玉木宏 音楽サスペンス紀行「引き裂かれたベートーヴェン その真実」
放送 2022年11月5日（土）午後9時〜11時［BSプレミアム］
放送前の予告
俳優・玉木宏が音楽史の謎を探偵のように紐解くサスペンス紀行。今回は、ドイツが生んだ大作曲家ベートーヴェン。音楽の神というイメージは、様々な人の思惑で作られた！
ベートーヴェンは数々の名曲を生み出した偉人として音楽の神のように崇められてきた。しかし、もともとは陽気な酒好きで、女性に見境なく、人間として欠点も多い人物。神のイメージが決定的となったのは冷戦時代。東西陣営はスパイを暗躍させ遺産を奪い合った。東ドイツは国家戦略にベートーヴェンを利用。西では指揮者カラヤンがベートーヴェンの交響曲で帝王へと昇りつめた。イメージをめぐるスキャンダルも。神格化の謎に迫る！
【キャスター】玉木宏，【語り】杉浦友紀
この番組の見どころは？
数々の名曲を生み出した偉人として、これまで音楽の神のように崇められてきたベートーヴェン。しかし、もともとは、陽気な酒好きで、女性に見境なく、人間として欠点も多い人物だったといいます。さまざまな人々の思惑によって作り上げられた“神”のイメージはいかにしてなされたのでしょうか？
番組ディレクターが語る見どころ
ベートーヴェンの神格化に関わる重要な資料、ベートーヴェンの会話帳を、一部ですが特別に撮影できたことは一番の収穫でした。ベートーヴェンが生きていた当時の様子を詳細に伝える貴重な一次資料です。また、会話帳に関し、それまでのベートーヴェンのイメージを大きく覆すような研究も発表されました。会話帳は、番組のテーマ「ベートーヴェンの神格化」の謎を紐解く重要な鍵です。専門家や事件の目撃者などの証言を通して、その内容を詳しく紹介していますので注目していただきたいと思います。
「ベートーヴェンと冷戦」と聞くと、一体どんな関係があるのかと考える方もいるかもしれませんが、東西陣営のさまざまな思惑によってベートーヴェンのイメージが利用されていたことが分かりました。音楽だけではなく、政治にまで利用されていたのです。そうした取材の積み重ねによって、ベートーヴェンの神格化の秘密に少しずつ近づけているようで知的好奇心をかきたてられました。コロナ禍により、私が海外出張してのロケは残念ながらできませんでしたが、頭の中で謎解きの旅をしているようでしたね。
ベートーヴェンとは
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン（1770～1827）。音楽家の命ともいうべき聴覚を失いながら、数々の名曲を作り上げたドイツの大作曲家。代表曲は、交響曲第5番ハ短調「運命」、交響曲第９番「合唱つき」、「エリーゼのために」など。
４部構成で探る、ベートーヴェンの秘密
ベートーヴェンは、英雄であり天才的な創造者
ベートーヴェンの神格化が決定的となったのは冷戦時代だった？ 番組では、ドイツが東西に分断していた時代（1949年～90年）を中心に４つの章に分けて、歴史の謎を探っていきます。
第１楽章 ベートーヴェンの遺産 東西の争奪
世界の音楽史の中で極めて重要な資料となっている、ベートーヴェンの「会話帳」。耳が聴こえないベートーヴェンは、この会話帳を実際に使い、音楽活動や日常生活を送っていました。今から70年以上前の冷戦時代、この貴重な遺産が盗まれる事件が東ドイツ、西ドイツ間で起きていました。事件を知る人物の証言を交えながら、会話帳の行方や東西陣営の確執にも迫っていきます。
第２楽章 東と西のベートーヴェン 進化する神格化
会話帳の盗難事件後も、ベートーヴェンの奪い合いは東西でさらに激しさを増していきます。東ドイツはベートーヴェンを利用した国家戦略を展開。西では指揮者カラヤンがベートーヴェンの交響曲で帝王へと上りつめ、ビジネスとして楽曲を世界に広めます。会話帳をもとにした、ベートーヴェンのイメージの変化を見つめます。
第３楽章 ベートーヴェンねつ造
ベートーヴェンには晩年、アントン・シンドラーという秘書がいました。シンドラーは、ベートーヴェンの会話帳をもとに、ベートーヴェンの伝記を書き、後世に大きな影響を与えてきました。しかし、実はシンドラーがとったある行動によって、ベートーヴェンのイメージが改ざんされていたことが分かったのです。その巧妙な手口やシンドラー自身が秘めていたある思いとは…。
第４楽章 真実のベートーヴェン
1975年から、東ドイツではベートーヴェンの交響曲全９曲を校訂する（決定版の楽譜を作る）国家プロジェクトが始まりました。その責任者の証言とともに、プロジェクトの狙いやその末路を追っていきます。
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