見逃した「LIFE〜夢のカタチ〜」はユーネクストで視聴できます!
「LIFE〜夢のカタチ〜」を見逃した方には、動画配信サービス「U-NEXT(ユーネクスト)」をおすすめします。新規の登録から31日間は無料体験できますので、まずはお試しください。また、テレビ朝日の番組以外にもドラマやアニメ、映画、バラエティー、ドキュメンタリー番組、音楽ライブ、スポーツ(SPOTV NOWで配信されるコンテンツ等)もたっぷり楽しめます。U-NEXTはスマホ・タブレット・パソコン等のデバイスで楽しめます!
「LIFE〜夢のカタチ〜」はU-NEXTで配信中です。
(毎週火曜日に最新話を更新予定!)
また、過去の100本以上の作品がU-NEXTで視聴できます!
U-NEXT会員はコチラからどうぞ!
↓ ↓ ↓
.
さらに、U-NEXTの31日間無料トライアルでは、270,000本以上の
見放題作品を全て無料で視聴できます!
無料体験期間中に解約しても、料金はかかりません!
U-NEXTの新規登録はコチラからどうぞ!
↓ ↓ ↓
31日間の無料体験期間を経過すると有料となりますのでご留意ください。解約手続きは、簡単にできます。
目次
「LIFE〜夢のカタチ〜」ってどんな番組?
放送 毎週土曜日 午前11時〜[テレビ朝日]
人はみな、それぞれの夢を持っています。その夢を叶えるために進み続ける…その道程を、私たちは人生と呼ぶのかも知れません。
そう、人生はいろいろな夢でできているのです。
人には、夢を追い続ける力が備わっています。夢をその手につかむ力があります。その力が最大限に到達する瞬間、人は美しく輝くのかも知れません。
そう、人生は輝きに満ちているのです。
人生は、人それぞれ違った物語に彩られています。さまざまな人生、それぞれの夢、いろいろな輝き…ひとつひとつの人生に、ひとつひとつの夢のカタチがあるのです。
「LIFE ~夢のカタチ~」
この番組は夢を追う人生の輝きを描きます。
ナレーション 佐々木蔵之介
テーマ曲 『ONE』DEPAPEPE
「LIFE〜夢のカタチ〜」の見どころは?
10年以上続くこの番組で取り上げられた人物は芸能人や著名人に限らず、職人から小学生など多岐にわたります。基本的には毎回特定の個人に密着しますが、時には夫婦や兄弟も取り上げます。陶芸家、料理職人、デザイナー、スタイリストなど、さまざまな人物が登場します。
ナレーションは演技派俳優・佐々木蔵之介。人生の物語を豊かな語りで紹介していきます。世の中にはさまざまな職業があり、独特のプロ意識が存在していることがよく分かる番組です。
「LIFE〜夢のカタチ〜家」の見逃し動画配信は?
見逃した「LIFE〜夢のカタチ〜」の最新回は、TVerで7日間無料動画配信しています。
また、2020年8月24日以降、U-NEXTでの動画配信も始まりました。毎週最新話が順次更新される予定です。
「LIFE〜夢のカタチ〜」はU-NEXTで配信中です。
(毎週火曜日に最新話を更新予定!)
また、過去の100本以上の作品もU-NEXTで視聴できます!
人気のドラマ・映画・アニメ・バラエティを観るならU-NEXTで!
まずは、31日間無料トライアルでお試しください!
31日間の無料体験期間を経過すると有料となりますのでご留意ください。解約手続きは、簡単にできます。
「LIFE〜夢のカタチ〜」の次回放送内容は?
2023年10月14日(土)放送
身近な異世界を撮り続ける写真家
小林哲朗さん 写真家 兵庫県尼崎市
まるでSFの世界に迷い込んだかのような驚異の景色。写真家・小林哲朗さんが収めるのは、「日常に溶け込んだ、非日常の世界」、つまり“身近な異世界”。廃墟や工場夜景を撮影した写真集はベストセラーとなっています。今回は、そんな異色の写真家・小林哲朗さんに密着しました。
尼崎に自宅兼アトリエを構える小林さん。この日は大阪・摂津にある工場を狙います。目指す場所に着いたのは午後5時半。日没前に撮影ポイントを探りながらの撮影です。30度を超える熱帯夜の中、撮影すること5時間あまり。これだけ撮っても、「使えるのは2、3枚」だと言います。ただし、これで終わらないのが小林さん。地元尼崎には、工場と街、背景の山々が一枚に収まる絶好ポイントがあります。車で移動しながら、撮影は深夜にまで及びました。
尼崎で、四兄弟の2番目に生まれた小林さん。専門学校を卒業して保育士の道へ。業務に追われる中、ネットで目にした廃墟写真に惹かれ、週末になると廃墟や工場の撮影に没頭。ついに2012年、プロの写真家として歩み始めました。
そんな小林さんに嬉しい出来事が。尼崎の観光アドバイザーに就任したのです。任務は「尼崎の身近な異世界を撮影、SNSで発信すること」。尼崎に足を運んでもらうため、尼崎の異世界を探索する小林さんを追いました。
この日、やってきたのは東大阪の「花園ラグビー場」でした。その地下には、まだ世間に知られていない「異世界」があるというのです。大阪府の協力のもと、地下に降りてゆくと、驚きの大空間が。ここは大雨の際、雨水を貯めることで地上の浸水被害を防ぐ、巨大で広大な治水施設なのです。早速シャッターを切る小林さん。しかし、構図の取り方が難しい。周囲は真っ暗、ライトをまんべんなく当てながらの長時間露光でこの地下神殿のような空間を表現したい。小林さんのチャレンジが続きました。
過去に放送された番組の内容[バックナンバー]
2023年
2023年9月30日(土)放送
日本では珍しい自転車洗車専門店
福井響さん 大阪府豊中市 「Lavaggio(ラバッジョ)」
2020年に開業して、先ごろ3周年を迎えた「ラバッジョ」。日本では珍しい「自転車の洗車専門店」です。汚れた自転車をピカピカに蘇らせる「Lavaggio」、イタリア語で「洗車場」を意味します。店主は自転車洗車職人の福井響さん。月に200台以上の自転車を洗っているそうです。「自転車の洗車が大事なのは、キレイになるだけではありません。車と違って、チェーンやギア、ブレーキなどが表に出ています。つまりエンジンまで根こそぎ洗うようなもの。手で触るので、その自転車の不具合もわかりますし、寿命も延びます」。
お客さんの層も様々。100万円以上もするスポーツバイクから、「ママチャリ」、最近増えている「電動アシスト自転車」まで、何でも洗います。その様子を詳しく見てみましょう。また、ロードバイクを趣味にしているお客さんの喜びの声も紹介します。
「自転車を洗う大切さを伝えたい」。そう願う福井さんは、屋外にも出張します。この日やってきたのは八王子。洗車のために用意したのは、なんと消防車。消防署払下げの消防車を購入し、放水システムをカスタマイズして洗車の水を確保しているのです。
箕面出身の福井さんは、幼い頃から車好き。小学生の時には、自転車にハマっていました。高校でロードバイクを買ってもらい、地元のレースで優勝。大学は自転車が強い鹿児島県の鹿屋体育大学に進学しますが、そこでインターハイ上位揃いの選手たちと、自分との実力差を思い知らされます。しかし、1年生の時に帯同した北海道のレースで、選手とは別に「メカニック」が重要なことを知ります。
「洗車や整備など、自転車を速く安全に乗るためには、学生でもメカニックが必要だ」。そこで、大学での勉強だけでなく、自転車ショップで働いて構造を学びました。そして縁あって5年間、イタリアのロードレースチームの専属メカニックとなり、世界中で活動したのです。帰国した福井さんは、「自分の洗車技術で自転車業界に貢献できるのでは」と考え、周囲から「絶対にビジネスにならない」と反対されながら、自転車洗車専門店を立ち上げたのです。すると、これが大人気に…
2023年9月23日(土)放送
淡路島のジビエ餃子
森田悠香さん 淡路市郡家 「島餃子はるちゃん」
今ではよく見かけるようになった、餃子の無人販売所ですが、淡路島の小さな港町にある無人販売所で売られている餃子は、普通の餃子とはちょっと違います。なんと、ジビエ肉を使った餃子です。農家の害獣被害を減らすため、そしてその美味しさを発見してもらうために奮闘するパワフルママ、森田悠香(ハルカ)さんに密着します。
淡路市郡家。豊かな自然に囲まれた古民家が、ハルカさんの自宅です。海の近くでゲストハウスがしたいというご主人の夢があって、1年半前に大阪から移住しました。3人のお子さんを育てるハルカさんは、餃子店の店主であり、宿の女将さんであり、猟師でもあるのです。害獣に悩む農家さんのために駆除するだけでなく、餃子にして販売するのです。試行錯誤して作った、ニラやニンニクを使わないジビエ餃子には、淡路島産の玉ねぎやキャベツをたっぷりと混ぜており、臭みがなくて深い味わいと評判に。その作り方を見てみましょう。
ハルカさんの一日は朝6時半から始まります。宿のお客さんの朝食を作ったら、子供たちの朝ごはんも用意。朝食が終わるとお客さんの送り出し、餃子を一日200個作って、子供たちの送迎。合間をぬって子供たちと海水浴、夜は花火大会の見学と、何とも忙しい日々をおくっています。しかしハルカさんはこの夏、今までにない充実感を感じていました。
育児と家事に追われていた日々は、社会から孤立したような気持ちでふさぎ込むことが多かったようで、それを変えてくれたのが淡路島でした。本来の明るさを取り戻したハルカさんの人柄は島の人たちにも好かれて、ますますパワフルに。
「島餃子はるちゃん」オープン一周年。ご主人の発案で、日ごろお世話になっている人たちを招いて、パーティを開くことに。無人販売所なため、普段顔を合わせる機会はあまりありません。そこで、ここで披露する新メニューが…ジビエ・ハンバーグでした。
2023年9月16日(土)放送
地域の人々に愛される伊勢神宮のパン屋さん
中村美穂さん 伊勢神宮・外宮 パン屋「麦」
一年を通して参拝客で賑わう伊勢神宮。その玄関口となる外宮前の参道には、100年以上も前から飲食店や物産展が軒を連ねています。その一角に、日々の暮らしに欠かせない店があります。パン屋『麦』。食パン、カンパーニュやフォカッチャなど、お食事パンをメインとする街のパン屋さんです。近所の常連さん、お店の人など、地域の人はもちろん、観光客も足を運びます。「朝食はここの食パンと決めている」「伊勢で1番おいしと思う」と評判です。店主の中村美穂さんは「日々の中で食べるパンを美味しく提供したい。地元の人と観光客が交流できるパン屋にしたい」と語ります。
オープン以来、地元に愛されてきたパン屋『麦』ですが、元々料理人を目指していた中村さんがパン屋さんを開くまでには、ある事情がありました。
三重県伊勢市で三姉妹の三女として生まれ育った美穂さん。料理好きな姉二人に影響を受け、相可高校へ入学。調理師免許が取得できる食物調理科を専攻します。そこで調理の基本と接客をみっちりと勉強。高校卒業後は、地元で人気のフレンチレストラン「ココット山下」へ就職。その後、料理人としてさらに腕を磨くため、東京屈指の人気フレンチビストロなどで日々調理に励んでいました。ところが…
「ココット山下」のオーナーシェフが開いたパン屋さんが閉店するという話を聞いてショックを受けた美穂さん。すると山下さんから「よかったら店を引き継いでもらえないか」という電話が。将来は伊勢に帰って店を持ちたいと思っていた美穂さんは、地域の味を守ろうと、すぐさま伊勢へと帰り、パン職人の修業を開始。毎日パンを焼きまくり、2021年9月、たった2か月でパン屋『麦』をオープンさせたのです。
オープンから2年。地元店からコラボのオファーが引きも切らない人気者となっている美穂さんですが、新たな展開を考えていました。それは2号店。姉と作る新しいモーニングメニューとはいったい?
2023年9月9日(土)放送
有名店から独立し、奈良にこだわるビストロをオープン
久岡寛平さん 奈良市・ならまち 「LA PIE(ラピ)」
世界遺産元興寺のかつての境内で、古い町屋が並ぶ、ならまち。ここにまもなく、新しいビストロが誕生します。オーナーシェフの久岡寛平さんは、フランスで16年腕をふるい、ミシュランの星を獲得した実力派。その後、パークハイアット京都からオファーを受け帰国。今年の6月まで、レストラン「八坂」で料理長を務めました。そんな久岡さんが、生まれ故郷の奈良で独立しようと決意します。開店までの日々を追いました。
奈良にこだわった店づくり。食材も奈良で探します。天理市で個人農園を営む飯田さんご夫婦からは、トランぺットズッキーニという珍しい作物をはじめ、みずみずしくて新鮮な野菜を仕入れます。しかし、仕入れ先が見つからないある食材が。奈良県の川魚、鮎です。実は専門の漁師さんがいないため、天然の鮎は手に入れるのが困難。そこで久岡さんは、釣り人たちが集まる吉野川へと向かいました。吉野川の天然鮎は「桜鮎」と呼ばれ、万葉集にも詠われた特別な存在です。さて、どうやって仕入れるのか?
1978年、奈良で生れた久岡さん。高校卒業後は、陶芸家の父のもとで、焼き物の修業を始めますが、19歳のころ、旅行で訪れたパリのビストロでの食事に感動し、フランス料理の道へ。息子の人生の選択に、黙って背中を押してくれた今は亡き父。工房は今もそのままに、作品も多く残っています。父の陶器を店の器に使うだけでなく、久岡さんは、父が残してくれた素晴らしいテーブルを、店のカウンターにしようと考えていました。
店の工事も奈良の大工さん。椅子も、奈良の職人による吉野檜。空間も食材も準備完了し、内装工事も終了。いよいよ新たなビストロが誕生します。新鮮な食材でフランス伝統の料理に仕上げる久岡シェフですが、気軽に来てもらえるよう、コースの値段はかなり抑えめ。オープン当日には、お世話になった人たちを招待しました。さて、あのトランペットズッキーニや天然鮎は、どんな料理になったのでしょう?また、夫の残した器が、息子の料理を盛り立てる様をみた、久岡さんの母の感想は?
2023年9月2日(土)放送
「彩りと感動を」街を塗り替えるカリスマ塗装職人
上山浩之さん 大阪府堺市 「Add Wall」
大阪・玉造。今年4月、ある「ショールーム」が誕生し、話題になっています。その名は「Add Wall Tamatsukuri」。塗装のエキスパート集団「Add Wall」が、「もっと気軽に塗装に親しんでほしい」と開いたショールームです。塗装用品の販売や塗装のオーダー、さらに、壁を好きに塗っていい場所もあります。衣類やバック、靴などを鮮やかに変身させる「ペイント飛ばしワークショップ」は大人も熱中するほどの人気。まさに「塗装のテーマパーク」的な楽しさがあるのです。
ここを開いたのが、「Add Wall」を率いる上山浩之さん。本拠地は、生まれ育った堺市にある「上山塗装店」。上山さんを筆頭に15名のスタッフが在籍し、お店、施設、個人宅などのクライアントからの依頼を、次々に実施していきます。塗装によって驚きのリノベーションを果たした例を、いくつか紹介しましょう。
頼れる職人たちと共に、今日も街を塗り替える上山さん。塗装を通じて伝えたい想いとは?「新たな塗装によって建物を活かし、街並みを活かす。彩りは感動を呼ぶことができるんです。ひいては地域や社会に貢献できる」。感動をもたらす彩りを生み出すため、上山さんは新たな塗料を開発することもあります。こちらもいくつか紹介します。
泉北ニュータウンの団地で育った上山さんがペイントに目覚めるきっかけは12歳の頃。インテリア好きの母親が、部屋の壁を塗り替えたところ、同じ団地の人たちが「自分でやるなんて凄い!ウチもやってほしい」となって母の手伝いをすると、「見違えるよう」と喜ばれたのが原点です。1日も早く塗装の仕事がしたかった上山さんは高校を中退し、塗装会社に弟子入りします。20年以上も修業を重ね、一級塗装技能士の取得後、独立。株式会社「Add Wall」を立ち上げたのです。
「彩りと感動」をテーマに「塗装で地域の人たちと共に盛り上げ、ひいては社会の課題を解決する」ことを目指す、上山さん率いる塗装のエキスパート集団「Add Wall」。次々と新しいチャレンジを重ねます。それは…
2023年8月5日(土)放送
未来型ネオンサイン
川村裕介さん、真純さん 宝塚・清荒神 「宝塚電子倶楽部」
ネオンサイン。独特の輝きと色彩、レトロな風合いが今、ブームに。そんな中、脚光を浴びている人気の技術集団がいます。2018年に結成された「宝塚電子倶楽部」通称「ヅカデン」です。中心人物は、川村裕介さんと真純さん夫妻。
淡路島の大鳴門橋記念館に、ヅカデンが手掛けたネオンサインがあります。10メートルの巨大な壁面に、玉ねぎや渦潮など、50ほどの淡路島名物をネオンサインで表現。今年1月に登場して以来、映えスポットとして人気になっています。
宝塚市・清荒神。ここに宝塚電子倶楽部のアトリエがあります。キャプテンは川村裕介こと、ロビンさん。元バンドでプロを目指していたころからのあだ名です。平日はシステムエンジニアの会社に勤めています。メンバーは会社の同僚の山岡さんと、リモートで参加する恵村さん。つまり3人には本業があって、仕事以外の時間を使って、電子工作に打ち込んでいるのです。ちなみに、真純さんは仕事を取ってくる営業担当です。
宝塚に住むロビンさんと真純さん。この日はバイクのネオンサインを作ります。パソコンで設計図を作ったら、3Dプリンタでパーツを製作。型が出来たらLEDのチューブライトを這わせて、はんだ付け。最後に配線を繋ぎ合わせて完成です。
ヅカデンの活動はネオンサインだけではありません。音楽ライブでの光のデコレーションも手掛けます。清荒神のアトリエでは、なんと高野寛さんのライブが実現。ミラーボールを使った幻想的なライティングで、観客を沸かせました。
7月。昼はマルシェ、夜は音楽ライブという大人気のキャンプイベントに、ヅカデンも夜、参加します。今年の目玉は、ネオンでピカピカ光る獅子舞「ピカ太郎」。ヅカデンのメンバー3人が、真純さんの指示で光のパレードを行おうというのです。弱点は中があまりにも暑いこと。さて、「ピカ太郎」は子供たちを喜ばせることができたのか?さらに、8月に開催予定の清荒神のお祭りでは、もっとスゴイ仕掛けを考えていました…
2023年7月29日(土)放送
琵琶湖の魅力を伝えようと奮闘する若手漁師
駒井健也さん 滋賀県大津市 「フィッシャーアーキテクト」
滋賀の大津にあるショッピングモール「ブランチ大津京」。今年4月、ここに新しいレストランができて話題になっています。『ν-BOTTOM HUM(ニューボトム はむ)』。地元の食材を味わえるお店なのですが、ここの魚を納めているのが、「ニューボトム はむ」の発起人の一人である、漁師の駒井健也さんです。「琵琶湖は鮎が有名ですが、他の魚も美味しいのに、加工に手間がかかるため、あまり流通していません。そこで、漁師が料理人と直接つながることで、琵琶湖の魚を届けようとしています」。
朝5時。漁に出た駒井さんを追います。「年間を通じて30種類ぐらいの魚介類を捕ります。それほど琵琶湖の魚は種類が豊富なんです」。漁法は「魞漁」(えりりょう)。琵琶湖では1000年以上前から続く伝統の漁法ですが、どんな漁でしょうか。他にも、延縄漁や刺し網漁など、15種類もの漁法を使い分けているといいます。「今の時期だと、コアユ、スジエビ、ホンモロコ、ワカサギなどが捕れます」。
朝9時。漁港に戻った駒井さんは、「フィッシャーアーキテクト」と名付けた拠点で、午前中に下処理を終えたら、京都の料理店へ配達です。
7月。草津川跡地公園で開かれたマーケットに出店した駒井さんですが、料理を販売するだけではありません。水槽に生きた魚を泳がせ、子供たちに見てもらう「ミニ水族館」を開いています。これを機に、琵琶湖をもっと身近に感じてもらいたいと考えたのです。
生粋の滋賀県人である駒井さんは、滋賀県立大学で建築デザイン科を学び、大学院を卒業後、漁業組合の親方に弟子入り。3年間の研修生活を送ります。えっ?建築を志していた駒井さん、何故、漁師になろうとしたのでしょうか?そして2020年、琵琶湖漁師として独立し、漁師と建築家を合わせた「フィッシャーアーキテクト」を起業します。さて、「フィッシャーアーキテクト」とはいったい何でしょうか?
