目次
フランケンシュタインの誘惑～科学史 闇の事件簿～
科学は、人間に夢を見せてくれる一方で、ときに残酷な結果をつきつけます。理想の人間を作ろうとした科学者フランケンシュタインが、怪物を生み出してしまったように・・・。
この番組は、科学史に埋もれた闇の事件にスポットをあて、科学の真の姿に迫る知的エンターテインメント番組です。
アニメ「ドラえもん」に描かれている風刺からも、便利なもの（＝科学が生み出したモノ）も使い方をも違えると大変なしっぺ返しをくらうことが解ると思います。科学が万能ではないことを理解し、正しい使い方をして初めて世の中のためになり人々に幸福をもたらすのだということを、あらためて思い知らされます。
ナビゲーター／ナレーションは、吉川晃司さんが務めます。
放送は、毎月最終木曜日午後10時～です。また、約1ヶ月ぐらいのインターバルを置いて再放送もされますが、日時は毎回定まっていません。番組ホームページ上でご確認ください。また、動画配信サービス「NHKオンデマンド」でも視聴できます。
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フランケンシュタインの誘惑 最終回「人体蘇生」
ＢＳプレミアム 2018年3月29日（木）午後10時～
【出演】 総合研究大学院大学 池内了名誉教授、横浜市立大大学院 谷口英樹教授
放送前の予告
科学史に埋もれた闇の事件簿「フランケンシュタインの誘惑」の最終回は人類が追い求めてきた夢、「死者の復活」に迫ります！
つぎはぎの死体に命を吹き込み恐ろしい怪物を作り出してしまったゴシック小説の名作「フランケンシュタイン」。この小説が映画化されて大ヒットした1930年代、人体蘇生を実現しようとした男がいました。その男の名前は、ロバート・E・コーニッシュ。男は動物を自らの手で殺し生き返らせる実験を成功させ一躍時代の寵児となり、続けて人体実験の計画を新聞に発表するのですが・・・。「死」を科学の力で操作しようとした天才と、その闇とは！？
ロバート・E・コーニッシュ
ロバート・E・コーニッシュは、18歳で米カリフォルニア大学バークレー校を卒業、20歳で博士号を取得し、「神童」と呼ばれた人です。1930年代に臨床死した犬を蘇生させる実験を行った人物としても知られています。さらに、コーニッシュ博士は処刑された死刑囚の蘇生を試したい旨の発表をし、カリフォルニア州にあるサン・クエンティン州立刑務所に収監されていたトーマス・マクモニグルが名乗り出たそうです。コーニッシュ博士は、この囚人がガス室送りになった後、蘇生実験を実施させて欲しいと請願したそうですが、コーニッシュ博士の要請は却下されたそうです。
放送後のポイント解説
1931年に映画「フランケンシュタイン」が大ヒットしました。カリフォルニア州で弁護士の長男として生まれたコーニッシュは解剖学を学び、この映画を観て人体蘇生を目指します。そして、犬や羊を実験台として研究を重ね、死体をシーソーのように上下に揺らし続ける機械「シーソー型蘇生機」を作り出し、輸血に酸素やヘパリンを加える方法を編み出していきます。そして、犬の蘇生に成功するのです。
しかし、彼は科学者としてあたりまえのことである「論文」を一切書きませんでした。通常なら、科学専門誌に実権のデータや論文を発表するはずですが、彼は論文を書く代わりにマスコミを実験室に読んで記事を書かせたのです。さらには、映画を作って自ら出演し有名になったのです。しかし、そんなコーニッシュを残酷・非道と非難する人々も少なくありませんでした。
コーニッシュは、犬で成功した蘇生方法により、人体実験をしたいと考え、死刑囚を蘇生させる実験をアメリカの三つの州に要請しますが却下されます。しかし、それから十数年後にトマス・マクモニグル死刑囚が自ら実験台になることを手紙で願い出てきました。しかし、死刑囚が蘇生した後のことを定める法律が存在しないことから、司法は戸惑います。法的な「死」の定義が揺らいでしまい、社会秩序の面から大きな問題が生じると考えられ、結局、実験は許可されませんでした。その後も、実験に協力したいという人から手紙が殺到しますが、その多くは金銭目当てであったことから、コーニッシュは人体蘇生への情熱を失ってしまいます。
