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目次
ドラマ10「ディア・ペイシェント 〜絆のカルテ〜」
放送 2020年7月17日(金)スタート・全10回
毎週金曜日 午後10時〜[NHK総合]
再放送 毎週水曜日 午前1時25分(火曜日深夜)
現代日本の医療界の現実を抉(えぐ)りながら、医師たちの成長と挫折、喜びと悲しみを綴(つづ)る、感涙のヒューマンサスペンスストーリー
昨今増え続けるクレーマー患者たちに悩む女性医師が、先輩医師や同僚とともに、患者たちと真摯に向き合い寄り添おうと努力する中で、人と人との絆を見つけ出してゆく物語。
主人公の真野千晶役に貫地谷しほりさん、信頼のおける先輩女医・浜口陽子役に内田有紀さん、“最凶のモンスター・ペイシェント”・座間敦司役に田中哲司さんを迎え、感涙のハートフルドラマを、時にサスペンスを交えて描きます。
- 原作 南杏子(「ディア・ペイシェント」)
- 脚本 荒井修子
- 音楽 兼松衆
- 主題歌 宮本浩次「P.S. I love you」
- 出演 貫地谷しほり、内田有紀、田中哲司、浅香航大、高梨臨、浜野謙太、永井大、鷲尾真知子、升毅、竜雷太、石黒賢、朝加真由美、平田満、伊武雅刀 ほか
- 制作統括 真鍋斎(NHKエンタープライズ)、髙橋練(NHK)
- 演出 西谷真一、福井充広、武田祐輔
あらすじ
病院を「サービス業」と捉え、「患者様プライオリティー」を唱える佐々井記念病院の医師たちは、さまざまな問題を抱えていた。一人は、執ように嫌がらせを繰り返す“モンスター・ペイシェント”に付きまとわれる若き女性医師。一人は、明るい性格で患者からも好かれているが、大きな医療訴訟を抱え悩む先輩女医。一人は患者とは一定の距離を置きながらも、にん傷沙汰に巻き込まれてしまう同僚医師。果たして、彼女らは、希望を見いだせるのか?
原作『ディア・ペイシェント』 南杏子
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病院を「サービス業」と捉える佐々井記念病院の常勤内科医・千晶は、押し寄せる患者の診察に追われる日々を送っていた。そんな千晶の前に、執拗に嫌がらせを繰り返す患者・座間が現れた。病める人の気持ちに寄り添いたいと思う一方、座間をはじめ様々な患者たちのクレームに疲弊していく千晶の心の拠り所は先輩医師の陽子。しかし彼女は、大きな医療訴訟を抱えていた。失敗しようと思って医療行為をする医師はひとりもいない。なのに、患者と分かり合うことはこんなにも難しいのかー。現役医師が医療に携わる人々の苦悩と喜びを綴る、感涙長篇。
主な登場人物・キャスト
真野千晶/貫地谷しほり
民間の中規模総合病院、医療法人社団医向会・佐々井記念病院に勤務する内科医。半年前に大学病院を辞めてこちらに移った。「患者を診て治療する」というシンプルな医師像に立ち返りたいと思い、「患者を大事にする」と評判だった佐々井記念病院を選んだ。しかし、内情は評判とは少し違っており、病院の「患者様第一主義」「患者獲得競争」に振り回されて、納得のいかない〝3分診療〟を行わなくてはいけないジレンマを抱えている。その上、外来、病棟、夜勤と寝る暇もない日々。あげく、「最悪のモンスター患者・座間敦司」に目を付けられ、苦しめられることになる。聴診や触診から病人特有の気配を感じ取ることに長け、医師としての第六感的な直観力に優れている。
浜口陽子/内田有紀
千晶の先輩内科医。佐々井記念病院では勤続4年。いつも明るく快活でサバサバした性格の女性。患者に振り回されがちな千晶に的確なアドバイスをしたり、かばったりなど頼れる存在。院内のスタッフや患者たちで陽子を慕う者は多い。夫は母校の医大の同期生で今は、母校の細胞免疫学教室の研究員。現在、海外研修でアメリカにいる。実は5年前、佐々井記念病院に来る前に勤務していた青森の病院で行った処置で、患者が死亡する医療事故を起こし、遺族から訴訟を起こされている。
座間敦司/田中哲司