2023年7月22日(土)放送
仲卸店が営む新世代お惣菜屋さん
橋田佳未さん 京都下京区・七条通 「Marufuku KYOTO」
古くからの店が軒を連ねる商店街で、一際オシャレな店構え。カフェかスイーツ店のようですが、店内に並ぶのはお惣菜。京都のおばんざいの定番「いわしの炊いたん」をはじめ、新鮮な食材を使ったお惣菜が40種類以上、日替わりのお弁当も並びます。この新感覚のお店を作った女性店主が、橋田佳未さんです。
橋田さんの実家は、京都市中央市場の仲卸、丸福水産。その直営店として2年前に立ち上げたのが『Marufuku KYOTO』です。共に調理する料理長は、祇園の和食店で腕を振るっていた市村征洋さん。接客は村上香苗さん。この3人を中心にお店を切り盛りします。
素朴に見えるお惣菜ですが、日本料理の技で手間暇かけて作ったものも。「お店で食べる料理を家庭で」。いわしは3日かけて炊き上げ、骨まで崩れる柔らかさ。鯛はオリーブオイルで焼き、自家製のバジルソースをかければ、立派なメインディッシュです。
0歳児の男の子を女手一つで育てる橋田さんは、朝6時に出勤。お子さんを背負いながら仕込みを始め、途中子供を保育園に預けて、18時までひたすらお惣菜を作る日々です。ある時は新商品の開発も。この日は夏の定番「はも」を使って、華やかで彩りも美しい「はも寿司」を仕上げました。他にも、若い世代に人気が出そうなオシャレなピクニックセット「オシャピク」を売り出したりと、若い感性で色々な提案をしています。
元々はアパレルメーカーに就職していた橋田さんですが、コロナ渦で実家の卸売業が大打撃。「家業を守りたい」と8年勤めた会社を辞め、お惣菜屋さんをオープンしました。そして店の未来のため、猛勉強して市場のセリに参加できる資格試験を受け、見事に合格。初めてセリに参加した橋田さんが狙ったのは、天然の鯛。これを使って、商店街を盛り上げるイベントで作りたい、ある料理がありました…
2023年7月8日(土)放送
パワフルママが独立!喫茶店のキャロットケーキ
大川瞳さん 大阪市浪速区 「午後の喫茶マイニチ」
JR難波駅。ホテルや大型ビル、イベントホールなどが立ち並ぶエリアの一角に、昔ながらの建物と路地があります。その中の一つが「午後の喫茶マイニチ」です。
今年の4月にオープンしました。店主は大川瞳さん。3人の子供を育てるシングルマザーです。
看板メニューは瞳さんが手作りするキャロットケーキ。常連さん達からは「絶品」のお墨付きです。使う人参はすりおろすのも大変ですが、味へのこだわりは半端ではありません。入れるジャムやコンポートも手作りです。他にも美味しい焼き菓子が並びますが、「オムライス」や「ナポリタン」など、懐かしの喫茶店メニューも人気です。
大阪生まれの瞳さんの人生は波乱万丈。長女、次女、長男と子宝に恵まれましたが、現在シングルマザーとして3人の子育てをしながら店を切り盛りしています。2年前に木津市場内で50年続く喫茶店で間借り営業から始めました。オーナーの平井さんは、瞳さんの恩人で「ママ」と呼んで慕っています。
間借り営業は、平井さんが店を閉めた後の午後12時からで、屋号は「喫茶マイニチ」。その屋号を独立した今も使っているのです。2年間の間借り営業を経て今の物件と出会い、自分のお店を作ることを決めます。
瞳さんは、朝6時から子供たちの朝ごはんを用意して、次女と長男を保育園までお見送り、その後ジムでトレーニング。木津市場で仕入れして10時にお店をオープン。
18時に閉店すると、子供をお迎えして家で晩御飯作り。「将来子どもたちが喜ぶ家を建てたい!」と日々奮闘しています。
6月。瞳さんは、あるマルシェイベントに招待されました。新しいお菓子を披露するために師匠と慕う人気ベーカリーのシェフのもとへ。一体どんなお菓子が生まれるのでしょうか?
2023年7月1日(土)放送
手軽にケーキを
本岡 遊さん 神戸・三宮 パティスリー「CÔNE(コーヌ)」
洋菓子の激戦区、神戸・三宮。メインストリートのフラワーロード沿いに去年7月、
一軒のケーキ屋さんがオープンしました。パティスリー『CÔNE(コーヌ)』。店頭に並ぶのは、フランス伝統のレシピをアレンジしたケーキや焼き菓子。どれもクラシックなのに一味違うと、多くのファンが絶賛します。店内にはイートインスペースがあるのですが、何と椅子がありません。ケーキ店では珍しい、スタンディングスタイルのカフェなのです。
シェフパティシエとして店を仕切るのが、本岡遊さん。「ケーキ屋さんは、入るのにちょっと敷居が高いというか。椅子がないと気軽にケーキを楽しんでもらえると」。お客さんからも「パっと来てさっと帰れるからいい」と好評です。男性のお一人様も来店するなど、新たなファン層を獲得しています。
カジュアルな雰囲気のお店ですが、ケーキは本格派。フランスで学んだ味と技を巧みに使い、一見シンプルですが、中にクリームやムース、チョコなどが何層にも重ねられ、複雑な味わいを生み出しています。人気のロールケーキにも秘密が。放送で詳しく紹介しますが、それはもう、垂涎のケーキたちです。そして店内にはコーヒースタンドが併設され、バリスタが淹れる本格コーヒーも人気です。その豆にも尋常ではない拘りが…
そんな本岡さんには、良き友であり、ライバルでもある、専門学校時代の同級生が二人います。苦楽園と岡本で店を営む大江さんと江原さんです。コンクールなどで賞を取った、二人の作るケーキもまたお見事。印象的なものをじっくりと見て、感じて下さい。
開店一周年を控えたパティスリー『CÔNE(コーヌ)』。その記念に新作を作ろう、と本岡さんは考えていました。ベースにするのは、本岡さん自身がコンクールで賞を取ったケーキ。そして試食をお願いするのは勿論、ライバルの大江さんと江原さん。さて、はたして二人の感想は?
2023年6月24日(土)放送
有馬温泉にある日本一のジェラート
片山圭介さん 有馬温泉 「アリマ ジェラテリア スタジオーネ」
温泉地として知られる関西の奥座敷、有馬。そこに「新たな名所が誕生した」と話題になっているお店があります。風情ある湯本坂、源泉の目の前にある、古民家を改装したお店です。一見和菓子屋さんの雰囲気ですが、正体は意外にも「ジェラート専門店」なのです。店名は『アリマ ジェラテリア スタジオーネ』。30名ものイートインスペースがあります。季節ごとに商品が変わり、店頭に並ぶフレーバーは約12種類。
1番人気は定番の、六甲の酪農家から仕入れた新鮮で搾りたて牛乳を使う「六甲プレミアムミルク」。有馬温泉名物のサイダーと淡路島レモンを使ったジェラートもこれからの季節は大人気です。
作っているのは、4代に渡って有馬で商いをする家に生まれた、有馬育ちの片山圭介さん。「兵庫県や有馬ゆかりの素材を多く使っています。有馬に美味しいジェラート屋さんがあるよ、と知ってもらえたら。有馬は年配のお客さんのイメージがあるので、若い人にもっと来てほしい」。片腕となる助手の岡さんと、出来立てを提供しています。
片山さんは26歳で実家の酒屋を継ぎました。しかし40歳を過ぎた頃、もっと有馬を盛り上げたいと「有馬は紅葉シーズンに訪れる人が多く、他の季節が弱い。有馬にないモノは何か?と考えたのがジェラート。湯上りに合うし、一年中食べてもらえるのではないか」。そうしてジェラートマシンのメーカーのレッスンを受けるなど勉強を重ね、2015年、44歳で『アリマ ジェラテリア スタジオーネ』をオープンしたのです。
片山さんが作るジェラートはどれも手が込んでいます。旬のフルーツをふんだんに使い、「ほうじ茶」や「抹茶」など和素材も取り入れています。そして出世作が、「塩マスカルポーネ きんかん香る甘酒仕立て」。48歳で初挑戦した全国コンテスト「ジェラートワールドツアージャパン2019」で、このジェラートが優勝したのです。日本一になった片山さんの店は、一躍全国に知られる存在となりましたが、片山さんの挑戦は、まだまだ終わりがありません。
2023年6月17日(土)放送
料理研究家が開いた惣菜専門店
森上玲子さん 東大阪市 「季節のスープとお惣菜のお店Ryoko’s kichen」
料理研究家の森上玲子さんは、様々なメディアから引っ張りだこ。雑誌のフードスタイリングや企業のレシピ開発などを手掛け、料理教室も主宰しています。そんな森上さんが昨年4月、ついに自分のお店をオープンしました。それが近鉄奈良線「河内小阪」駅近くにある『季節のスープとお惣菜のお店Ryoko’s kichen』です。
こちらは森上さんが手作りするお惣菜とスープ、自家製ドレッシングの専門店。東大阪のブランド豚「なにわポーク」の自家製ハムをはじめ、吟味した食材がふんだんに使われる、こだわりのデリカテッセンなのです。人気はプレミアム・オージービーフ。「牛肉は国産に限る、という方に食べてほしい。草原に放たれてノビノビ過ごし、安全なエサを食べて育ったオージービーフの赤身がどれだけ美味しいか」。
食の固定観念に縛られず、素材の本質を伝えたい。そんな森上さんが作るメニューは、その日の旬や仕入れによって変わります。テイクアウトだけでなく、イートインスペースもあるので、チョイ飲みしながらお惣菜をつまむ、というスタイルも人気です。
大阪出身の森上さんは、近畿大学農学部食品栄養学科を卒業後、「かに道楽」に入社。2010年に退職して海外で家庭料理を学びます。帰国後、料理研究家として活動するようになり、仕事の依頼が徐々に増えていきます。また、活動を通じて、地元農家や畜産農家、蔵元など、いいものを作る生産者との繋がりが出来るようになり、彼らが育てた作物や、醸したお酒を、世の中に伝えたい。そのために、お店をオープンしたのです。
食材は自分の目で確かめたい。様々な生産者の元を訪れる森上さん。お酒も蔵元や醸造所を巡ります。そんな森上さんの元に、ある料理イベントの提案が。レシピは「想像の斜め上を行くものを」というハードルの高い要求でした。さて、どんな料理が出来上がったのでしょう?
ある日、台湾に森上さんの姿がありました。なんと台湾のソーセージメーカーからレシピ開発の仕事が来たのです。既にいくつかのレシピを考案中。森上さんが作る料理は、海外の人々の舌もうならせることでしょう。
2023年6月10日(土)放送
吉野の木で作る椅子
藤川拓馬さん 奈良県東吉野村 「維鶴木工」
木の産地として知られる奈良県吉野。東吉野村に工房を構え、吉野ヒノキを中心に日本の良質な木を使って、家具作りに取り組んでいるのが『維鶴木工』の藤川拓馬さんです。特にこだわっているのが、椅子。「強く、優しく、美しく」をモットーに、丈夫で使い心地がよく、掛け心地もよく、なおかつ美しい、が絶対条件。使う人にとってかけがえのない一生モノの椅子作りを目指しています。2022年に「ウッドデザイン賞」を受賞。今年の1月には無印良品のパリ店に出店するなど、注目の若手作家です。
藤川さんは大阪府出身。大工の父親の影響を受けて、自身も家具職人の道へ。2016年に桜井市で『維鶴木工』を開業。ソファの骨組みやオフィス家具などを手掛けるうちに、様々な技術を必要とする椅子が「作るのも見るのも使うのも一番面白い」と思うように。椅子は日本で普及してからの歴史が浅い。日本らしい椅子を模索しようと考えていた時、吉野ヒノキに出会いました。「節や反りが無く、めっちゃキレイ」と一目惚れ。硬くて強度が出せるのも椅子に適していました。
2017年に東吉野村に工房を移転。人工林として500年以上、大切に育てられた木で、孫の代まで長く使える椅子を作りたい、との思いからでした。ところが2020年の春、コロナ渦の影響で受注が減少。「自分に何か出来ることはないか」と考えた藤川さんは、自分でスツール(背もたれのない椅子)を作れるキット「Do kit yourself」を生み出しました。自宅で自分で椅子を作るこのキットが人気を博し、問い合わせやワークショップの依頼が舞い込むように。2021年度の「グッドデザイン賞」も受賞しました。
現在は、若手の職人と日々の仕事に励みながら、よりクオリティの高い商品を開発すべく、研究、設計、製作に余念がありません。また、色々な場所から「Do kit yourself」とのコラボ話も寄せられています。「吉野の木の魅力をもっと知ってもらいたい」藤川さん。椅子への熱い愛は止まりません。
2023年6月3日(土)放送
茶源郷の農家民宿
齋藤哲治さん、篤子さん 京都府和束町 「篤庵」
京都のJR加茂駅。農家民宿『篤庵』の齋藤哲治さんが今日のお客さんを迎えに来ました。現れたのは、スイス人のご夫婦。齋藤さんはAI翻訳機を使ってコミュニケーションを取りつつ、車で宿までご案内します。まず見せたかった絶景は、急斜面の山に広がる一面の茶畑でした。思わず歓喜の声を上げる二人。その美しさから、「茶源郷」と称される京都府和束町。宇治茶の約4割を生産するお茶の町として、800年以上の歴史があります。そんな和束町の小高い丘の上に建つ民宿が、海外からの宿泊客が絶えないと話題の『篤庵』です。
宿を営むのは、移住してここに住む72歳のご夫婦、齋藤哲治さんと篤子さん。古民家を改築した宿で、1日1組限定、最大7人まで受け入れています。早速、和束のお茶でおもてなし。爽やかな香りとわずかな甘みを感じる美味しいお茶を味わってもらうには、ちょっとしたコツがあります。それは?
夕食は旬のタケノコを使った炊き込みご飯を中心に、日替わりのおかずと、太秦の専門店から取り寄せた豚バラのしゃぶしゃぶ。宿泊客から「幻の豚しゃぶ」と評判になっていて、勿論二人も大満足でした。
京都で工務店を営んできた齋藤夫妻ですが、偶然訪れた和束町の風景に惹かれて、17年前に移住。あるご縁から民泊を始め、2019年、民宿『篤庵』をスタートさせました。
新茶の季節を目前にした4月中旬。この日はオーストラリアから、7人家族がやって来ました。哲治さんはこの家族を、『篤庵』と提携する茶畑に連れて行き、子供たちに茶摘み体験をしてもらいました。摘んだ新芽は篤子さんが天ぷらに。さて、子供たちの反応は?