こうして、コーニッシュの行ってきたことを振り返ると、彼の行いは科学としてのプロセスを経ていないことや法律や倫理上の問題を克服できなかったことが、最大の問題点であったと思います。それが故に、アメリカ社会は、彼をマッドサイエンティストだとみなしたのです。
現代の救急医療の現場では、血液の凝固を抑えるためにヘパリンを加えるという方法や、輸血をしながら人工呼吸をする方法などが取り入れられていますが、その方法の発見者としてコーニッシュの名前は一切残っていないのです。
DVDで観るフランケンシュタイン
フランケンシュタイン [ ボリス・カーロフ ]
【ストーリー】
科学者フランケンシュタイン(コリン・クライブ)は、生命の復活をさせるべく、狂気的な研究に没頭していた。ある日、繋ぎ合わせた死体に落雷の大電力を使って、ついに人造人間(ポリス・カーロフ)を誕生させるが、実は移植した脳は凶悪殺人犯のものだった怪物として生を受けた人造人間は、次々に人間を惨殺しながら街を彷徨う。フランケンシュタインは怪物を捕らえるために立ち上がるのだが…!フランケンシュタイン・モンスターの決定的なスタイルを確立し、希代の怪奇俳優としてポリス・カーロフの出世作となった衝撃のホラー傑作。メアリー・ウォルストンクラフト・シェリーの原作を名匠ジェームズ・ホエール監督が見事に描き切っている。
新・フランケンシュタイン [ アダム・ステファンソン ]
【ストーリー】
霧が立ち込めるある冬の日。この日はヴィクトール・フランケンシュタイン氏と彼の美しい従妹、エリザベスとの結婚式が人里離れた孤島でひっそりと行われていた。薄暗い森のなか、寂れ果てた教会で。武装した傭兵たちに囲まれて。華やかなはずの結婚式は、なにか異様な雰囲気に包まれていた。まるで何か大きなものから花嫁を守るかのように…。不安に襲われる花嫁と、彼女を必死でなだめる新郎。その武装をあざ笑うかのように、一人また一人と悲惨な死を遂げてゆく。森を埋め尽くしていく死体。逃げ惑う人々。どこまで逃げても追ってくる巨大な影。真実を知るただ一人の人物、新郎ヴィクトール。それらは全て、彼が封印した過去の大罪の、あまりにも大きすぎる代償だったのだ…。
フランケンシュタインの花嫁 [ ボリス・カーロフ ]
【解説&ストーリー】
紅蓮の炎に包まれ、非業の死を遂げたフランケンシュタインの怪物は、実は地下水道へと逃げ、生き延びていた。盲目の老人と出会い、初めて人間らしい生活の喜びを知る怪物。しかし、第二の人造人間を誕生させようと企む邪悪な科学者プレトリアス(アーネスト・セジカー)は、フランケンシュタイン(コリン・クライブ)を監禁。再び狂気に彩られた惨劇が幕を開ける。 大ヒットを記録した前作「フランケンシュタイン」から4年後、同じ顔ぶれのスタッフ・キャストで発表された続編。人間味を増した怪物の悲哀が、不思議なユーモアと暗いリリシズムに溢れた演出で描かれる。怪物の花嫁として登場する女優エルザ・ランチェスターの妖演も絶品。
フランケンシュタインと狼男 [ ロン・チェイニーJr. ]
【解説&ストーリー】
「フランケンシュタイン」シリーズ第5弾にして、「狼男」シリーズ第2弾。興味のマトは2大モンスター初対決の行方だ。狼男のラリー・タルボット(ロン・チェイニー・Jr.)が、満月の光を浴びて墓の中から復活した。呪いからの解放を願うラリーは、自分を狼男にした“狼憑き”の母親のジプシー老女(マリア・オゥスペンスカヤ)に相談。2人は、助けを求めてフランケンシュタイン男爵のもとへ向かう。しかし、男爵は既に死亡し、地下ではモンスター(ベラ・ルゴシ)が氷漬けになっていた。ラリーは、男爵の実験記録から、呪いから逃げるには、「死」しかないことを悟る。やがて1人の医師によって、ラリーとモンスターの生命力を抜き取る実験が始まったが…。