ある日、突然、千晶の前に現れたモンスター患者。「薬をなくしたから再処方してくれ」というものから、要求をエスカレートさせて千晶を困らせ、恐怖のどん底に陥れる。何故か千晶のプライベートの情報を知っているなど、気味の悪い存在でもある。さらには、千晶のデスクから物を持ち出したり、夜勤中に院内に侵入し、千晶を襲ったりとその行為は犯罪の領域に。母1人子1人。仕事を辞めて脳梗塞の後遺症で寝たきりの母を介護しており、みずからも糖尿病や腰痛、狭心症などを治療中。
金田直樹/浅香航大
千晶の同僚の内科医。通称・カネゴン。インターンを終えて佐々井記念病院に勤務しており、この病院の中では千晶の先輩である。「患者様第一主義」を掲げる運営側に対し、「クレーマーみたいな奴らも患者様かよ」と平然と反論する。少々口が悪く言いたいことをズバズバ言い、病院の方針にも臆せず平気で異を唱える。医師としての腕は良いが、口が災いして患者から恨まれることも多く、実は現在、訴訟を3つ抱えている。毒舌とは裏腹に男性的な魅力もあり、女性患者から思いを寄せられることも。それが思わぬ〝事件〟に発展することに。
真野万里/高梨臨
千晶の妹で、山梨にある父の診療所で医療事務の手伝いをしている。両親と同居し、認知症を患っている母の面倒も見ている。都会へ出て医者になる夢を叶えた姉・千晶にわずかな嫉妬がある。母の認知症が悪化し、施設に入ることになり、それにともなって父が引退を考え出したことから、千晶に実家に帰って診療所を継げと迫る。とはいえ、もともと姉妹仲は良く、都会でバリバリ働く姉が自慢でもあるので気持ちを尊重したい思いもある。だが、田舎で親の介護や病院の仕事に追われる自分の人生をつまらなく感じ、姉と自分を比べて落ち込むことも。
沼田晋也/浜野謙太
事務局主任。1年前、近隣のライバル病院、大原中央病院からこの病院に移ってきた。事務長の高峰は、ライバル院のスタッフだった沼田の採用をしぶった。だが、沼田が大原中央病院の経営方針に嫌気がさして辞めたこともあり、採用が決まった。控えめで目立たない男だが、地味な仕事もしっかりこなすので評価は高い。千晶のことも労わる気遣いの人。千晶が座間に襲われた時も、看護師とともに助けに駆けつける。
吉良大輔/永井大
千晶が通うロシアの格闘技・システマの講師。柔道、合気道、フィリピン武術である「カリ」など世界各国の格技を試し、システマにたどり着いた。クマのいる森をサバイブするような数々の命がけの訓練を受けてきたこともあり、体の屈強さだけではなく精神の強さと本当の意味での優しさを持っている、普段は謙虚で穏やかな男性。訓練を通して千晶の心を支える言葉も与えてくれる。
浅沼知恵子/鷲尾真知子
千晶の診察を受ける常連のモンスター患者。千晶に認知症ではないかと指摘されて激高し、自分は認知症ではないと言い張る。息子が家業の歯科医を継いで、手広く経営していることを自慢にしている。
高峰修治/升毅
佐々井記念病院の事務長。もともとはメガバンクの銀行員だったが、現院長の父である先代院長に経営手腕を買われて三顧の礼でこの病院に迎えられ、事務長となった。そういった経緯から、経営の実権はこの事務長が握っている。「患者様第一主義」をスローガンに医師やスタッフたちを厳しく締め付けている。何かというと〝患者様プライオリティー委員会〟なる〝院内裁判〟を開き、医師や職員を糾弾する。ライバル病院である大原中央病院や川崎矢上病院の動向に目を光らせており、熾烈を極める病院間の過当競争に勝ち、確固たる地域ナンバーワン病院になることを狙っている。
西園寺光隆/竜雷太
白金台の豪邸に暮らす資産家だが、年を取って認知症に。佐々井記念病院に入院している問題患者の一人。家族はほとんど見舞いに来ない。問題行動は、そうした冷えきった家族関係の寂しさに起因している。
佐々井宗一郎/石黒賢
佐々井記念病院の医院長。祖父も父もこの病院の医師で、宗一郎院長は三代目になる。脳神経外科医の権威として学会でも知られた存在で、信念を持った医師である。父を大変に尊敬しており、そのため、経営は父親の代から事務局を仕切っている高峰に任せて、自らは医業に集中していた父親の方針を尊重している。だからこそ、高峰のやり方に疑問を持ちつつも、反対できずにいる。
真野佑子/朝加真由美
千晶の母で専業主婦。数年前から若年性認知症を患っている。今までは軽度だったが、最近、状態が悪化し、時々徘徊したりするなど、万里が世話を出来る状況ではなくなったため、自宅近くの施設に入ることになる。忙しさにかまけて実家にも帰らず、そこまで佑子の状態が悪くなっていたことに気づいていなかった千晶は、認知症が進行した母の姿にショックを受ける。草花を愛し、家族を支えることを生きがいとしている心優しい人柄。