そして4月下旬。いよいよ和束町で新茶の初摘みが始まりました。1年で一番、町が活気付く時です。哲治さんもワクワク。しかし一方で和束町は、深刻な少子化と、若者の転出が止まりません。少しでも町を盛り上げたい齋藤さん夫婦は、あるイベントを考えていました。
2023年5月27日(土)放送
フルーツたっぷり!映えるスイーツ
大山友里さん 大阪市東成区深江 「and. cafe」
いちごが美しく輝く、その名も「いちごな宝石箱」。見た目がカラフルで、果物を贅沢に使った「フルーツなソーダ」。旬の果物を可愛くて大胆にアレンジしたスイーツで大人気のカフェが深江にあります。『and. cafe』です。いわゆる「映え」を売りにしたカフェは数多くありますが、ここは特別。影響力のあるインフルエンサーがこぞって集まり、その魅力を次々と発信したのです。
オーナーの大山友里さんは、接客から盛り付けまで一人で切り盛りしています。今や行列ができるほどの人気店ですが、実は大山さん、飲食店での経験はゼロ。「4年前に離婚して、子供を育てるために働かないと。」シングルマザーとして3人の娘を育てる大山さん。経験ゼロの主婦が何故、大人気カフェを生み出せたのしょうか。
大山さんは、毎朝4時に起きて、5時には市場に行きます。旬の果物を使うため、カフェで提供するものは、その日に買うようにしています。午前9時、カフェがオープン。『and. cafe』には、ある人気のシステムがあります。スイーツが完成したら、席に持って行くのではなく、まずカウンターにディスプレイ。お客さんは思う存分、撮影することが出来るのです。この撮影タイムで取られた写真がSNSで拡散され、全国からお客さんがやって来るようになったのです。「映え」だけではありません。これでもかと果物を贅沢に使ったメニューは、どれもめちゃくちゃ美味しいと評判です。
4年前にこのお店を開いた頃は、料理に自信はあったものの、値段の付け方がわからず、メニューも試行錯誤。赤字続きで限界を感じていた時、お客さんから「子供が飲めるドリンクはないの?」と言われて考案したのが「フルーツなソーダ」。これが大人にもバズって「だったら全メニュー、フルーツでいこう」と、フルーツを存分に楽しめるカフェに舵を切ったところ、気が付けば人気店になっていったのです。
さて大山さん、フルーツの可能性を広げようと新たな展開も考えていました。
2023年5月20日(土)放送
コミュニティナースが開いたおむすびスタンド
小鹿千秋さん 大阪府八尾市 「むすんで、にぎって。」
古き良き風情を残す、大阪府八尾市萱振町。ここに2021年11月、小さなおむすびスタンド『むすんで、にぎって。』がオープンしました。「甘塩鮭」、「たっぷり昆布」、「南高梅」、「ツナマヨ」などの定番や、地元の旬の食材を使った期間限定の「気まぐれむすび」など常時10種類ほどのおむすびがラインナップされ、1日100個ほどが売れていきます。作っているのは店主の小鹿千秋さん。
小鹿さんのこだわりは「お米」。おむすび専用のお米をブレンドしてもらい、冷めても美味しい、炊き立てをふんわり、空気を含ませながら結びます。具材も多くは地元の農家から仕入れています。地域に根差し、愛される店の店主・小鹿さんには、ある思いがありました。「私は元々、病院に勤務していた看護師。今は地域の人たちの健康を見守る、コミュニティナースとして活動しています。おむすびスタンドもその一環なんです。」
八尾市に産まれた小鹿さんは、看護専門学校を卒業後、看護師として大阪市内の病院へ。手術室、内科病棟、がん病棟など、幅広く経験。そんな中「退院予定の患者さんが当日になって、腹が痛いから退院できないと言い出して。よくよく聞いてみると、家は一人だから帰りたくないと、孤独を理由に退院を嫌がる方がちょくちょくいらして。」孤独や孤立を防ぎたい。小鹿さんはすぐさま行動を起こしました。
実家である酒屋の倉庫を改造して、2017年、地域食堂『おかえり処・お結びころりん』を開店。運営は小鹿さんの両親を中心に、ご飯を提供するが、何も注文しなくてもOK。赤ちゃんからお年寄りまで、家のように集える場所を作ったのです。そんな折、コミュニティーナースという存在を知り、自分も病院以外の場所で貢献できることがあるのでは?と考え、総合病院を退職。「地域食堂に入るのが苦手な方や、若者や忙しいオフィスワーカーの健康が心配。おむすびスタンドなら立ち寄りやすく、彼らとコミュニケーションをとることで、彼らの心と体を守れるのでは、と考えたのです。」
現在、看護師としての仕事も続ける小鹿さんですが、新たなプロジェクトを企画しています。それは…最近増えてきた空き家を使って、街のみんなの「実家」のような居場所を作ることでした。
2023年5月13日(土)放送
料理人とパティシエがタッグを組むタルト専門店
トビアス・ゲンスハイマーさん、近藤大介さん 大阪市西区「タルトスクエア」
2023年2月、大阪市西区新町にタルト専門店『タルトスクエア』がオープンしました。お店に並ぶのは、12種類のタルト。半分の6種類は甘くない惣菜系のタルト。英語で「塩気のある食べ物」を指すセイボリータルトを作るのは、ドイツ人オーナーシェフのトビアス・ゲンスハイマーさん。そしてもう半分のスイーツ系タルトを担当するのが、総料理長の近藤大介さんです。
「セイボリータルトはヨーロッパではよくあるが、日本では馴染みがない。これを広めることができれば面白いのでは。」とトビアスさん。近藤さんも「タルト専門店なら、食事とスイーツの両方を提供できます。これまでに無かったお店が出来ると、二人で話し合って計画を練りました。」
トビアスさんは、ドイツの有名ホテルで料理人としてのキャリアをスタートさせ、ヨーロッパの有名レストランなどで腕を磨きました。2013年に来日し、大阪の5つ星ホテルの立ち上げに携わり、総料理長に就任します。そこで出会ったのが、結婚を機に大阪に移り、同じホテルの立ち上げに加わった近藤さんでした。何人かいたパティシエの中からたちまち頭角を現し、トップパティシエになった近藤さんを見て、トビアスさんは「いつか独立したいという思いがあったが、一緒に店をやるなら、彼しかいない」と近藤さんを誘ったのです。
さて、トビアスさんは日本語が苦手、近藤さんは英語が苦手ですが、10年一緒に働いただけあって、息はぴったり。トビアスさんが4年前に結婚した奥様の好絵さんが通訳することもあります。そんな二人が、5月に挑む新作に密着します。
2023年4月22日(土)放送
料理人を魅了するジュエリートマト
井狩けいこさん 滋賀県蒲生郡日野町 「FARM KEI」
琵琶湖の南東部に位置する滋賀県蒲生郡日野町。ここにトマト農園『FARM KEI』があります。オーナーの井狩けいこさんが育てるミニトマトは9種類。ジュエリートマトと呼ばれ、文字通り宝石のような輝き。30坪のハウスに、トマトの木が整然と並んでいます。イタリア産の旨みの強い品種を完熟で出荷することで、トマト嫌いの子供でも、ここのトマトなら食べてくれると評判。ホテルのレストランや料亭、ケーキ店にも卸され、名だたる料理人に愛されています。
地元・日野で生まれ育った井狩さん。21歳から自動車販売会社で営業として働き始めます。車好き、人好きな井狩さんは、トップ営業マンとして表彰されるまでに。そして次の夢を叶えるため、47歳で退社。次の夢とは、農業でした。
近隣のトマト農家からビニールハウスを譲るのでトマトを作ってみないかと相談されたのです。農業に縁のない暮らしをしてきた井狩さんは、生のトマトも苦手だったのですが、息子の妻の葉月(なつき)さんの「SNS映えするクレヨンのようにカラフルなジュース」という思いつきをきっかけに、黄色、オレンジ、緑などカラフルなミニトマトの栽培とジュース作りに挑戦します。
さまざまな人の手助けを受けてトマト作り、ジュース作りを軌道にのせた井狩さんのもとにある依頼が。それは、日野町にあるダリア園の立て直しです。20年前に有志の手で作られた日野ダリア園は、約1万坪の敷地に、春は桔梗や芍薬、秋はダリアが咲き誇る観光スポットですが、コロナの影響やお世話をする皆さんの高齢化で先行きが不透明になっていたのです。
ダリア園活性化のきっかけになればと企画したのが大規模なマルシェ。ゴールデンウィークを前に、ダリア園のことを多くの人に知ってもらおうと考えたのです。
2023年4月15日(土)放送
タマゴソムリエが開いた卵専門店
横山万桜さん 京都市下京区 「たまごサンド専門店NINUKI」
2022年9月、京都市下京区に、『たまごサンド専門店NINUKI』がオープンしました。繁華街からは少し離れた場所にありますが、女性を中心に客足が絶えない人気店です。店主はタマゴのソムリエ、タマリエの資格を持ち、卵が好き過ぎてしょうがない、横山万桜さん。「ニヌキ」とは、京都の言葉で「ゆでたまご」のこと。看板メニュー「NINUKIサンド」は、絶妙なとろみ加減のスクランブルエッグを挟みます。使う卵は、京都の食材にこだわる万桜さんが選び抜いた地たまご「くろ丹波」など。「卵黄の美味しさは勿論のこと、卵白が美味しい卵こそが、本当に美味しい卵だと思います」と万桜さんは言います。
パンにもこだわり、京都を代表する老舗喫茶店『イノダコーヒー』のクロワッサンを焼いているベーカリーに頼み込んで卵に合うパンを特注しています。とにかくこだわりが半端ない万桜さん。毎朝6時に店に出て、去年11月に出産した二人目の子供を抱きながら、スタッフと仕込みを行います。
『NINUKI』を閉めた後、万桜さんが向かうのが、木屋町にある卵料理専門店『EGG BAR TAMAGO』。京都の「地たまご」の特性を生かした料理やドリンクを出すお店で、オーナーは万桜さん。実はこちらが一号店。2017年オープンの、万桜さんの原点なのです。「とにかく卵が大好きで、どうすれば卵を美味しく食べることができるか、研究を重ねてきました。それは今も続けていて、新作メニューも考えています」。
withコロナで、テイクアウトもできるたまごサンド専門店としてオープンさせたのが『NINUKI』でした。その時に力を貸してもらったのが、「地たまご」の仕入れ先になってくれた、京都の養鶏場の人たち。「新作を作ったら、できるだけ試食してもらって、感想を聞くようにしています」。「お店を開く前から、やりたいことが一杯あって。いっぺんには出来ないので、少しずつ。京都の地たまごの美味しさを伝えていきたい」。
2023年4月8日(土)放送
父親が残した崩壊寸前のパン屋を再オープンさせたDJパン職人
水野真吾さん 神戸市垂水区 「BREADMAN(ブレッドマン)」
今なお昭和の雰囲気が残る街、神戸市垂水。この垂水に2022年12月、異色のベーカリーがオープンし、話題になっています。名前は『BREADMAN(ブレッドマン)』。ハード系の香ばしいパンを中心に、毎日40~50種類が並び、行列になるほどの人気です。パンを焼くのは店主である水野真吾さん。
水野さんが焼くパンは独特です。看板商品は「チャバタ」。通常のパンは小麦100%に対して水70%ですが、水野さんは小麦より多い120%の水を使います。機械ではこねられず、手ごねです。水分が多いので中はモチモチを通り越してプルプル。外はサックサク。イタリアンのシェフが味の良さに驚き、店で出すためにわざわざ買いに来るほどです。そして『ブレッドマン』では、17時以降、「立ち呑みスタンド」に変身。パンをつまみに、ビールやワインを楽しめるとあって、若い女性や、地元商店街の人々がよく飲みに来てくれます。
水野さんにはもう一つの顔があります。「クラブDJ」です。神戸のイベントスペースなどで、DJをしながら『ブレッドマン』のパンを販売します。「やはりDJはこれからも続けていきたいです」。
垂水のこの地で『欧風パン・クレセント』の職人の息子として生まれた水野さん。お店は食パンや素朴な菓子パンなどが並ぶ庶民的な店でした。父の夢は「息子にパン屋を継いでもらう」。しかし水野さんは19歳で上京。音楽フェスティバルの運営に携わりながらDJとなり「DJ BREADMAN」の名でアーティスト活動もしていました。しかし父が高齢となり、お店は8年前に閉店。水野さんは店を継ぐ決心をします。
10年間、パン職人の修業をして、東京で結婚した妻と子供と共に神戸に帰ってきます。ところが店は震災の影響もあって崩壊寸前。水野さんは働きながら資金を貯め、約2年かけて店をリフォーム。開店へとこぎ着けたのです。健康が快復した父も喜びを隠せません。そして水野さんは、そんな父が残した食パンに、新たな思いを寄せていました。
2023年4月1日(土)放送
捨てられる布をオシャレな帽子にアップサイクル
月田翔子さん 大阪市浪速区 「BUTCHER(ブッチャー)」
大阪・難波に「オシャレでカッコいい帽子のブランドがある」と話題になっています。それが『BUTCHER(ブッチャー)』。帽子のデザイン、パターン、縫製まで一貫して手掛けるのが今回の主役、デザイナーの月田翔子さんです。
月田さんが作る帽子には、大きな特徴があります。それは廃棄される布を使っていること。服を作る工程で出てくる端材、個人が着なくなった服などを帽子として蘇らせるのです。「捨てられる布に新しい価値を与え、カッコよくして世に届ける」。服飾デザイナーの月田さんが手掛ける帽子は、どれも立体の美しさ、着用する人を魅力的に見せる造形が際立っており、しかもストリート感覚に溢れています。
中崎町のセレクトショップ「WHY KNOT」の店長、ノブさんも、月田さんの帽子の大ファン。「自分が着なくなった服から、キャップとか出来たらいいな」という話から「フクカラボウシ」イベントがスタートし、瞬く間に大盛況。ありそうでなかった「オーダーメイドの帽子」は、機能も見た目もハイセンスで、生地を持ち込む人たちに喜ばれています。
大阪で生まれ育った月田さん。高校を卒業後、服飾専門学校に進学します。そしてアパレル会社に就職しますが、その後、服飾デザイナーとして独立。結婚した夫の帽子が頭に合わないので、解体して組み直したところ、予想以上に上手くできたのが、そもそものきっかけでした。
さて、街で話題の『BUTCHER(ブッチャー)』に、新たな依頼が。それはアウトドアメーカーとコラボする、「フクカラボウシ」。メーカーの社員さんの私物から作る「アウトドアキャップ」の製作やいかに。
2023年3月25日(土)放送
大阪もんの魚を全国へ、そして世界へ
奈須悠記さん 大阪府岬町 「陸水」
大阪府の最南端、岬町。漁業が盛んなこの町で、フグやクエなど、高級魚といわれる魚たちが養殖されています。魚たちが泳いでいるのは、大阪湾、ではなく、なんと陸上に並べられた水槽の中!「海面養殖だと、台風や赤潮の被害や、病気のリスクがありますが、陸上の場合はそれらの影響がなく、安定供給が可能。また、大消費地の大阪に近いので輸送費が削減できて、鮮度の高い魚をリーズナブルな価格で提供できます」そう語るのは、この地で陸上養殖を手掛ける、奈須悠記さん。今、日本全国から注目を集めている若き養殖家なのです。
海のすぐそばにある建物に、60トン水槽1基、30トン水槽3基。生簀に張った海水は地下からくみ上げ、紫外線殺菌処理したものをかけ流しにしているため、抗生物質を使用しなくても病気が発生しないとか。海水を使用するには、漁協の許可が必要なため、承諾を得るのは大変でしたが、「次世代へ残すための漁業の形を作りたい」という奈須さんの熱き思いに組合が賛同してくれました。こうして2021年8月、『陸水』はトラフグの幼魚を仕入れて養殖を開始。ついには、手塩にかけて育てた「陸水トラフグ」が出荷されました。「トラフグ最大の消費地は大阪ですが、生産地は長崎が半数。トラックでの輸送は9時間かかりますが、この生簀からなら2時間。鮮度抜群です」
奈須さんは岬町にほど近い堺市生まれ。近大マグロの成功に感銘を受け、2011年、近畿大学水産学科へ進学。卒業後は大手水産会社に就職して、ブリやサーモンの養殖に携わります。そして、安定した企業を辞めて独立し、東京からこの地へ移住。その決意には、奥様の支えがありました。
そして早くもオファーが殺到しているのが、この春、出荷予定のサーモン。淡水から海水へと慣らすのが非常に難しいデリケートな魚です。淡水に少しずつ海水を混ぜ、時間をかけて水槽へ。ここで3か月をかけ、倍ほどの大きさに育てて出荷します。鮮度抜群の陸水サーモン、はたしてそのお味は?
