペシャル「原子の力を解放せよ~戦争に翻弄された核物理学者たち~」
放送 2020年8月16日(日)午後10時〜[BS1]
太平洋戦争末期、アメリカは日本の「原爆開発」を疑った。いったい何が?米国議会図書館で見つかった新資料や関係者の話などから、戦後75年目の真相を明らかにする。
太平洋戦争末期、海軍は「原子の力を使った新型爆弾の可能性」を京都大学の科学者に探らせます。彼らの専門は原子核物理学、物質の本質に迫る基礎研究。複雑な思いを抱えながら研究を続けます。そして、広島・長崎への原子爆弾投下。爆心地で調査を行った彼らが見たのは、原子の力が生んだ膨大なエネルギーが破壊した世界でした。アメリカに没収された資料と関係者の話から、科学者たちの思いを描き、科学技術が持つ光と陰に迫るります。
【出演】吉川晃司
【語り】中條誠子
【声】野島昭生,松本保典,目黒光祐,うすいたかやす
>> BS1スペシャル「原子の力を解放せよ 戦争に翻弄された核物理学者たち」の再放送・見どころは?
「BS1スペシャル」を見逃した方は、ユーネクストの31日間無料体験で!
初回登録時にもらえるU-NEXTポイントを使って
「まるごと見放題パック」に入れば、NHKの人気番組が見放題となります。
31日間の無料体験期間を経過すると有料となりますのでご留意ください。解約手続きは、簡単にできます。