蓮見勇夫/平田満
佐々井記念病院の警備員。元神奈川県警・マル暴の刑事で、警察ともパイプがある。老いてはいるが刑事としての勘や腕っぷしは衰えておらず、頼りになる存在。常日頃からモンスター患者に悩まされる千晶ら病院スタッフたちの心強い味方であり、座間に狙われている千晶にも親身に接する。実は、佐々井院長とは旧知の間柄らしい。定年後、この病院の発展を陰ながら支えたいという思いで警備員になりたいと志願した。
真野徹/伊武雅刀
千晶の父。かつては東京の大学病院で出世コースを歩んでいたが、治療方法のない病気の論文を書くばかりの生活に疲れ、ちょうどその頃、山梨で診療所を開く医師を募集していたことから移り住み「真野診療所」を開業した。妻の認知症の悪化に伴い、診療所を閉めて妻と共に過ごす時間を作ろうと考えている。千晶に病院を継ぐことを無理強いするつもりはない。千晶は医師として父を尊敬しており、徹も千晶の医師としての成長を応援している。徹は山や自然になぞらえて、患者と医者の関係、「人が生きること、死ぬこと」など医師として大切なことを千晶に伝えていく。
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「ディア・ペイシェント 〜絆のカルテ〜」各回のあらすじ
第1回「夫婦の絆」 2020年7月17日放送
真野千晶(貫地谷しほり)は、首都圏の民間総合病院に勤める内科医。先輩の浜口陽子(内田有紀)らとともに、日々診療に追われている。ある日、妻にがんの疑いのある夫婦が患者としてやってくる。藤井宏明(佐野史郎)はいわゆるモンスターペイシェントで、千晶に何かとクレームを言ってくる。当事者である妻の典子(宮崎美子)はそんな夫に気をもんでいるが、夫には何も言えないでいた。千晶は医師でもある父・徹(伊武雅刀)や母・祐子(朝加真由美)の助言を得ながら、母が作ったアロマオイルを典子に渡す。そんな折、怪しげな患者・座間敦司(田中哲司)が千晶の前に現れて…。
第2回「命の重さ」 2020年7月24日放送
千晶(貫地谷しほり)は、入院している幼い患者・美和(新津ちせ)と出会い交流を深める。千晶は、美和が脳腫瘍で回復の見込みがないことを知り、何かと心を寄せていた。そんな折、リストカットをした若い女性・笠原祥子(小島藤子)が病院へ運ばれてくる。自ら命を絶ちたいと思う祥子は、生きたくても生きることもままならない美和に複雑な思いを抱くのだが、千晶ら医師たちの介在と美和の死に直面し、次第に心変わりしてゆく…。
第3回「愛の力」 2020年7月31日放送
ある日、千晶(貫地谷しほり)は、落し物の保険証を拾う。それは、知り合いの男性の物だったが、受け取りに現れたのは、女性!?トランスジェンダーの香織(戸塚純貴)は、胃潰瘍を患い千晶の病院に入院する。心と見た目は女性の香織の入院生活は何かと不自由だったが、千晶は、そんな香織に寄り添う。やがて香織と恋人の間に亀裂があることを知る。香織は、恋人に、いわゆる「普通の」結婚をして欲しいと身を引いたのだった。
第4回「心と体」 2020年8月7日放送
その日、千晶(貫地谷しほり)の元を訪れたのは、便秘に悩む女性・広瀬真弓(中島ひろ子)であった。彼女は常にイライラし、いわゆるモンスターペイシェントであった。挙句、座間(田中哲司)と結託して、千晶を困らせる。ある日、真弓が救急車で運ばれ、入院をするという事態が起きる。便意が高じて、イレウスを発症していていたのだった。心を開かない真弓に、愚直に寄り添う千晶だったが…。
第5回「去りゆくものへ」 2020年8月14日放送
介護士の瀬戸翔太(笠松将)は、千晶と、昼食の「煮卵おにぎり」を取り合う仲。ある日、瀬戸は、自身が介護を担当している認知症患者の西園寺光隆(竜雷太)とトラブルとなる。瀬戸は、裕福ではあるが家族から見放されている西園寺が、認知症の影響で暴力的な態度をとるのがいたたまれなくなり、西園寺に対して暴言を吐いてしまったのだ。病院内ではそれが大きな問題となり、瀬戸は辞職を決意する。千晶は引き止めるが、瀬戸の意思は揺るがない。