2023年3月18日(土)放送
令和のオシャレな豆腐店
神原裕さん 神戸三宮 「奴 感じのよい豆富店」
豆腐といえば「食卓の脇役」のイメージが強いですが、去年神戸にオシャレな豆腐専門店『奴YACCO』が誕生しました。コンクリ―ト打ちっぱなしのスタイリッシュな店内。カウンター奧のキッチンは、まるでDJブースのような空間です。販売している豆腐や豆乳はポップでカラフル。パッケージはイラストレーターがデザイン。イートインスペースまであります。やれやれ、「映え」を狙ったイキったお店かと思いきや…メッチャ美味しいと評判に。この豆腐屋さんを作ったのが、今回の主役、神原裕さんです。
「豆腐の地味なイメージを変えたかった」と語る神原さん。木綿や絹ごしではなく、
山芋やトウモロコシ、柚子や湯葉やハーブなどを合わせて、とろけるような舌ざわりの創作豆腐を生み出しています。「0歳から100歳まで食べられる豆腐」がコンセプト。また、2種類の豆乳は、濃厚な味がクセになると、こちらも大好評のようです。
岡山出身の神原さんは、神戸の大学を卒業して、飲食店で経験を積んだ後、ドーナツを売りにしたカフェを開業。人気店となりますが、コロナ禍で閉店。沖縄旅行で90代のお婆ちゃんが作る島豆腐に感動、豆腐に目覚めます。そこからは、名店と呼ばれる豆腐店を100軒以上巡って、理想の大豆と豆腐作りを追求しました。神原さん独自の豆腐製造法にたどり着きます。では、その工程を見せてもらいましょう。これまでにないスタイルで、たちまち人気店となった『奴』。開店以来、お店を支えてくれるメンバーがいます。営業責任者の吉川さんと、販売責任者の河井さんです。週に一度はミーティングを開き、アイデアを出し合っています。また、10年来の友人であるシェフ、小林さんとは、一緒に創作豆腐を考えるパートナーでもあります。
そんな中、神原さんはこの春から新しい戦略を考えていました。それは、日持ちする『奴』の豆腐の特徴を生かして、定額で豆腐を販売して自宅に届ける「豆腐のサブスク」でした…
2023年3月11日(土)放送
ガーナに渡りカカオ農家の貧困を改善、流通に革命を起こした起業家
田口愛さん 東京・新大久保 「マーハチョコレート」
深いコクと芳醇な香り、極上の味わいが人気のチョコレート『マーハチョコレート』。
少量生産のため、なかなか手に入らない貴重なチョコとなっています。ブランドを立ち上げたのは、若干24歳の起業家、田口愛さん。彼女は世界的雑誌「ニューズウィーク」で、本田圭佑選手らと並ぶ「世界に貢献する日本人30人」に選出されています。彼女の何が凄いのか?それはガーナに渡り、異国の流通システムに革命を起こして、カカオ農家の待遇を改善したからでした。
田口さんのチョコレート起業家としてのスタートは、大学1年の夏休み。チョコ愛が激し過ぎて、カカオの生産地であるガーナを一人で訪れたことがきっかけでした。そこで目の当たりにしたのは、カカオ農家の厳しい現実。カカオを作っているのに、チョコを食べたことがない。そこで田口さんは、現地でチョコを手作りし、村の人たちに食べてもらったところ、「こんなに美味しいものは食べたことが無い」と感激されました。そこで彼女は、タンザニアやインドネシアのカカオ産地に学び、発酵技術をガーナの村の人々に伝えました。さらに、ガーナ政府に直談判して、均一価格だったカカオ豆を品質が上がれば高く買い取るシステムに変更させることに成功。日本の女子大生が、ガーナでカカオ革命を起こしたのです。
田口さんのチョコレート工房は、東京の新大久保にあります。ガーナから国際郵便で届いたカカオから、どんなチョコが出来上がるのか、じっくり見てみましょう。手間暇を惜しまず作っているので、量産が難しいのも納得です。
田口さんが次なる目標として掲げていたのが、現地でチョコレートを作れる工場の建設でした。クラウドファンディングで資金を集め、ついに昨年10月、工場が完成しました。質にこだわったカカオの栽培から、チョコレート製造までを自分たちで請け負うことになったガーナの村の人たち。より多くの付加価値をもたらすことでしょう。
日本にいる間は、新商品の開発にも余念がない田口さん。出来上がったのは、これまた美味しくて、美しいチョコレートでした。
2023年3月4日(土)放送
開店8か月でビブグルマンを受賞した人気ラーメン店
伊藤聡孝さん 京都市 「麦の夜明け」
関西屈指のラーメン激戦区といわれる京都。そんな京都の西大路に、いま人気のラーメン店『麦の夜明け』があります。このお店を営むのは、29歳の若き店主、伊藤聡孝さん。人気の秘密は、ラーメンに使う食材としては珍しい「山椒」。看板メニューの「帆立と山椒の中華そば」には、伊藤さんのこだわりが詰まっています。
滋賀県産の「淡海地鶏」の小骨でダシを引き、白醤油に干し帆立を加えて一か月寝かせてタレを作ります。オイルに使う粉山椒も帆立に合う絶妙のバランス。麺も自家製麺で、麦へのこだわりから、店名を『麦の夜明け』としました。他のメニューも「唯一無二」を目指して努力を重ね、なんと開店8か月で、ミシュランガイドのビブグルマンを受賞したのです。
小学生の頃からラーメンが好きだった伊藤さんは、大学で「ラーメン研究会」を創設、年間500杯近く食べ歩きます。卒業後は製粉会社に就職し、そこで5年間、小麦粉や製麺についてみっちり学び、脱サラして去年2月、お店をオープンしたのです。
伊藤さんのラーメンの師匠は二人。京都の名店『ラーメン鶴武者』の西村さんと、3年前に惜しくも閉店した、同じく京都の『麺屋裕』の高松さん。西村さんの作るラーメンは、貝柱や干しエビ、アサリやカキで作る塩ダレと、丸鶏や豚骨、香味野菜などで作る鶏白湯スープが絶品。『麺屋裕』の高松さんの蟹のラーメンは、伊藤さんにとって衝撃の旨さで、「唯一無二だ」と感動したそう。
さて、今年2月に開店一周年を迎える『麦の夜明け』ですが、開店半年記念では、西村師匠とコラボしたラーメンを作りました。そして一周年では、高松師匠とコラボした新メニューを考案。はたして「唯一無二の旨さ」のラーメンは完成したのでしょうか。
2023年2月25日(土)放送
工房の中にオープンキッチンを開いた異色の陶芸家
古谷浩一さん 滋賀県・信楽町 「古谷製陶所」
信楽焼で知られる、焼き物のふるさと、滋賀県の信楽。町の中心から離れた、のどかな里山にある陶芸工房が「古谷製陶所」。日常で使われるリーズナブルな食器で人気の工房です。丸みがあって飽きの来ない、やさしい色合いが特徴。職人の数はおよそ20人。20代の若手から70代のベテランまで、幅広い世代の職人たちが、伝統を重んじながらも現代にフィットする器を生み続けています。工房の一角にはショールームも設置し、一般の人も購入が可能。
窯元の3代目は、古谷浩一さん(43歳)。祖父が窯を開き、父が発展させた工房でしたが、父が病に倒れ、20代の若さで製陶所を引き継ぐことに。そして昨年、古谷さんが起こした大きな改革が、キッチンを開くことでした。陶芸工房の中に、食器を使って調理や食事ができるスペースを設けたのです。「お客さんからよく、この器はどうやって使うのですか?と質問されることが多くて、それなら器を使う体験をしてもらおうと」以来、和食、洋食、薬膳と、様々な料理人を招いて料理教室を開き、古谷さんの器に盛られた料理を皆で食べるという、珍しいスタイルの陶芸工房が誕生しました。
実際に料理が盛り付けられるのを見て、新しい発見があるそうで、「料理が美味しく見える」と評判の古谷さんの器には、そういった研究と努力がありました。また、父が焼いた高級和皿は、主に料亭などで使われる高級和皿でしたが、古谷浩一さんは父の伝統を受け継ぎつつ、「和食、洋食、イタリアンなど、様々な料理に合う器が焼きたかった。使いやすさ、軽さ、重ねやすさ、かわいさにこだわりました」
父親の代では、問屋への卸しが仕事の中心でしたが、古谷さんが工房を継いでからは「消費者に近づきたい」と、全国の陶器市やクラフトフェアなどに積極的に参加。また、料理のプロたちにも、「使いやすく、素朴で愛らしい」と評判で、次々に注文が入るように。さらに、古谷さん、器の絵付けにも挑戦しますが、その技法が大胆過ぎました。さて、どんな器になったのでしょう。さっそく工房の料理教室で使ってみます。
2023年2月18日(土)放送
若き女性菓子職人 世界一に挑む
立山優惟さん 尼崎市南武庫之荘 「リビエール」
阪急・武庫之荘駅から南へ、並木道沿いに数分。1982年から地元の人たちに愛されるパティスリー『リビエール』があります。可愛い缶に入ったラングドシャは、オンラインで発売と同時に完売になるほど人気の一品。ここで働くパティシエール、立山優惟さんが今回の主人公です。彼女こそは、2年に一度、イタリアで開催される女性菓子職人世界一を決定するザ・ペストリー・クイーンに、日本代表として出場するのです。大会に向けて必死に特訓する立山さん。そして「LIFE」スタッフも、その国際コンクールに同行して、彼女の挑戦に密着します。
「ザ・ペストリー・クイーン」大会は2日間にわたって行われ、1日目は11時間、2日目は6時間半で課題のお菓子を作ります。プラス、飴細工とチョコレート細工を製作するという過酷なもの。これまで、このコンクールで日本人が優勝したことはありません。立山さんが得意とするのは「エアスプレー」。飴細工の一部にエアスプレーで絵を描くのですが、フリーハンドで絵を描く人はほとんどいないため、この技を極めようと、深夜まで猛特訓が続きます。
立山さんは鹿児島県霧島市出身。料理とお菓子作りが得意なお母さんのもと、小学生のころからお菓子作りに夢中になります。そして大阪のエコール辻学校に進学し、エコール辻フランス校でも学びました。東京のパティスリーに就職してからは働きながら様々なコンクールに挑戦して、入賞・優勝を果たします。そして「ザ・ペストリー・クイーン」日本予選で優勝して、挑戦権を獲得したのです。ところが、コロナウイルスのパンデミックにより、大会は延期。絶望の中、さらなるステップアップを目指し、全国区の人気店となった『リビエール』に移ったのです。
『リビエール』の二代目オーナーシェフ、西さんも世界一をめざす立山さんをサポート。11時間、6時間半かけて、大会さながらの練習に付き添いました。そして今年の1月末、いよいよイタリアで本番を迎えました。果たして立川さんの成績は?
2023年2月4日(土)放送
キッチンカーでマグロの解体ショー!
西本知生さん 岸和田市 「at鮪」
前代未聞、マグロ専門のキッチンカーを作った男がいます。岸和田を拠点に、連日、大阪や和歌山に出店しているのは、西本知生さん、40歳。マグロの魅力に取り憑かれ、鮮度の良い捌きたてのマグロを、より身近な場所で美味しく食べてもらいたい。その思いを実現するため、キッチンカーでのマグロ解体ショーを考えました。移動販売で寿司や丼を生で出すなど、一見不可能かと思われましたが、冷蔵庫や冷凍庫など、飲食店と同等の設備を取り入れて、苦労して営業許可を得ることができました。費用は総額240万円。店名は『at鮪』。西本さんは、日々、創意工夫を重ね、マグロの旨さを研究しています。マグロの血合を美味しくするために思いついたのは串カツ。小型の電気フライヤーを購入し、揚げたてを提供して、冬の人気メニューとなりました。
信頼する卸業者から本マグロを一本仕入れ、シャリにも拘ります。店で扱う酢飯はお酢の加減を細かくオーダーしています。この日は、江戸前寿司の赤酢を使った新しいお寿司を考案。関西人は少し苦手とする赤酢ですが、さて、どんなシャリになるのでしょう。
1月上旬。初の遠征で岡山へ。『at鮪』では、月に数本、企業から解体ショーの依頼が入ります。自動車販売のイベントで、マグロをテーブルに上げると、ショーが始まる前から人が集まってきました。目の前で大きな切り身に捌くと、その迫力に大人も子供も圧倒された様子。解体ショーは大人気となりました。
西本さんは寒い冬にぴったりの新作を考えていました。それは「マグロのダシ茶漬け」。解体した時に大量に出る骨で出汁を取り、それを丼にかけて完成させるのですが、マグロの風味と魚臭さのバランスに苦労します。また、醤油の量で味にばらつきが出ることも悩みのタネに。さて、それらの問題を西本さんはどうやって解決したのでしょうか。
2023年1月28日(土)放送
パワフルな母が営む東大阪の食堂
篠尾里枝さん 東大阪市 「笑美食堂」
東大阪市の近鉄長瀬駅。近畿大学の最寄り駅なので、大学までの道は「まなびや通り」と名付けられ、学生向けのお店が軒を連ねます。そこに、ブルーのタイルと提灯が印象的な、ある食堂があります。篠尾里枝さんが営む『笑美食堂』です。笑顔を絶やさない、明るい人柄で大人気の食堂です。お昼の一番人気は、週に2回の小鉢ランチ。彩り豊かな8種類の小鉢に、ご飯とスープが付いて1,000円です。わずか5席の店内はたちまち満席に。テイクアウトのお弁当も大人気。しかも毎回、少しずつメニューを変えているというから、大変です。
大阪生まれの篠尾さんは、23歳のとき、母親が営んでいた喫茶店にアルバイトで入りました。ところが、「そのお店が閑散とし過ぎて、このままでは潰れると思ったんです」。そこで、自分にお店を任せてもらい、お店を改装して家庭料理のお店をオープンさせました。料理の腕を上げながら、持ち前の明るいキャラクターもあいまって、たちまち人気店に。しかし、結婚を機に店を閉めて専業主婦となります。今では小学4年生の長男を筆頭に、3人の子どもを育てていますが、3年前、再びお店をオープン。「子育てをしながら考えたんです。ご飯を食べて元気になり、ご飯を食べて笑顔になる」。そんな思いを込めて、『笑美食堂』と名付けました。
守口市に住む篠尾さん。朝ごはんの準備を終えると、東大阪まで自転車で10キロ。
途中、野菜を仕入れたりしながら、2時間かけてお店に着きました。翌日の仕込みが終わると、また自転車で10キロ、明るく家に帰っていきました。パワフルです。
そんな篠尾さんですが、ある悩みがありました。「健康的で栄養豊富な料理でみんなを笑顔にしたいと頑張っているのに、自分の子どもが野菜嫌いになってしまって。こういう悩みを抱えた親御さんは多いと思うんです」。篠尾さん、何か新しいモノを作ろうと考えていました。それは…子どもが大好きなりんご飴のように、野菜の餡が出来ないか、というアイデアでした。はたしてお子さんたちは食べてくれるのでしょうか?
2023年1月14日(土)放送
10歳で社会人を育てるユニーク教育
川村哲也さん 京都市上京区 「スタジオあお」
学問の神様で有名な北野天満宮のすぐそばに、今注目の学習教室があります。『スタジオあお』です。毎日、夕方の5時から授業開始なのですが、机に座っている生徒は一人もいません。「ここは勉強を教えない学習塾で、生徒がやりたいことを応援する塾なんです」と、塾長の川村哲也さん。子供たちはプロジェクトを立ち上げて、最後まで責任を持ってやりきる、夢を応援する学習教室なのです。
下は小学5年生から、上は中学3年生までの生徒が、それぞれのプロジェクトに没頭しています。アートが好きな子がオオサンショウウオの実物大模型を造ったり、イラストが得意な子は、ウマ娘をヒントに駄菓子娘を生み出し、世界中に公開して販売するのだとか。
川村さんは北海道生まれ。大学を卒業後、東京の大手人材企業に就職します。しかし「僕の周りで、鬱になって会社を辞める人が大勢いて、学校では優秀で真面目な人ほど、ビジネスの世界とのギャップに苦しんでるな、と」。子供の頃からビジネスの世界で求められる能力を養う場所が必要だと感じた川村さんは、2016年、京都に戻って、『スタジオあお』を立ちあげたのです。
スタジオあおが現在のプロジェクト型の塾となった出来事があります。生徒が「捨て猫の飼い主を見つけたい」と、インスタに写真をアップして猫を人気者に。次に川村さんが資金を提供して写真集を作り、一冊500円で販売したところ、100冊も売れて、費用も回収。猫の飼い主も見つかりました。
『スタジオあお』では、ビックプロジェクトが進行中。立ち上げたのは青山くんと山下くん。それは…「手作りの船で琵琶湖を横断したい」というもの。始めてみると失敗ばかり。でも先生は「こうしたらいい」とは教えません。「どうしたらいいと思う?」と生徒に考えさせるのです。川村さん「成功しても失敗してもよし。チャレンジすることが大事なんです」。ついに船を完成させ、いざ琵琶湖へ。ところが…
2023年1月7日(土)放送
遊び心たっぷりの創作中華
佐藤和博さん 大阪・北新地 「RAKUSUI」
オリジナリティー溢れた、遊び心たっぷりの創作中華料理で注目されているのが、北新地にある中華料理店『RAKUSUI』の“料理作家”、佐藤和博さんです。メニューがとにかく独創的。「遊園地のような油淋鶏」は、ティーカップに入った野菜たっぷりの油淋鶏が、ターンテーブルの上をぐるぐる回ったり。「プラネタリウムのような酢豚」は、太陽系の地球が肉団子、太陽がオレンジトマト、水星がブルーベリー、木星がうずら卵と、素材を惑星に見立てています。見た目に楽しい皿ばかり。しかも、味は抜群です。
佐藤さんは北海道出身。幼くして父を亡くし、母一人子一人で育ちました。母親は仕事なので、小さい頃から包丁を握る日々。『料理の鉄人』の陳健一に憧れて大阪の調理師専門学校に入学し、卒業後は大阪のホテルや芦屋の中華料理店で修業します。そして2006年、北新地で『RAKUSUI』を開いたのです。
実は、オープン当初は普通の創作中華のお店でした。現在の路線に変わるきっかけは、北浜にあるフレンチレストラン『マキュア』の中山大輔シェフとの出会い。シェフの「斬新なアイデア」や「豊かな発想」に魅了されて「フランス料理のようなエビチリ」が誕生。以降、エンタメ中華への挑戦が始まったのです。
お店の営業は18時から22時までですが、仕込みに手間がかかるため、営業後も仕込みです。家族の居る自宅は芦屋ですが、月~土は天満のマンションで一人暮らし。創作のインスピレーションは散歩だそうで、どこにヒントがあるか分からないため、仕入れには、いつもと違う道を歩くとか。新作の完成までに数年かかることも。
お店の年内最終営業日は12月30日。その夜は毎年、『マキュア』の中山シェフが来店します。料理はおまかせ。今年は、現在試行錯誤中の未完成メニューを出すことに。それは「阪神飯」という天津飯。イメージを掴むため、阪神甲子園球場の甲子園歴史館を訪れます。さて、どんな天津飯になるのでしょうか。
2022年
2022年12月17日(土)放送
丹後の食材に魅せられたポルトガル人の和食料理人
リカルド・コモリさん 京都府宮津市 「西入る」
「天橋立」で知られる、海の京都を代表する観光都市・宮津は、豊かな海産物に恵まれた街でもあります。その一角に今年6月、異色の寿司割烹がオープンしました。板場を仕切るのはポルトガル人の料理人、リカルド・コモリさんです。西の国・ポルトガルから来た料理人の店なので「西入る」と名付けました。古い蔵を改装した店内で、旬を活かした本格的な日本料理のコースを振舞います。カウンター席6席から全てが見通せる緊張感のある板場。妻の美穂さんが接客を担当して、場の空気を和らげています。なぜ宮津でお店を?「美しい自然と素晴らしい食材、住む人の温かさに惚れ込んで」。
ポルトガルの首都・リスボンで生まれたリカルドさんは、こどもの頃から料理が大好き。シェフを目指して地元の調理師学校へ進学しますが、寿司の美味しさに衝撃を受け、リスボンの日本食レストランで働きます。そして別の日本食店で働いていた美穂さんと出会い、結婚。和食をもっと極めたいとの思いから、2015年に来日。河口湖や草津温泉で懐石料理の基礎を学び、銀座や京都の名店で修業します。そして、旅行で訪れた宮津に魅せられ、この地で独立したのです。
日本の食文化を深く愛しているリカルドさんは、旬の食材を生かした日本料理が得意。生産者の顔が見える地元の新鮮な食材をふんだんに取り入れ、仕込みに時間をかけて、ていねいに作る料理は大胆かつ繊細、そして華麗だと評判になり、遠方から訪れる人や、地元のリピーターが増えています。また、王道の日本料理だけなく、ポルトガル人ならではの工夫を凝らした料理やデザートも評判を呼んでいます。
畑を借りて自ら野菜を作ることで、宮津の旬を体感するなど、ひたむきに学ぶリカルドさんの姿勢に共感して、応援する料理人や漁師さんも。
そんなリカルドさんは今、冬の新名物メニューを考えていました。それは…アンコウ。目指すのはポルトガルと宮津の食材を融合させる新たな日本料理。はたして…
2022年12月10日(土)放送
老舗の日本酒蔵が造るシードル
関友美さん 兵庫県宍粟市 「山陽盃酒造」
りんごを絞った果汁を原材料に発酵させて作られたお酒「シードル」。りんごの品種や酵母によって様々な味わいが生まれます。そんな中、清酒酵母を使ったシードルが話題に。醸造元は兵庫県宍粟市山崎町にある『山陽盃酒造』です。播州の水と米にこだわった骨太で超辛口の銘酒「播州一献」の醸造元として、全国に知られた酒蔵ですが、そんな老舗がなぜシードルを?開発を担ったのは今回の主役、関友美さんです。
4年前、蔵人見習いとしてこの酒蔵にやってきた関さんは、元々日本酒ライターとして全国を飛び回っていました。取材で知り合った山陽盃酒造の七代目蔵元・壺阪さんに、「現場で働いて日本酒の勉強をしたい」と打ち明けたところ、採用されます。ところが現地入りの3日前、蔵で火災が発生。幸い、酒造りに欠かせない麹室は被害を免れたものの、蔵は大打撃を被ったのです。
ピンチをチャンスにできないか。そう考えた関さんが目を付けたのが、りんごでした。宍粟市は上質なりんごの産地。「このりんごなら絶対に美味しいシードルが出来る!」と思い、壺阪さんに企画書を提出します。しかし壺阪さんは「火災のイメージを払拭するためにも、新しい酒を造るべきでしたが、超辛口の「播州一献」を造る酒造が、シードルのような甘い酒を造るべきではない」と一蹴。関さんは日本酒ライターとしてのネットワークを生かして、青森県弘前市で造られたあるシードルを試飲してもらいます。すると壺阪さん、「シードルは甘いという先入観が吹っ飛ぶ美味しさ。これは挑戦する価値がある」。早速クラウドファンディングで資金を集め、シードルの醸造方法を学びます。日本酒蔵ならではのシードルを造るため、清酒酵母「きょうかい9号」を使うことに決めました。
こうして2020年、「ひょうごシードルロンロン」が完成。試作販売はすぐに完売し、翌年、本格的にシードル造りをスタート。すると、甘すぎず、どんな料理にも合う、と評判になり、レストランからも発注がくるようになりました。しかし関さんたちは醸造方法を常にブラッシュアップ。新しいシードルの開発に余念がありません。
2022年12月3日(土)放送
和歌山の新鮮フルーツを使うパン職人
西俊英さん 和歌山県紀の川市 「メゾン フルリール」
大阪のハービスプラザで、人気のパン屋さんが関西各地から集まる「パンマルシェ」が開かれていました。このマルシェで注目されたのが、和歌山からやってきた『メゾン フルリール』です。柿をはじめ、旬のフルーツを使ったパン。すべて和歌山でとれたものです。このパンを作っているのが、店主、西俊英さん。フルーツ王国の和歌山では、収穫量日本一の柿や、旬のイチジク、桃など、一年を通して多彩なフルーツを楽しめます。
『メゾン フルリール』の店内では、40種類以上のパンが並びますが、すべてのパンを西さん一人で作ります。人気なのはやはり、店頭に並んだ途端に売り切れるフルーツのパン。完熟を使うため、作る上で特別な工夫がなされています。さて、それは?
お店の奥には、食事席があり、ランチタイムはすぐに満席。なぜなら、パンが食べ放題なのです。気前がよいサービスの裏には、パンとフルーツへの情熱がありました。さらに、料理も自分で作ります。オーダーを必死でさばく西さん、もうてんてこ舞いです。
こんなに忙しい西さんですが、食材へのアンテナは常に張っており、「いい生産者がいる」と聞けば、自らその農園に行きます。そこで手に入れたフルーツを使って、新たなパンを作るのです。「試作は一発合格」という「失敗しない男」、西さん。この日はイチジクと柿の新作を完成させました。店頭に並んだ新作の側には、可愛らしいイラストのポップが。描いているのは、奥様の裕美さん。彼女はプロの漫画家なのです。
和歌山で出会った二人でしたが、裕美さんに漫画の連載が決まり、上京。一緒に東京に来た西さんは、パン職人の道へ、名だたる店で5年間、修業を積みました。そして東京のフルーツは、和歌山の完熟採れたてのフルーツにはかなわない、と気が付き、今度は裕美さんを連れて和歌山に戻ってパン屋さんを開くのです。
さて、クリスマスにむけて西さんの新作はシュトーレン。和歌山のドライフルーツを使ったシュトーレン、西さんは納得がいかず、何度も試作を繰り返します。「失敗しない男」が初めて見せる苦悩。さて、一体どんな結果が待っているのでしょうか。
2022年11月19日(土)放送
元ボクサーが作る創作どら焼き
平野秀光さん 大阪市北区 どら焼き専門店「燎-kagaribi-」
昭和レトロな街並みにおしゃれなカフェや雑貨店が並ぶ、若者に人気の街、中崎町。
そのはずれに今年3月、あるスイーツ専門店がオープンしました。どら焼き専門店「燎-kagaribi-」です。まるで洋菓子のような華やかさですが、全部、どら焼きなんです。目にも鮮やかな進化系どら焼きは、若い女性だけでなく、幅広い年代層に大人気です。
デコラティブなどら焼きは、ポエムのように可愛らしい名前が付けられた和スイーツ。濃厚で香り深い宇治抹茶ムースを挟んだどら焼きは、静かな湖畔で咲く花『湖畔に花一凛』。紫芋を練り込んだ白あんのムースは、夜明けに揺れる藤『あけほのの藤紫』。求肥と甘さ控えめの小豆餡が絡み合い、まるで蝶が羽ばたく『月夜に舞う蝶』。
この斬新などら焼きを作るのが今回の主人公、平野秀光さん。イマドキのスイーツ男子かと思いきや、実は甘いものはご法度の、元プロボクサー。「ボクサー時代は減量で大好きなどら焼きなんてもってのほか。30歳で現役を引退し、甘いものへの渇望と憧れが高じて、どら焼き専門店を出しました」。
箕面市で生まれた平野さん。3歳の時に両親が離婚し、3人の子供を女手一つで育てるため、母親は朝から晩まで働きづめ。そんな母の背中を見て育った平野さんは、「欲しいものも欲しいと言えなかった」。少しやんちゃな少年時代を過ごしたのち、ご縁があって介護施設に就職。そこのオーナーを通じて知り合ったのが、元プロボクシング世界王者、井岡弘樹さんでした。25歳だった平野さんは、遅咲きながらもトレーニングを始め、プロデビュー。今でも時々お店に顔を出す井岡さんですが、平野さんのどら焼きの印象は?
独学でどら焼き作りを研究した平野さん。餡も生地もこだわり抜き、厳選した素材を、どら焼きの種類によって絶妙に変えています。中でも女性から「食べても罪悪感がない」と人気なのは皮から餡まで平野さんオリジナルのヘルシーどら焼き。減量に苦しんだボクサー時代。その経験から甘いものを我慢している人にも食べてもらいたいと開発したといいます。餡子は通常のものに比べて糖質40%オフ。その秘密とは一体?
2022年11月12日(土)放送
型破りな作風で人気の左官職人
三谷涼さん 京都府長岡京市 「京都ぬりかべ屋 三谷左官店」
「左官」とは、土や砂など自然の素材で、建物の壁や土堀を「こて」を使って塗り上げる仕事。材料の配合、「こてさばき」の技術によって、壁の表情は大きく変わります。京都に、「モダンな壁を作る」と評判の左官職人がいます。「京都ぬりかべ屋 三谷左官店」の三谷涼さん。左官歴27年のベテラン凄腕職人です。
三谷さんが手掛けた壁には、圧倒的な迫力があります。築70年の倉庫をリノベーションした壁は、砂利や石で厚みを出し、異なる色でうねりを描きました。これを「こて」だけで生み出すのです。「伝統は大切です」と三谷さんは言います。「でも伝統をなぞるだけでは、どの職人も同じものを作ってしまう。それでは左官に未来がない。僕は左官の固定観念をぶっ潰したい。」色彩だけではありません。長岡京跡の研究に一生を捧げた「中山修一旧居宅」では、曲線の美と凹凸の立体感を表した壁を製作しています。「やったことのないことをやる」三谷さん。ついた異名が『左官界の異端児』。
長岡京市で育った三谷さんは、小学校3年の時、家の向かいで壁を塗っていた左官職人を見て「めちゃくちゃカッコいい」と憧れを抱き、高校を中退して有名な左官の工房に弟子入り。厳しい修業を重ね、2018年に独立しました。
毎週日曜は、家族でテーブルを囲む三谷さん一家。妻と小6の長男、小4の長女、9月に産まれたばかりの次女。ご家族は三谷さんのことを、どう見ているのでしょう。
さらに、三谷さんが大切にしていることがあります。それは子供たちと開くワークショップ「光る泥だんごづくり」。子供たちに土に親しんでもらい、左官を身近に感じてほしいと、ピカピカに光る泥だんごの作り方を教えているのです。まん丸でカラフル、ツルツルで、とても泥だんごとは思えない出来栄えに、子供たちも大喜びです。
そして、今までやったことのない大きな仕事が舞い込みます。新築のモデルハウスで5メートルを超える巨大な壁。「京都のリゾート」をイメージして、なんと20色に塗り分けるといいます。はたしてその出来栄えは。
2022年11月5日(土)放送
自由な発想で結婚式を演出
菅田貴子さん 西宮 「フリーランスのウエディング・プランナー」
ジューンブライドと呼ばれる6月。大阪・北港の海岸通りにあるギャラリーで、人生の門出を祝うカップルがいました。東京在住の新郎新婦、裕也さんと尚子さん。実はコロナの影響で結婚式を2年間延期。ようやくこの日を迎えることが出来ました。この結婚式を演出するのが今回の主役、ウエディング・プランナーの菅田貴子さんです。フリーランスという立場で活躍しています。
通常とは違い、席は分けずに空間の真ん中にテーブルを配置。派手な花ではなく、グリーンで装飾。コロナ対策で2部制とした今回の挙式、1部は親族、2部は友人と、人数を制限して行いました。サプライズでは、挙式を延期していた間に生まれたお子さんが登場。今日はそのお子さんの誕生日だったのです。思い出に残る式になりました。
西宮の苦楽園。自宅を兼ねた菅田さんの自宅で、10月に挙式を迎える新郎新婦と打ち合わせです。「カップルに結婚式のテーマを考えてもらい、ゼロから一緒に作り上げるのが特徴で、決してNOとは言わず、1年以上かけて準備します」と菅田さん。これまで全国各地のあらゆる場所で結婚式を開催してきました。キャンプ場や公園、築100年の洋館、大学の講堂など、二人が思いを伝えたい場所で挙式するのです。
菅田さんは大学卒業後、北野や芦屋のウエディング会社で経験を積みますが、月に何組も挙式を担当するうち、新郎新婦とちゃんと向き合えているか、疑問に感じ、2011年に独立。自らの会社を設立しました。順調にスタートしましたが、コロナでここ2年、ウエディング業界は大打撃。菅田さんも例外ではありませんでした。
やっと仕事が再開した菅田さん、10月の挙式に向けて準備が進みます。花の仕事をしている新郎の母はブーケを、アパレルの仕事をしている新婦の父は、ドレスとタキシードを手作りなど、アイデアが徐々に実現。その他にも、様々な演出とサプライズが用意され、結婚式当日を迎えました。さて、どんな式になったのでしょうか。
2022年10月29日(土)放送
南堀江で話題のグリルド・サンドウィッチ専門店
吉野利恵さん 大阪・南堀江 「ハイ!サンドウィッチ」
大阪市南堀江。おしゃれなカフェや有名アパレルブランド店が立ち並ぶ、若者に人気のエリアです。そんな街の一軒のお店が、今回の舞台。赤い看板に書かれた店名は『Hi!SandWich』。でも、よくあるサンドウィッチ店と思うと裏切られます。中に入ると鉄板が!ここで香ばしく焼き上がるサンドウィッチを求めて、多くのお客さんが集まってきます。このお店を切り盛りするのが、吉野利恵さんです。
元々お好み焼き屋さんだったお店を改装してオープンしたのが4年前。豪快に調理するライブ感たっぷりのスタイルが話題となり、たちまち人気店となりました。グリルド・サンドウィッチ専門店の先駆けといわれています。一番人気は「ニックダディ」。たっぷりバターをひいた鉄板で、スライスした特製カンパーニュを焼き上げ、8時間の低温調理でとろける食感のお肉を刻み、たっぷりチーズとホワイトソースをかけてサンドし、仕上げは蒸し焼きに。他のメニューにも、とにかくチーズが盛りだくさん。美味しく伸びるチーズに、思わず笑顔がこぼれます。
吉野さんが飲食の世界に飛び込んだのは、まだ十代の頃。東京や大阪の人気カフェなどでノウハウを培いました。独立のきっかけとなったのが『シェフ 三ツ星トラックはじめました』という洋画。一流レストランの料理長が店を辞め、おんぼろフードトラックで究極のキューバサンドを作って人気となるロードムービーです。そこから、鉄板で焼き上げるサンドウィッチの研究に没頭し、ついに自分の店を持ったのです。
店を閉めると、0歳の娘さんを迎えに行き、時々立ち寄るお店にいるのは…旦那さんです。実は夫婦揃って料理人。ある出張料理のイベントで出会って結婚、今は夫婦で協力し合い、育児と仕事を両立させています。
そんな吉野さんに、夢を叶えるチャンスが舞い込みます。映画で憧れていたフードトラックで、グリルド・サンドウィッチを販売できるというのです。あるスポーツイベントへの出店が決まります。ただ、屋外でサンドウィッチを焼くのは初めてという吉野さん。はたしてその結果や如何に!
2022年10月22日(土)放送
ウッドターニング(木工旋盤)に魅せられた男
中島信太郎さん 大阪府松原市 「ナカジマウッドターニングスタジオ」
ウッドターニングと呼ばれる木工のジャンルがあります。材料を回転する軸に固定して、くるくる回しながら刃物をあてて木を削る工法で、お皿、お椀などの食器から、椅子の脚やペンの軸など、丸い物なら大概作ることができます。古くからある技法ですが、日本ではまだマイナーな存在。このウッドターニングに魅せられた作家に密着します。
大阪市松原市。工房のエントランスには、大量の木材と木片。中にずらりと並ぶのは、木工旋盤と呼ばれる機械です。この工房の名は「ナカジマウッドターニングスタジオ」。主宰するのが中島信太郎さん(41歳)です。丸太がボウルになるまでを見せてもらいましょう。使うのは、廃棄される木材。製材工場から出る端材、剪定された街路樹や間伐材、倒木など。中島さんのモットーは「世の中に無駄な物はない」。
生木なので、削りたては真円ですが、日数が経つと乾燥して水分が抜けて木が収縮します。その驚くほどの変化が深い味わいとなるのです。
中島さんは堺市生まれ。28歳の時にワークショップでウッドターニングを体験して、その面白さに開眼。すぐに機械を購入して、ひたすら木を削る毎日でした。そしてできた品をブログにアップするうちに口コミでファンが急増。2013年、工房を立ち上げたのです。今では百貨店で食器が常設され、愛用者も増えています。他にも、ウッドターニング教室を開いたり、職業訓練校の木工科で教えたり、忙しい日々を送っています。
そんな中島さんに新たな作品の依頼が。中島さんの作品を販売してくれている名古屋の植物店からの依頼は大きなサイズで、中が空洞で植物を入れられるもの。
中島さんは初めてとなる大きさの作品に挑みます。
2022年10月15日(土)放送
お店を持たない京都の和菓子屋さん
小林優子さん 京都市 「みのり菓子」
京都市上京区。住宅が並ぶ路地の一角にある築100年の町屋があります。そこで定期的にカフェを開く和菓子職人が注目を集めています。店舗を構えず、様々な場所でお菓子を作る、「みのり菓子」の小林優子さんです。その活躍は出版社の目にもとまり、本も出すほどに。白あんや葛餅など、和菓子をベースに、旬の果物を生のまま使い、素材の組み合わせで斬新な和菓子を作り出す小林さん。どれも作りたてを食べてもらうのがこだわりです。
生まれも育ちも京都という小林さん。幼い頃からお菓子が好きで、製菓学校に入学。和菓子の授業で見た職人の手仕事に衝撃を受けます。指先一つで作られる和菓子の美しさに魅せられ、卒業後は老舗京菓子の「老松」に入社。以来20年間、和菓子にまつわる全てを学びました。2016年、老松で働きながら、自身のブランド「みのり菓子」を立ち上げたところ、その美味しさと美しさが口コミで広まり、2021年に老松を退職して独立したのです。
常に季節感を意識する小林さんは、こだわりの青果店で、収穫されたばかりの野菜や果物を仕入れます。それらは小林さんの手によって、まったく新しい和菓子に生まれ変わるのです。ファンの中には追っかけも。番組では、常に新しい和菓子を生み出し続ける小林さんの、驚きのレシピをたくさん紹介します。また、異業種とのコラボにも積極的なので、そちらにも密着します。
「手打ちうどん・さいとう」とは、うどんの後に食べたくなる和菓子のイベント。斎藤さんの新作カレーうどんを試食してレシピを考えます。庭園デザイナー・鳥賀陽さんとは、「お庭のアフタヌーンティ」。窓に映る嵐山の美しい庭をバックに、秋の庭園を模した和菓子を制作します。さて小林さん、どんな和菓子を作り上げるのしょうか。
2022年10月1日(土)放送
古民家カフェを営む元音楽家の菓子職人
岩﨑朝美さん 兵庫県西脇市 「つむぎ菓子店」
兵庫県西脇市。風光明媚な山あいの集落に、とあるお店があります。古民家を再利用した『つむぎ菓子店』です。ショーケースには、地元産の旬のフルーツを使った美味しそうなケーキが並びます。お客さんは近所の方から、ドライブしてわざわざ遠方から来る方も。カフェでもあるので、皆さん、ゆったりと楽しそう。オープンして2年、はやくも人気店となりつつあります。このお店の店主が岩﨑朝美(ともみ)さんで、ケーキやクッキー、マフィンやスコーンは、全て岩﨑さんの手作りです。
実はこの『つむぎ菓子店』、プレゼンして勝ち抜いて出来たお店。この地域の古民家を使うアイデア募集があり、10組の応募の中から採用されたのが岩﨑さんだったのです。お店は岩﨑さんが自分でリノベーション。オープンしてからは、近隣の農家や、様々な人と交流しながら、メニューの幅を広げてきました。
岩﨑さんは兵庫県三木市生まれ。オーケストラに所属する叔父の影響で、幼い頃から音楽に触れて育ちました。小学5年からクラリネットを習い始め、そこからプロの演奏者を目指します。しかし不幸な事故にあい、2年間におよぶ療養生活を送ることに。「車椅子や松葉杖で身体が思うように動かなくなり、気持ちも切れてクラリネットをやめてしまったんです」。段差などで移動の自由が利かず、元々好きだった古民家カフェ巡りもやめてしまいますが、行けないなら、自分で作ればいいんだと開き直り、コンペに挑んだのです。土間にスロープを作ればバリアフリー。介護車も入れる広い駐車場。ここだ!との思いから、必死でプレゼンの準備をしたのです。
今は、10年前に手放していたクラリネットを再び猛練習。かつて教えてくれた恩師とのコンサートを企画しました。さて、コンサートは成功したのでしょうか。そしてコンサートを終えると、次はカフェの新メニュー作り。親しくしている農家のお米を使ったフォカッチャでモーニングセットはどうかしら。様々な仲間と共に、カフェの可能性はどんどん広がっていきます。
2022年9月17日(土)放送
魚一家の娘が営むフィッシュバーガー専門店
光山加織さん 大阪 玉造 「トトバーガー」
旬の魚介類を使った人気のフィッシュバーガー専門店が、大阪の玉造にあります。店名は『トトバーガー』。作るのはオーナーシェフ、光山加織さんです。お客さんからは「トト姉(ねえ)」の愛称で親しまれています。人気の秘訣は魚の味や食感を上手に生かす下ごしらえ。マグロのフライはまるでお肉のような食感。イワシのフライを挟んだフィッシュバーガーは丁寧な骨抜きで、大人から子供まで大人気。自家製のタルタルソースが決め手です。アジは開いてバター醤油で味付け。トト姉は調理法を変えながら、魚それぞれの最高の味を引き出しているのです。
食材の買い出しは地元・鶴橋の市場へ。火曜の午前9時過ぎに行くのは、市場の休みが水曜だから、売れ残った魚が安く仕入れられるのと、フードロスを少なくするため。フィッシュバーガーの値段をなるべく抑えて、「お客さんと旬の魚との出会いが、少しでも増えますように」。それがトト姉の願いです。
大阪の下町で育ったトト姉は、親子三代の魚一家ですが、芸能界に憧れて19歳で歌手デビュー。25歳で引退して、父の鮮魚居酒屋を手伝うようになり、4年前、独立して『トトバーガー』をオープン、たちまち人気店となったのです。また土曜には、実家の店頭で「朝市」も始めました。利益を考えない特価で様々な魚を販売するのは、少しでも魚に興味を持ってもらいたい一心から。取材日の朝市では、大きなマグロの頭が目玉商品となりました。勿論、売れ残った魚は父の店の料理や、フィッシュバーガーに。一つの無駄もありません。
定休日の水曜には、スープカレー屋さんとのコラボバーガーを作ったりと、休む間もなく動き続けるトト姉。パワフルさと持ち前の明るさで、周りの人たちも笑顔にしていきます。そして、「魚離れに歯止めをかけたい」「市場の魅力を知ってほしい」と考えて、トト姉が新たに始めたのは、一般女性を巻き込んだ「市場でお買い物ツアー」。迷路のような市場をトト姉が案内するのですが、さて、どんなツアーになるのでしょうか。
2022年9月10日(土)放送
母の思いを継いだ双子のキッチンカー
土橋諒太さん、健太さん 奈良市 双子のキッチンカー「CUCI奈良」
奈良の食材で、奈良に住む人、奈良に来た人を笑顔にするため、日夜、走り続けているキッチンカー。乗っているのは、小学校から高校まで、同じチームでサッカー一筋に打ち込んだという双子の兄弟、土橋諒太さんと健太さんです。お店の名前は『CUCI奈良』。人気メニューは、「スパイシーポークオーバーライス」。奈良産「ひのひかり」を使った十六穀米の上に、その日選んだ新鮮なレタス。キャベツ、奈良産「大和ポーク」が乗る一品。スパイスの効いた大和ポークとご飯の相性が抜群だと評判です。その他のメニューも絶品だとか。
「食へのこだわりは、母です。母の手作り料理は、安心・安全な食材を使った身体に優しいものでした。レトルトやスナック菓子を食べた記憶はほとんどありません」。高校を卒業した二人は、揃って奈良の調理専門学校へ。その後、東京や大阪のレストランで経験を積みます。実家に帰ると母親から、「いつか二人でお店をやったら?」と言われることもしばしば。ところが2010年、66歳の母親が癌になり、2011年1月に亡くなります。二人は母との約束を果たすべく、8年をかけて資金を貯め、キッチンカーで開業したのが2020年。しかし、コロナ禍で出店を予定していたイベントはことごとく中止となり、苦難のスタートとなりました。
それでも二人は、厳選野菜やお肉にこだわり、次第に評判となっていきます。「キッチンカーを通して、美味しさだけじゃなく、喜びや楽しさも届けられれば」。さらに、セレッソ大阪の審査を経て、セレッソバルでの出店が認められます。ホームとアウェー、どちらのお客さんからも好評です。
奈良の農家と直接つながって、奈良の食材で、奈良に住む人、奈良に来た人、そして大阪のオフィス街で働く人を笑顔にするため、日夜走り続ける「CUCI奈良」。イタリア語で台所を意味する「クッチーナ」と奈良を掛け合わせた屋号のとおり、依頼があればどこにでも出かけて「台所」を開きます。そんな二人の夢のツヅキは・・・。
2022年9月3日(土)放送
滋賀の野菜の普及に頑張る野菜ソムリエ
和田直子さん 滋賀県大津市 「畑のハナタバ/八百屋さざなみ」
モデルのSHIHOさんが「滋賀国際親善大使」に就任する際、知事が手渡して話題になったブーケがありました。滋賀の野菜だけで作られた「ベジフルフラワー」です。
滋賀県大津市にあるレストラン『グリル漣(さざなみ)』。話題のブーケを作った人は、ここにいます。和田直子さん。「ベジフル」とは、ベジタブルとフルーツを合わせた言葉で、滋賀の野菜畑をイメージしています。美しい花束ですが、勿論すべて食べられます。和田さんは、野菜の名前や料理法を記したカードを添えて、依頼主に手渡すのです。
シェフの夫、和田直樹さんが経営する『グリル漣』の人気メニューは鉄板で焼く「近江牛のステーキ」や舌でとろける「近江牛の握り」。和田直樹さんは、近江牛を扱って20年の大ベテラン。しかし人気があるのはステーキだけではありません。「ここのサラダがとにかく美味しい」とお客さん。考案したのは、奥さまの和田直子さん。生粋の滋賀っ子である直子さんは、野菜ソムリエのさらに上位である「野菜ソムリエプロ」の資格を持つ、野菜のエキスパートなのです。結婚後に大病を患った直子さんの、野菜にかける熱い想いとは?