第6回「新しい風」 2020年8月21日放送
ある日、千晶(貫地谷しほり)のもとに、乳児を抱えた母親・岩見春菜(朝倉あき)が、ワクチン接種のために訪れる。ちょっとした行き違いから、千晶が誤ったワクチンを打とうとしたとクレームをつける春菜。その様子から、千晶は、春菜が育児ノイローゼに陥っているのではないかと疑う。数日後、千晶は春菜に呼び出される。ファミレスで働くある女性を殴ってくれと言うのだ。その場は事なきを得るが、どうやら、春菜の夫はその女性と浮気をしているらしい。幼い子を抱えて夫は浮気。千晶は春菜が追い詰められていることを知る。「そんな時は、立ち止まって自分の気持ちを確かめてみるの」千晶は、自分の母親・祐子(朝加真由美)から教えられた言葉を、春菜に伝える。
第7回「母子の事情」 2020年8月28日放送
千晶(貫地谷しほり)のもとを、「息子の薬をくれ」という年配の女性・遠山秋絵(松金よね子)が訪れる。無診察診療はできないと千晶は当然断った。ある日、秋絵が手の怪我で佐々井記念病院に運ばれてくる。どうやら、秋絵の息子は引きこもりで、手の怪我も息子の仕業らしい。しかし、秋絵は息子をかばって本当のことを言わない。秋絵は心臓の持病を患っていて、千晶は、怪我よりも心臓のことを案じ、循環器内科が専門の陽子(内田有紀)に相談を持ち掛ける。そのような中、佐々井記念病院の事務長・高峰(升毅)は、厄介払いをするように秋絵を別の病院に転院させた。しかし、後日、なぜか秋絵とその息子・譲二(六角慎司)が二人とも佐々井記念病院に運ばれてくる。二人とも怪我をしていた。秋絵は譲二の将来を悲観して、刺し違えようとしたのだった。千晶は二人の事情を知るが、家族間の問題には立ち入れないと、無力感を痛感する。そのような中、医療訴訟を抱えていた陽子の身に大変なことが起こる。
第8回「志をつないで」 2020年9月4日放送
信頼する先輩医師の陽子(内田有紀)が亡くなった。抱えていた医療訴訟がうまく運ばず、絶望したからに思えた。しかし、悲しみに打ちひしがれる千晶(貫地谷しほり)には、一つの疑問があった。「なぜ、人柄も良く責任感の強い陽子がこの選択をしてしまったのか?」陽子の両親や夫と会い、陽子の人となりに触れてゆく中で、千晶は、陽子が自らの保険金を患者遺族に渡すつもりでいたことを知る。今となっては、陽子の真意は誰にもわからない。しかし、千晶は、最後までの患者やその家族のことを最優先に考え行動してきた陽子の遺志を、自分が継がなければならないと心に誓う。
第9回「それぞれの矜持」 2020年9月11日放送
陽子(内田有紀)の死は、佐々井記念病院に様々な混乱を生み出した。院長の佐々井(石黒賢)と事務長の高峰(升毅)は経営方針の違いを巡って対立を深めていた。そのような中、同僚医師の金田(浅香航大)がモンスター患者に包丁で刺され重傷を負うという事件が起きる。次から次へと降りかかる院内の問題は、高峰の更迭という結果を招くことに。一方、座間敦司(田中哲司)の行動が気になった千晶(貫地谷しほり)は、座間の家を訪れる。そこには、貧困の中寝たきりの母を介護し、心中をしようとする座間の姿があった。座間の抱えている問題を直視した千晶は、助けになりたいと申し出るが、座間から断られる。
第10回[最終回]「私の願い」 2020年9月18日放送
高峰(升毅)が去り、佐々井院長(石黒賢)のもとで改革が進む病院内で、千晶(貫地谷しほり)は今日も診療を続けている。そこへ、また座間(田中哲司)が現れた。なぜか座間はロビーで歌っている。そして、「やっと終わる」と呟いて去っていこうとした。追いかける千晶。そこへ、認知症の患者・浅沼知恵子(鷲尾真知子)が運転する車が暴走して突っ込んできた。千晶は難を逃れるが、座間は意識不明の重体となる。一方、千晶は、実家の診療所を継ぐかどうかで迷っている。家族との話の中で、父の徹(伊武雅刀)は、まだ都会に残って医学の勉強をしろと千晶の背中を押す。佐々井記念病院に戻った千晶は、意識を取り戻した座間と対面する。そこで千晶は、座間が今まで千晶につきまとっていた本当の理由と、座間の抱えていた苦悩を知ることになる。
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