「滋賀の野菜は、みずみずしくて味も濃い」と和田さん。使う野菜は、滋賀の農家に自ら足を運んで仕入れます。ある日の仕入れは、アクやエグみが少ない「吉川ゴボウ」に、ブルーベリー、珍しい白いイチジクなど、精力的に畑を巡ります。また和田さんは去年から、露天の『八百屋さざなみ』の出張展開も始めました。珍しい野菜に、地元のお客さんも興味津々。野菜情報の発信基地として、話題のスポットになっています。
大勢の生産者と交流するうち、「過酷な環境から野菜は生まれる」と知った和田さん。巨大台風でハウスを壊され、悲しむ生産者を見て、「ベジフルフラワーで野菜の普及に貢献しよう」と考えたのです。様々な場所でワークショップを開催して、ベジフルフラワーの楽しみ方をレクチャーしています。そんな和田さんに琵琶湖のリゾートホテルから、採れたて野菜でベジフルフラワーを作り、それを使ってシェフが料理を振舞う、というイベントのオファーが来ました。
2022年8月27日(土)放送
珍奇植物も扱う園芸店の店主がアツい!
名越正寿さん 京都府相楽郡 「植木屋GREENPLAZA21」
京都府南部に位置する相楽郡精華町に、園芸店「植木屋GREENPLAZA21」があります。実はこのお店、珍しい植物を扱うことで、関西でも指折りの店、として知られています。店主の名越正寿さんは、植物について語り出したら止まらない、植物愛に溢れる人物。代表的なモノをいくつか紹介してもらいましょう。
「中米産の『エアープランツ』は、土がなくても育つのが特徴。メキシコなどの亜熱帯乾燥地に自生する多肉植物『アカベ』は、放射状の葉がつきます。沖縄から屋久島にかけて自生する『ガジュマル』は、他の植物に巻き付きながら成長し、その植物を枯らしてしまうことからまたの名を“絞め殺しの木”」。そして今一番人気の植物が、【ビザールプランツ】と呼ばれる珍奇植物です。例えば「グラキリス」は、マダガスカル産の塊根植物。ボール状の幹から細い枝が分かれて先端に葉が付きます。「ビカクシダ」は岩などに付着して成長するシダの仲間で、垂れ下がる葉を羽ばたくコウモリに例えて「コウモリラン」とも呼ばれます。
珍奇植物を含め、状態の良い元気な植物を数多く揃える名越さんの園芸店。愛情を注いで育て、植え替えや仕立てるセンスも抜群で、いつしか全国の植物愛好家が『最後にたどり着く店』といわれるようになりました。
園芸店の息子として生まれ育った名越さんは、父親の引退を機に2代目となります。そして「売りっぱなしじゃいけない。買った後もケアすることで、植物好きな人を増やしたい。植物を育てる人を育てるのが僕の使命です」。暇さえあれば、意気投合したお客さんの自宅を訪ねてメンテナンス。「植物は自分の子供なんで、わが子の成長を見るようで楽しいんです」。また植物ネットワークを広げるため、これまで交流のなかった園芸店同士の繋がりも大事にします。
とにかく精力的に動く名越さん。夏休みの百貨店催事では、子供を対象にしたワークショップを開きます。親子で植物を仕立てるその目的とは?
2022年7月30日(土)放送
竹野浜1日1組オーベルジュ
塩見達生さん 豊岡市竹野町 「港町のお宿 八塩」
兵庫県の最北端、豊岡市竹野町。美しい海と漁港に水揚げされる魚介の美味しさに魅せられて、この地に移り住んだ料理人がいます。塩見達生さんです。塩見さんは子供の頃、父親がアイスクリームの卸しをしていた関係で、夏休みは毎日、竹野浜にやってきていました。「なんて素敵な場所なんだろう」、と竹野浜が大好きになったそうです。時は経ち、塩見さんは料理の道へ。結婚を機に竹野町に移り住み、2018年、夫婦で営む和食処、『うちげの料理 八塩』をオープンさせたのです(「うちげ」とは方言で「私の家」)。
塩見さんが目指す料理は、竹野で古くから伝わる「おしあげ料理」。船を浜に押し上げた漁師たちの労をねぎらい、振舞っていた料理のことで、全て竹野周辺でとれた食材を使うのが決まりごと。お店は完全予約制で、その日の状態が良い食材だけを調理します。新鮮なお刺身だけでなく、前菜から創意工夫溢れるコース料理。シメに出すお蕎麦を打ち終われば…時には一人で海に出ます。漁師さんに推薦状をもらって、組合から漁業権をもらっている塩見さん、陸からは行けない岩場で波に打たれながら採っていたのは、カメノテでした。店に戻るとランチの準備。採れたてのカメノテを使った料理とは?
夕暮れ時、塩見さんはセリ市へ。この辺りは朝、船が出て、夕方に戻るのです。新鮮かつ美味しい魚を選んで、素早く神経〆などの下処理。ウロコをとり、スピーディーにさばくプロの技を見てもらいましょう。
塩見さんの安らぎは、昨年生まれた長女、さくらちゃんと過ごすことです。そして家族が3人になったのを機に、お店のすぐそばの古民家を改装して、昨年9月、1日1組限定、1棟貸しの『港町のお宿 八塩』をオープンさせました。宿は素泊まりで、食事は『うちげの料理 八塩』で食べてもらう、オーベルジュ・スタイルです。この日の予約は、塩見さんのお店の器を作った陶芸家の大浦さん。魚をモチーフにしたユニークな徳利やお猪口は、塩見さんの大のお気に入りですが、さて、今夜のディナーは?
ある日、料理の師匠で、釣り名人の後藤さんと海に出た塩見さん。なんと60センチの鯛と、アオハタを釣りあげました。アオハタは身が柔らかく、料理人泣かせの魚だそう。この2尾を使って、塩見さんはどんな新しい料理を生み出したのでしょうか。
2022年7月23日(土)放送
京都の料理人から愛される宙吹きガラス作家
佐藤聡さん 京都市 「PONTE」
夏本番を迎えた京都。祇園の一角にある路地に店を構えるのが、宙吹きガラスの専門店「PONTE」です。宙吹きガラスとは、高温で溶かしたガラスに息を吹き込んでさまざまな器を作る伝統的な技法。手作りならではの「ゆらぎのある形」と、控えめでありながら個性もある繊細なデザインの器は、料理を引き立てる名脇役として京都の名だたる料理人から愛されています。
「PONTE」の器を作っているのは、ガラス作家の佐藤聡さんです。緑豊かな京都の八瀬に古民家を改装した工房を構えています。佐藤さんの代表作のひとつが「レースガラス」を使った器。レースガラスとは、透明なガラスに白いガラスを練り込んでレースのような柄を作る技法です。イタリアのヴェネチアで生み出されたのですが、佐藤さんは京都ならではの繊細な感覚を取り入れることで、和風でも洋風でも合う上品な器を作り上げています。
佐藤さんがガラスに興味を持ったきっかけは、少年時代を過ごした長野県にあります。冬の田んぼや水たまりに張った氷や軒に下がるツララの美しさに心惹かれた記憶からガラスの透明感や反射、きらめきに興味を持つようになったとか。大手住宅メーカーで設計の仕事に就きますが、ガラスへの憧れは消えず退社。専門学校やドイツの工房で腕を磨いて2000年に山科の自宅でガラス工房をオープン。2014年に祇園でショップをオープンし、料理人からの難しいオーダーにも応えることで、料理を引き立てる名脇役の評価を得ました。
そんな佐藤さんがこの夏、新たに挑むのは「溶けたガラスの様子をそのまま留めた器」を作ること。1,000℃を超える溶けたガラスの美しさを引き出そうと試行錯誤を繰り返します。新作の発表は、木工や陶芸などの作家やイタリアンのシェフと共に開く器と料理を楽しむディナーイベント。どんなガラスの器を仕上げて、料理とのコラボを見せてくれるのでしょうか?
2022年7月16日(土)放送
行列のできる「かき氷屋さん」
野口智也さん 大阪 十三 「十三の氷屋 野口商店」
大阪の下町、十三に、ワンコインで極上の「かき氷」が味わえると評判のお店があります。「十三の氷屋」という看板を掲げる「野口商店」。かき氷を作るのは、店主の野口智也さんと奥様。夫婦で営む小さなお店は、週末になると行列も出来る人気店です。イチゴやメロン、レモンに宇治といった定番シロップや、リンゴや抹茶、赤シソなど、メニューは常時30種類。あいがけやトッピングもできるので、組み合わせはさらに増えます。そして何より、口に含んだ瞬間のふわふわ感が、食べた人を感動させるほど「絶品!」なのです。その秘密は…使っている氷にありました。
野口商店は75年以上にわたり、飲食店などに良質の氷を提供してきた、町の氷屋さん。扱っている氷の美味しさを知ってもらおうと、かき氷を始めたぐらい、氷に拘っています。それは氷屋さんの組合「全氷連」が認めた「氷屋純氷」というブランドで、厳しくチェックされた原水を使って48時間以上かけて凍らせた純度の高い氷なのです。勿論、良い水を使うだけでは、美味しいかき氷にはなりません。鍵となる温度管理は、野口さんが全国のかき氷を食べ歩いて研究を重ねてたどり着いた成果でした。
さて、コロナ禍で飲食店からの注文が激減した頃、「氷屋マイスター」ゴールドクラスの認定試験を受けることにした野口さん。氷屋さんの知識や技能を証明するこの試験は大変難しく、2020年に行われた第一回認定試験の合格者は、全国で2人だけでしたが、野口さんは見事、そのうちの1人になったのです。マイスターとして、野口さんのプロ意識はさらに上昇。三重県津市にある「中勢製氷冷蔵」を見学した時、そこの「氷屋純氷」に感銘を受け、早速、野口商店の氷を「中勢製氷冷蔵」に変えたところ、常連客から「前より美味しくて、ふわふわ感も増した」と大評判に。手ごたえを感じた野口さんは、イベントでコーヒー・シロップを使った新作かき氷に挑戦します。野口さんのかき氷、どんな進化を遂げたのでしょうか。
2022年7月9日(土)放送
脳腫瘍から復活 十種競技アスリート
檀野俊さん 大阪 放課後等デイサービス「あ~すり~と」代表
その勝者には「キング・オブ・アスリート」の称号が与えられる、陸上の十種競技。十種競技は、100m走、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400m走、110mハードル、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500m走を2日間で行い、その合計得点で争います。走る、跳ぶ、投げると、全てに万能な身体能力と、強靭な体力が求められる過酷な競技です。
その「何でもできる男」が大阪にいます。檀野 俊さん、31歳。中学時代に陸上部に入って円盤投げと出会い、中学生全国ランキング8位のトップ選手に成長。大学時代に十種競技に転向し、日本選手権を目指してトレーニングしていた25歳のある日、檀野さんの身体に異変が起こりました。脳腫瘍です。手術しないと死んでしまう、手術すれば、陸上が出来なくなるかも、という中で手術を決断。腫瘍の97%を摘出し、手術は成功しましたが、右耳の聴力は無くなり、顔面麻痺、そして平衡感覚障害が残りました。
それでも、麻痺やめまいと戦いながら必死のリハビリを重ね、なんと半年で十種競技に復帰。年齢別のマスターズ日本記録を更新するという快挙を遂げたのです。「出来ないことがたくさんあって、それが出来るようになる。日々勉強になりました」復帰後は放課後等デイサービスを立ち上げて代表となり、障がいのある子ども達がスポーツするアシストをしています。
十種競技では、種目ごとに履く靴も違えば、道具も違い、それを全て自分で揃えなければならないので、お金がかかります。檀野さんは自らスポンサー探しに奔走しながら、学校で講演活動も。脳腫瘍のこと、リハビリのこと、プロとしての競技生活のこと、熱い想いは中学生たちに伝わったようで、大盛況でした。
5月末の全日本マスターズ混成陸上競技選手権大会。檀野さんは4月に痛めたアキレス腱の影響で、十種競技を諦めて、五種競技に出場することにします。目指すは日本記録更新です。さて、その結果は?
2022年7月2日(土)放送
棋士の藤井聡太さんが絶賛した京都の和菓子店
伊藤達也さん、万理さん 京都市右京区 「御室和菓子 いと達」
京福電鉄の妙心寺駅から徒歩5分の閑静な住宅街に、いま若い人に人気な一軒の和菓子店があります。それが、2019年10月にオープンした『御室和菓子 いと達』です。仁和寺の御室桜をイメージしたピンク色のワンポイントが目を惹くこのお店。毎日15種類ほどの和菓子が並ぶのですが、一番人気は愛らしい熊の形をした「くまもなか」です。皮には様々な色を付けて、蝶ネクタイやマスクなど、ひとつひとつ丁寧にメイクアップされています。クリスマスにはサンタ姿など、季節に合わせてコスプレまでします。これがSNSでバズりまくり、女性達のハートを掴んでいるのです。
作っているのは、店主である和菓子職人、伊藤達也さん。考案したのはお店で接客する妻の万理さんで、「幅広い世代に和菓子を楽しんでもらおう」と思い、アイデアを出しました。話題となったきっかけは、昨年10月、お店の近くの仁和寺で開催された将棋の竜王戦。藤井聡太さんがこの「くまもなか」をおやつに選び、絶賛。たちまち話題となり、遠方からもお客さんが訪れる人気和菓子となりました。
「映える」和菓子は「くまもなか」だけではありません。カラフルな「包み餅」は、ピンクや緑、オレンジに紫と、まるでマカロンのよう。もちっとした食感の薄い生地を鉄板で焼き、こし餡と白味噌きな粉を包んでいます。初夏を告げる定番「若鮎」には、入手困難な日本酒、関谷酒造の「空」を使っています。
愛知県出身の伊藤さんは、高校の文化祭でお菓子を作ったことをきっかけに和菓子に目覚め、卒業後に京都へ。老舗の「笹屋伊織」などで17年もの修業を重ね、独立。
『いと達』をオープンしたのです。
さて、『いと達』の厨房では、伊藤さんが夏の新作づくりに取り組んでいました。「京都の夏の風物詩、冷やし飴をイメージした、生姜味の蒸しカステラに羊羹を重ねたお菓子を考えています」。飲み物である冷やし飴をカステラで表現?さて、いったいどんな和菓子となるのでしょうか?
2022年6月25日(土)放送
おまかせコース料理 そのすべてが鰻
奥村昴さん 大阪 京橋 「おく」
ランチは丼、夜はコース料理、全8品と全10品。その全てが「鰻」という珍しい店が京橋にあります。大阪ビジネスパークを川向うに臨むその店の名は『おく』。店主は、奥村昴さん。忙しい時は妻の千夏さんと二人で、店を切り盛りしています。夜のコースは月替わり。珍しい鰻の造りは、鰻の血には毒があるため、しっかりと血抜きした後、骨切り。炭で皮目だけを香ばしく焼き、身はレアに仕上げるのが「おく流」です。そして、鰻と玉ねぎだけで作ったつくねも、スペシャリテ。シメは土鍋で炊いたご飯に蒲焼を載せたうな丼。焼く・蒸す・揚げる、など全品調理法を変えて提供しています。
うなぎの仕入れは、国産の名産地である愛知県産、鹿児島産にこだわっています。養殖ですが、高級魚。使えるものは全て料理にアレンジし、食材は余すところなく使います。鰻丼のランチ営業が終わると、夜の仕込みです。5時、夜の営業がスタート。コースで鰻に合わせるお酒は、なんとワイン。実はソムリエの資格を持つ奥村さん、鰻とのマリアージュを提案しています。
奥村さんは、愛媛県松山市出身。調理科のある高校を卒業後、大阪の料亭で修行します。そこで鰻をうまく捌けるようになりたいと、鰻料理にのめり込んでいくのです。さらに腕を磨くため、ミシュランで星を獲得した居酒屋や日本料理店で修行します。そして2021年11月に、うなぎの『おく』をオープンしたのです。人気メニューの鰻コロッケは、修行時代の賜物なのだとか。
ある休日、奥村さんは東京に向かいます。目的は気になる鰻屋さん巡り。東京の店からはいつも刺激を受けているという奥村さん。今回は、70年以上続く老舗の名店や、鰻フレンチ割烹という新しいジャンルを打ち立てた人気店を訪れました。こうした東京の店主との交流が、新しいメニューを作るヒントになります。大阪に帰ると早速、次の月のコースの試作。料理の判定は、妻の千夏さんです。さて、今度はどんなメニューが新たに生まれるのでしょうか。
2022年6月18日(土)放送
食べることで身体が癒されていく台湾家庭料理
リン・シエさん 神戸市 「小宇宙食堂 space&deli」
2020年2月、神戸の須磨駅から歩いて10分ほどのところに、一軒の食堂がオープンしました。『小宇宙食堂 space&deli』台湾出身のオーナー、リン・シエさんが営む台湾家庭料理の店です。ランチメニューは3種類。「小宇宙定食」は旬の野菜をたっぷり使ったおかずとご飯、お肉や野菜が具沢山な大きなスープがメイン。出汁に台湾の干物を使うなど、普段味わえない味に出会います。「點心定食」は身体に優しい日替わりスープと蒸し立ての台湾饅。「ルーロー飯」はコラーゲンの多い神戸ポークを長時間煮込む看板料理。オリジナル・スパイスを香らせた深みのある味わいで、大人も子供もあっという間にたいらげます。「台湾では「食養生」という考え方があります。毎日を健やかに過ごすため、食べることで身体を癒すのです」。
リンさんは台湾生まれの台湾育ち。芸術大学で水墨画を勉強しながら、アパレルブランドを立ち上げます。その後、神戸の大学に留学。併せて、自宅で水墨画教室を始めたところ、大盛況に。そこで生徒に振る舞った料理がSNSで広まり評判になります。何事にものめり込むリンさんは、一度台湾に戻って料理を学び直し、調理師免許を取得します。最初は水墨画教室と料理教室を開くだけでしたが、日本でポーランド人の夫と出会い、結婚して永住権を取ったのをきっかけに、食堂を作ることにしたのです。
須磨の1号店は、コロナで波乱の船出となりましたが、すぐに通販をスタート。台湾のお惣菜は人気を博し、百貨店催事やイベントから参加依頼が届くようになりました。翌2021年、六甲道に2号店を出店。須磨と六甲を行き来して、レシピと味付けの基本はすべてリンさんが担います。
そんな大忙しのリンさんですが、神戸の居留地で開かれる地産地消イベント、「EAT LOCAL KOBE」に出店。そこで出すのは、朝ごはん。「台湾は共働き家庭が多いので、朝から外食するモーニングの文化があります。ここでは台湾式の朝ごはんをやってみたい」。さらに開発したのは、夫の故郷ポーランドで出会った郷土料理で、ギョウザそっくりの「ピエロギ」とよばれる料理。台湾風にアレンジして完成させます。さて、どんな料理になるのでしょう。
2022年6月11日(土)放送
京都でバズっているスパイスカレー
徳増良介さん 京都市右京区 「スパイスカレー キテレツ」
京都・西院ではここ最近、若い店主が営むこだわりの店が続々とオープンしています。そんなエリアで今、注目を集めている店があります。『スパイスカレー キテレツ』。混雑を避けるため、予約と整理券でお客さんをさばいていますが、どの時間も満席になるほどの人気です。ここでは日替わりでスパイスカレーが楽しめるのですが、1種類のカレーを提供するのではなく、4種類のカレーを一皿に盛る「多種類のあいがけカレー」なのです。店主は、徳増良介さん。独創的なアイデアで、多くのファンに支持されています。カレーの仕込みは大変ですが、それだけではありません。徳増さんはカレー屋さん以外に、バンドマンとしても活動しているのです。
埼玉県所沢に生まれた徳増さんは、4歳の時、母親と兄の3人で京都に移り住みました。10代の頃、兄とバンドを組んで以来、ミュージシャンとして現在も活動中。今年の大型フェス『京都大作戦』にも出場が決まり、バンドとカレーに益々気合が入ります。
徳増さんがカレーにハマったのは、ある時、食材屋さんでスパイスカレーのキットに出会ったのがきっかけでした。最初は自分のために作っていたのですが、なじみのバーやライブハウスで販売したところ、好評だったので、友人とお店を持つことに。そして去年の11月、満を持して自らの店舗をオープンさせたのです。
忙しい徳増さんを支えてお店を手伝うのは、ガールフレンドの侑希さんです。ある日、「肉の日」のために、二人で食材を買い出しに。肉にこだわったカレーはオープン前に全席完売し、大好評。お客さんの顔は皆、それはそれは満足そうでした。
店舗を構えて半年。徳増さんは、早くも次の行動を起こします。兄を巻き込んでの『キテレツ』新展開とは、何だったのでしょう?そして和食の出張料理人・牧田旬加さんと出会ったことから、二人は和食とスパイスカレーのコラボメニューを開発しようとします。さて、こちらはどんなメニューが出来上がるでしょうか?
2022年6月4日(土)放送
ミシュランに掲載された秘境の十割そば
中根裕磨さん 和歌山県田辺市 「山伏そば拝庵」
世界遺産・熊野古道の中でも険しい道で知られる中辺路に、熊野本宮大社まで一時間のところにある集落があります。車で訪れるのも大変なこの秘境に、2017年、一軒のそば屋がオープンしました。「山伏そば拝庵」。店主の中根裕磨さんが、山で修行する現役の山伏であることにちなんだ店名です。
日本各地の名店をめぐり修業した中根さんは、自家栽培したそばの実と、全国で惚れ込んだそばの実を使い分けます。打ち立てを提供する十割そばは、熊野古道を歩く人たちの間で瞬く間に「美味しい」という口コミが広がりました。塩・大根おろし・味噌でいただくざるそば「山伏そば」が一番人気。春先から夏場にかけては、その日採れた10種類以上の山菜を使った山菜そばも堪りません。『ミシュランガイド和歌山2022』に掲載されたことで、今年のGWはかつてない忙しさになりました。
東京出身の中根さんは、山伏に憧れて脱サラし、27歳で和歌山へ。「山伏の修行をしながら、林業や農業も覚えて自給自足生活を送っていました」。そこで農業研修に来ていた紗代さんと出会い、結婚。三人の子供と触れ合うのが夫婦の癒しですが、まもなく四人目が産まれます。
中根さん、蕎麦以外にも、1日1組限定の民宿も始めました。「コロナでストップしてましたが、この春から再開しました」。この民宿を利用する一番のお客様は山伏の御一行。宿では精進料理でもてなします。その味も好評なようです。
5月中旬、ある山伏仲間から、こんな依頼を受けました。それは山伏の聖地にして秘境中の秘境「前鬼」で行う護摩祈祷に参加して、出張そばを振る舞ってほしい、というもの。はたして中根さんは、そんな奥地で納得のいくそばを振る舞うことができるのでしょうか。
2022年5月28日(土)放送
食のプロたちが注目する超個性的なジェラート
西川宏昭さん 京都市東山区 「ピカロアイス」
京都東山の清水五条エリア。静かな街の一角に、若きアーティストたちが集う路地があります。その中に、新スタイルのアイスを作ると評判の店があります。町屋の引き戸を開けると、四畳半のイートインスペースと、ショーケースが。ここが『PICARO EIS ピカロアイス』です。二段構えのショーケースには、14種類のアイスが並んでいます。このすべてを手作りしているのが、オーナーの西川宏昭さんです。
ピカロアイスの特徴は、素材の組み合わせの斬新さ。例えばミルクとチョコのジェラートでは、ミルクに山椒とブルーチーズ、チョコには青唐辛子を投入。それがとても美味しいのです。さらに驚くべきことに、週替わりで並ぶジェラートの全てが新作。オープンして3年ですが、これまでに500種類以上の素材を使って、1000種類以上ものジェラートを生み出してきました。
尼崎生まれの西川さんは、26歳で料理の道へ。ドイツ人のカロリーネさんと結婚したことで、ドイツのベルリンに渡ります。そこで食べた「キュウリのシャーベット」に衝撃を受け、名店で修行。ついには厨房を任されますが、ドイツ語が喋れないため、4年前に誕生した娘の子育ても考えて帰国。外国人が多い京都で店を開きました。するとたちまち評判となり、プロの料理人から、創作ジェラートの発注が来るようになりました。
日本茶専門店のカフェからの注文で作った「白い抹茶アイス」は、茶葉をミルクで長時間煮込み、香りと旨味をミルクに移して、抹茶なのに白いアイス。焼肉店からのオファーはお口直しのさっぱりアイス。すると、柚子と紫蘇とセロリシードを使って予想外の爽やかな味に仕上げてみせました。
そんな西川さんは、次々と新スタイルに取組みます。アイスに欠かせない、牛乳と生クリームが使えない、「ヴィーガンアイス」。牛乳アレルギーの人もヴィーガン主義の人もビックリの美味しさの秘密とは?さらに、ゴールデンウイークのイベントでは、子供たちのために、これまた驚きの素材を使ったジェラートを開発。子供たちの反応は?
2022年5月21日(土)放送
地元で人気のイタリアンが、コロナ禍で新たな取り組みを
赤嶺和幸さん 神戸市東灘区 「ピッツェリア・ダル・リッチョロ」
神戸市東灘区。JR甲南山手駅から徒歩10分ほどの所に、地元から愛されているイタリアンレストランがあります。名前は『ピッツェリア・ダル・リッチョロ』。「リッチョロ」とは癖毛のこと。僕が小さい頃「天パ」ってあだ名だったのでこの店名に」笑顔でそう話すのは、オーナーのピザ職人、赤嶺和幸さんです。看板メニューは勿論、本場ナポリから取り寄せた窯で焼くピザです。具はバジリコ・トマトソース・モッツァレラチーズだけ、シンプルだけどとにかく美味しい「マルゲリータ」。生ハム・ルッコラ・パルメザンチーズの「プロシュトとルッコラ」も人気のナポリピザです。
1980年、神戸市生まれの赤嶺さんは、高校卒業後、三宮のイタリアンで修業を積み、25歳でイタリアに渡ります。そこで出会ったナポリピザで勝負しようと思い、大阪・福島の名門ピザ屋で4年間修行の後、独立。東灘区で店を開きます。季節の食材を生かした本格ピザと、イタリア各地の郷土料理が評判となり、たちまち人気店に。
料理担当の谷本さんも、イタリアで修業を重ね、『ダル・リッチョロ』へ。イタリアから空輸されたトリュフと子牛のダシ汁を合わせた手打ちパスタなど、神戸っ子の舌を唸らせる人気メニューがいっぱいです。
ところがオープンして5年。「コロナでお客さんがガクッと減り、毎日作っていたピザ生地が余るように。元々その日のお客さんの入り次第で生地が無駄になるので、このフードロスをなんとかしたい」と考えます。そこで、家族で「おうち時間」に手軽に食べられる、ピザ生地を使った焼きサンドイッチ「パニーノ」を真空パックで販売しました。するとこれが大好評。2号店のカフェも立ち上げ、さらに生産農家のフードロスをなくすため、破棄せざるを得ないフルーツを使ったジェラートをメニューに加えました。
こうして、まずまず軌道に乗ったかに思えた頃、更なるピンチが訪れます。赤嶺さんと谷本さんは、この苦境をどうやってしのぐのでしょうか?
2022年5月14日(土)放送
世界に名だたるハイブランドの染色を京都で
西田清さん 越本大達さん 京都市右京区 染色工房「アート・ユニ」
2022/23年秋冬パリコレクション。イッセイ ミヤケの今シーズンのテーマは、「植物の成長」。中でも目を惹くのが、インパクトのある色彩とモチーフです。野菜や果物の瑞々しい断面を表現したシリーズは、ある京都の職人による、手描き染だったのです。
京都市右京区の住宅街に、世界的なアパレルブランドの染を手掛ける工房があります。それが『アート・ユニ』。1階の壁面にズラリと並ぶは、シルクスクリーンの型、約4000枚。1階では型染を、2階では手描きの染色を行っています。長さ23メートルの布地を広げ、一気に染め上げる手描き染色ができる工房は、世界でも珍しいそうです。今、作業しているのは、イッセイ ミヤケ2022/23で発表された手描き染色の量産。この生地を使った製品が、実際に店に並びます。わずか0.01mg単位で染料を調整し、オリジナルの技法でハイブランドの要求に答え続けるのは、アート・ユニ代表で、この道半世紀の染め職人、西田清さん(75歳)。
「引き染め」「彩纈(さいけつ)染め」「すりはがし染め」「弓パッチン染」など、西田流の染色技法を紹介します。これらは「イッセイ ミヤケ」や「ヨウジヤマモト」をはじめ、誰もが知る世界の名だたるブランドで採用されたものです。西田さんは、「いつも何か新しい技法を探しているね。モットーは、他ではやらないことをやる」
アート・ユニで働くのは、西田さんも含めて5人。型染職人が1人、手描き染職人が2人。そして最初は大学に通いながら弟子入りした、越本大達さん。去年の春、正式にアート・ユニの一員になりました。西田さんにとって初の弟子で、歳の差は50歳。
午前7時、工房の一日が始まります。誰よりも早くやって来るのは西田さん。「社長が動かん会社はアカン!社長が何もしないトコは廃業しとる」工房の運営、企画、営業、染色、全ての作業をこなす西田さん。弟子の越本さんには、「3年以内に全てをマスターすること」と言い渡してあります。越本さんの修行の様子とは?そして、四条烏丸にオープンする綿菓子店から、越本さんにのれん作りの依頼が。越本さんの新たな挑戦が始まりました。
2022年5月7日(土)放送
日本の食材でフレンチを身近に
ヤニック・ラオプニュさん 大阪市西区立売堀 「ルイーズ」
大阪の木津市場に自ら足を運んで、厳選する季節の魚介や、特上の黒毛和牛に、近江八幡市の農園から仕入れる旬の野菜。日本の食材の美味しさに魅せられたのは、アフリカのカメルーン生まれのフランス人シェフ、ヤニック・ラオプニュさんです。パリの三ツ星レストランで部門シェフを務めていた時、同じく部門シェフだった坂本充治さんに誘われて来日。2010年、西天満のフレンチ・レストランで4年間腕を振るいます。その後、一旦フランスに戻るのですが、日本の食材を料理した充実感が忘れられず、2019年、再び日本へ。一流ホテルや名店からの誘いを断って、オーナーソムリエの田中美紀希さんと二人で、『ルイーズ』をオープンさせたのです。
「僕は日本の食材が大好き。野菜も魚も、季節ごとに美味しいものがいっぱい。日本料理でみんなが知っているものを、フランス料理で使うと新しい発見があるし、フレンチをもっと身近に感じてもらえる」そしてその食材に、日本ではあまり見たことのないスパイスやハーブを合わせるのがヤニック流。その腕を証明するイベントが、リーガロイヤルホテルのレストラン『シャンポール』で行われました。1950年にパリで設立された国際的な美食協会の晩餐会で、ヤニックさんがシェフを務めたのです。この日、ヤニックさんが作った料理とは。そして美食協会の評価は?
そんなヤニックさんが、新型コロナの感染拡大を機に始めたこと。それは家族の「フレンチは敷居が高いし、小さな子供がいると行けない」という悩みを聞いて、お子様の日を作ることでした。さらに、淡路島の野外レストランでは、コロナ禍で影響を受けたシェフたちが集まって出店する『淡路島シェフガーデン』にも参加することに。フランス料理の楽しさをたくさんの人に知ってもらおうと、イベントを開催、新メニューを開発します。さて、その料理とは?
2022年4月23日(土)放送
竹や木で作る自転車が凄い
ハラ・ジェルソン・アイザワさん 大阪市住吉区 「GERWORKS」
自然素材を使って唯一無二の自転車フレームを作る。そんなユニークな工房が大阪・住吉区にあります。メイン素材となるのは、軽くて強くしなやかな竹。完全オーダーメイドで乗り手にジャストフィットすることから、サイクリストたちに注目されています。作るのは、来日21年目のブラジル・サンパウロ出身の日系三世、ハラ・ジェルソン・アイザワさん。
材料は、真竹。真竹は先細りしにくく太さが一定のため、自転車のフレームに適しているそう。「竹は収穫してから乾燥させます。一見、真っ直ぐに見えるけど、微妙に曲がっていて、円にも歪みがあります。一つ一つ個性があるので、その特徴をつかんで作るのが難しい」普通の自転車と較べると、軽くて錆に強い。また竹製のフレームはよくしなり、地面からの振動を吸収してくれるので、乗り心地も抜群。でも問題は強度でした。ジェルソンさんは、ポルトガル語で書かれたブラジルの、「船の構造専門書」を読み込んで研究しました。鉄のパーツと竹を結合する部分を、カーボンファイバーとガラスファイバーで圧着する製法は、この本からヒントを得ています。その強度は、「プロのロードレーサー・レベル」と専門機関で認定されています。塗装に使っているのは、漆の代用品で紫外線に強いカシュー塗料。「ブラジルに住んでいた頃、お祖母ちゃんの漆塗り弁当箱が美しくて、漆塗りの勉強をしたのがきっかけです」
サンパウロ生まれのジェルソンさんは、ブラジル人なら誰もがプレイするサッカーが苦手だったため、自転車にのめり込みます。来日したのは22歳の時。結婚を機に妻のふるさとである大阪に移住します。様々な仕事を経て、長年の夢だった自転車作りを始めたのでした。ジェルソンさんが手作りした、ユニークな自転車をいくつか紹介します。
ジェルソンさんを支えるのは、妻と11歳の娘さん。父の仕事に興味津々の娘・ジォバンナちゃんは、学校が終わるといつも工房にやって来ます。「竹が自転車になっていくのが面白い」そんな中、放置竹林の竹を使って新たなオーダーが。さて、どんな自転車になるのでしょうか?
2022年4月16日(土)放送
着物の世界に新風を呼び込む注目の京友禅の染色作家
奥野むつみさん 京都
京都「みやこめっせ」。この日は京都の伝統工芸が一堂に会する日。ここに、ひときわ目を引く京友禅の着物がありました。人気漫画「魔法騎士レイアース」をイメージした着物です。染めたのは奥野むつみさん。東京ガールズコレクションでフワちゃんが着て、一気に注目されました。2021年10月「きもの芸術展」にて「京都市長賞」を受賞。今ブレイク中の京友禅の染色作家です。
奥野さんの着物は、きらきらした輝きが特徴です。「京友禅の多くは、ぼかして淡いグラデーションを描きますが、私は水色に対して黄色や紫などを挿してメリハリをつけて光らせます。いかに着た人を輝かせられるか、それが勝負なんです」また着物だけでなく、バックや名刺入れなど、手に取りやすい小物も制作しています。これは京友禅の技法を幅広い世代に伝えたい、という想いからです。
奥野さんは福井県の越前出身。着物が好き、と自覚したのは3歳の頃。親戚の結婚式で着た着物がステキ過ぎて、脱ぎたくないと駄々をこねたそうです。高校卒業後、京都の大学の芸術学部に入りますが、ここでも着物のことばかり考えていたといいます。そして京友禅の工房が職人を募集していると聞き、門を叩き、それから10年、奥野さんは基礎からみっちり学びました。
現在は75年の歴史がある「木村染匠」に所属する奥野さん。「おしゃれは乙女の戦闘服!自分を誇りに思える一着を」をモットーに、斬新で瑞々しい京友禅を生み出しています。また、複雑な工程を経て作られる京友禅を身近に感じてもらおうと、子供用の「キモノぬり絵」を発売。そのぬり絵に合わせて、3歳児をモデルに、実際の着物を作ります。自分が着物愛に目覚めた年齢の着物ですが、子供の着物を作った経験はなく、初めての試みです。さて、どんなものが出来上がるでしょうか。
2022年4月9日(土)放送
大阪の長屋を再生!
吉永規夫 大阪市 「ヨシナガヤ」
築80年以上の古い長屋を、昔の面影を残しつつ、魅力あふれる空間にリノベーション。空き家だった物件は、入居者が殺到する物件に…手がけるのは、大阪の長屋再生をライフワークに活動する建築家、吉永規夫さんです。店舗や住宅の設計に、町並みを作る仕事など、幅広く活躍する吉永さん。斬新なアイデアで数々の賞も受賞してきました。それだけでなく、週末は大工の顔も。様々な長屋の、劇的ビフォーアフターを是非ともご覧ください。
大阪で生まれ育った吉永さんは、大学卒業後、大手建築事務所に就職。「独立して事務所を構えたかったがお金がなく、格安で借りられたのが平野区の長屋だったんです」古い長屋でも手を加えれば、魅力ある空間に生まれ変わることに気づいた吉永さん。「京都の町屋は大切にされているのに、大阪の長屋は古くてダサいイメージ。それなら今どきの生活に合うようにリノベしたら良いのでは?」空き家問題も深刻です。こうして、大阪の長屋問題を解決するプロジェクトをスタート。100軒の長屋をリノベする目標を立てたのです。住む人にも環境にも「良し」で、「ヨシナガヤ」と命名しました。
現場監督として、大工さんに指示を出す女性は、吉永さんの妻で、工務店の社長でもある京子さん。新築物件の施工の傍ら、「ヨシナガヤ」プロジェクトにも協力しています。これまでに25軒もの長屋を生まれ変わらせてきました。例えば、阿倍野区の賃貸長屋はほとんど空き家でしたが、見違えるほど魅力的な物件に。すると、入居者もすぐに埋まるようになったのです。
お店のリノベも手掛ける「ヨシナガヤ」。暗くて陰気なお店は、明るく開放的なイマドキの美容室に。古い店舗がオシャレなパン屋さんに。そして現在、取り組んでいる長屋では、1階と2階を吹き抜けにして、1階の床から2階の梁までを繋ぐ、巨大な本棚を作ります。さて、どんな本棚が完成するのでしょうか。
2022年4月2日(土)放送
「LIFE」放送500回記念
髙倉大輔さん 写真作家
「LIFE~夢のカタチ~」放送500回記念特番です。佐々木蔵之介さんも出演して、アートの世界で注目を集めている、ある写真家の被写体となります。とてもユニークで独創的なその写真とは?
気鋭の写真作家、髙倉大輔さんは、大阪の堀江にある「TEZUKAYAMA GALLERY」を拠点に活動し、様々な作品を発表しているアーティスト。なかでも、「monodramatic」と名付けられた作品シリーズが代表作です。monodrama(1人芝居)とdramatic(劇的な)をつなぎ合わせた造語。その制作は、まず、被写体となる人物の物語を聞き取ることから始まります。そこからインスピレーションを膨らませ、舞台と物語を決め、被写体の配置を考えます。作品の特徴は、1人の被写体が様々なポーズをして配置されること。作品の中にたくさんの人がいるように見えて、実はすべて同じ人物なのです。演劇的なアプローチで撮影し、独特な世界観のある作品に仕上げていきます。
1980年、埼玉県生まれの髙倉さんは、小さな頃からお芝居に関わってきたといいます。「幼稚園でお芝居を作った記憶があります。小学校でもクリスマス会で友達と芝居をやったり、中学・高校の文化祭でも芝居を。立教大学では演劇研究会に入り、卒業後も役者をやっていました。」そんな中、公演のチラシをデザインしていた関係から、ブックデザインの事務所でアルバイト。そこでデザインや写真加工のスキルを身に着け、写真の勉強を始めます。色々な人に作品を見せることで、作品は次第にアートの世界へ。そして様々な賞を取り、美術館が髙倉さんの作品を買うようになります。2015年、ルーブル美術館で行われたフォトフェアに参加し、世界でも認められる写真家に。
そんな髙倉さんが現在、撮ってみたいという被写体が、演劇人として憧れていた佐々木蔵之介さん。そのオファーを受け、蔵之介さんが髙倉さんの作品世界に飛び込みます!髙倉さんと蔵之介さんの打ち合わせから撮影現場まで、その制作過程に密着。2人で作り上げる物語とは、どんな世界なのでしょうか?そして、髙倉さんが完成させた作品を見た蔵之介さんの反応は?
2022年3月26日(土)放送
旨味が強い新しい干物「ソフト干物」
松田慎平さん 舞鶴 「ENDEAVOR」
リアス式海岸に囲まれた舞鶴湾は、海産物の宝庫。一年を通じて、港には様々な海の幸が水揚げされています。そんな舞鶴で、新しい干物「ソフト干物」が評判です。保存食の干物をご馳走レベルにまで高めているのは、若き干物職人の松田慎平さん。時間と手間を惜しまず、丁寧に作られた松田さんの干物は、美味しい魚を食べなれた地元の料理人たちを唸らせています。さて、いったいどんな干物なのでしょうか。
松田さんは、仕入れた魚を港の近くの加工場に運びます。まずは下処理。魚の臭みは血液が腐ることが原因なので、血抜きのために徹底的に水洗い。内臓を取り除いてさらに洗います。そしてここから、冷蔵庫で3日から5日、熟成させるのです。とれたての魚の身はコリコリですが、熟成するとしっとりとした食感に変わり、旨味も強くなるといいます。この熟成の見極めが、松田さんの技の一つ。熟成を終えた魚は切り身にして、塩水に漬け込みますが、漬け込む時間や塩加減は、その日の気温や魚の状態で変えていきます。魚醤や味噌、バジルソースやオリーブオイルに漬け込むこともあるとか。そして乾燥ですが、ここでも特殊な機械を使います。温風ではなく、冷風乾燥機なのです。
大阪で生まれた松田さんは、釣り好き、魚好きが高じて近畿大学の水産科に進みます。卒業後は釣具店に就職して、転勤で舞鶴へ。次第に会社と自分のやりたいことにズレを感じていたところ、先の乾燥機で作った干物の味に衝撃を受け、独立を決めたのです。
2020年、松田さんは「ENDEAVOR」(努力するの意味)という水産加工会社を立ち上げました。今年1月に挙式したばかりという、松田慎平さんと妻の愛さん。デートも釣りが多く、結婚式も魚尽くしだったとか。妻の愛さんに、独立して起業する慎平さんに対する思いを聞いてみました。
舞鶴だけでなく、全国の漁師さんとも繋がりたい松田さん。この日は大分から魚が届きました。さて、どんな干物になるのでしょうか。
2022年3月12日(土)放送
便利でおしゃれと大評判の前掛け
坂田真由美さん 豊中市 「アトリエyumizu」
服の汚れを防ぐための前掛けですが、機能的で丈夫、そしておしゃれに仕立てる工房が、豊中市の西泉丘にあります。アトリエyumizu(ユミズ)です。「締めたらテンションが上がる!」「あちこちに工夫があって便利」「スタイルが良く見える」と大人気。作っているのは前掛け作家の坂田真由美さんです。試作品作り、原型作り、布選び、デザイン、裁断、商品撮影、webサイト、SNSと、縫製以外の仕事はすべて真由美さん一人で行っています。「前掛けは暮らしのスイッチやと思ってるんです。ギュっと着けたときに気持ちのスイッチが入り、外すとスイッチが切れる」
1966年、大阪で生まれ育った真由美さんは、。大学卒業後、大手印刷会社に就職。そして25年前、娘の誕生が人生の転機となります。育児をする中でほしい前掛けが見つからず、独学で製作。それが、今もyumizuの定番となった前掛けなのです。以来、真由美さんは前掛け作家となり、やがて全国で展示会を開くほど引く手あまたに。5年前、20周年を機に、アトリエを構えました。
それでは、真由美さんの前掛けには、どんな仕掛けがあるのでしょう?その冴えたアイデアの数々とは?デザイン性にも優れていて、なおかつ洗濯しても大丈夫?
すべては、番組でチェックしてみて下さい。
真由美さんの挑戦はまだまだ続きます。今度は「革」を使った前掛けだといいます。
さて、どんな前掛けに仕上がったでしょうか。
2022年3月5日(土)放送
アジア人のお母さん達が作る本格家庭料理をリーズナブルに
黒田尚子さん 神戸・元町 「神戸アジアン食堂バルSALA」
神戸元町商店街から南京町に入る路地に、「神戸アジアン食堂バルSALA」という名の小さな食堂があります。そこは、東南アジアの庶民の味、「カオマンガイ」や、台湾料理の定番「ルーローファン」、タイの「グリーンカレー」など、本格的な現地の味をリーズナブルに楽しめると評判に。なぜなら、国際結婚などをきっかけに日本にやってきたアジア人のお母さんたちが、出身地の家庭料理を日替わりで振舞っているからです。
オーナーの黒田尚子さんが、「日本で暮らすアジア人女性の雇用を生む」こと」を目的に、この食堂を開いたのは、2016年のこと。神戸出身の黒田さんは、関西学院大学で身近な社会問題を学ぶうちに、国際結婚などで日本に暮らすアジア人のお母さんたちと出会い、多くの人が日本の生活に溶け込めず、悩みを抱えていることを知ります。「何とかできないだろうか?」ある日黒田さんは、彼女たちが作ったお弁当の美味しさに衝撃を受けます。料理のこととなると、途端に生き生きと話し出す彼女たちを見て、これらの料理をイベントなどで出品。売れ行きも上々なので、「お母さんたちと一緒にお店を開きたい」と思うようになりました。
しかし父親は猛反対。「もしダメだったら、お母さんたちの人生はどうなるんだ」。
そこで、飲食店広告を手掛ける企業に就職して、何十店舗も担当。開業に向けた知識を得て、ついに2016年、お店をオープンしたのです。その後、SNSの発信やデリバリーなどで幾つかの危機を乗り越えて、来店客も徐々に増えていきました。
そして、これまでは黒田さんに背中を押されて恐る恐るだったお母さんたちも、次第に自信をつけ、積極的に動くようになります。2月には、インドネシア人のお母さんがシェフとしてデビューすることに。
夢はまだまだ広がります。コロナ禍で需要が一気に増えた、テイクアウトや通販用の冷凍パックを販売するための2号店です。その2号店の新メニューとして料理を試作。さて、どんな料理ができたのでしょうか?
2022年2月26日(土)放送
季節を詰め込んだ京のお弁当
庄本彩美さん 京都市上京区 「円卓」
京都で評判のお弁当。箱の中に詰まっているのは、美味しいご飯と移りゆく季節です。腕を振るうのは、元看護師という料理家。さて、どんなお弁当なのでしょう。
京都市上京区。二条城からほど近い、西陣の町屋に「円卓」という屋号で活動する料理家、庄本彩美さんのアトリエがあります。朝から大忙しなのは、この日のイベントのため、60食のお弁当を作っているからです。四季の訪れを告げる様々な野菜たち。その美味しさを最大限に引き出した料理を詰めています。大切にしているのは季節感だそう。一番人気の「鮭弁当」のおかずは7種類。そして大根の赤い花びらが美しい「焼きサバのちらし寿司」。二種類のお弁当をマルシェに持ち込むと、庄本さんのお弁当は3時間で完売しました。
庄本さんは元看護師。京都の病院で働いていた時、身体が悪かった患者さんが、ご飯をちゃんと食べたい一心でみるみる元気になったのを見て、「食」の大切さに目覚めたといいます。さらに激務の中、自身も体調を崩したことで、食への興味が一層強くなったそうです。仕事を続けながら料理教室に通い、2018年、6年務めた看護師を辞め「食」の道へ。お弁当とケータリングをメインに、活動を始めました。「円卓」という屋号は、お家にあるちゃぶ台。円卓を囲んで人との縁を繋いできた庄本さんの思いが込められています。
アトリエの棚には、ずらりと保存食が並びます。実家でおばあちゃんが作る保存食を食べて育った庄本さんは、定期的に保存食作りのワークショップを開いています。この日は味噌作り。茹でた大豆を潰して麹と塩を混ぜて容器に詰め、酒粕で蓋をして10か月寝かせたら出来上がり。生徒さんたちも大満足です。
そしてある日は、お酒に合うお弁当のオーダーが。少し濃いめの味付けをして、サーモンの西京焼きに10種類の野菜。さて、お酒好きの皆さんに喜んでもらえたでしょうか。またある日は、京町家を改装した宿の朝食弁当の依頼が。春を感じる京野菜をたっぷり詰め込み、調味料も京都のものを使った「朝食弁当」、はたしてどんな仕上がりになるのでしょうか。
2022年2月19日(土)放送
麹を使った兄弟レストラン
渡邉浩さん 俊治さん 兵庫県西宮市 「W BROTHERS」
朝のモーニングからランチ、テイクアウトのお弁当まで、地元で人気のカフェが西宮にあります。さくら夙川駅近くにある「W BROTHERS」はその店名の通り、二人の兄弟が切り盛りしています。美味しいと評判の秘密は…麹にありました。
兄の渡邉浩さんは、イタリアンと和食の経験を持つ料理人。麹との出会いをきっかけに、一年前にこのお店を開きました。麹とは、蒸した米や麦などに麹菌を付着して培養した発酵食品。味噌や醤油、みりんなど、日本の伝統調味料は、麹の発酵力で生み出されています。特に浩さんを魅了したのは、新潟県魚沼地区で作られている八海山の生麹でした。雑味がなくすっきりした味で、自然で優しい甘みに衝撃を受けたそうです。この生麹を原料にして、オリジナル調味料を醸すのが、弟の俊治さん。麹を使った調味料は加熱処理なし、アルコールも砂糖も使わないという一見シンプルな工程ですが、他の菌が混じらないように厳重な管理が必要。温度にも気を配り、均等に繁殖させるための攪拌作業など、手間のかかる作業を繰り返し行います。
そんな二人が生まれたのは寝屋川市。高校卒業後、調理師専門学校へ進んだ兄の浩さんは、イタリアンカフェで修業しますが、日本の発酵文化に興味を持ち、和食バルで4年務めます。ここで「八海山」の生麹と出会いました。一方、弟の俊治さんは、大学を卒業後、東京のドリンクバーに就職。飲料の知識と接客を学びました。ところが、コロナ禍で和食バルが閉店。浩さんはどん底の中で麹カフェを開こうと決心します。頼れるのは弟だけ。2020年9月、渡邉兄弟の店「W BROTHERS」が誕生したのです。
そんな二人が今年1月、念願だった魚沼の「八海山」の蔵元をついに訪れました。さて、どんな出会いと発見があったのでしょうか。そして、新潟で得たヒントを元に新たなメニュー作りにも挑みます。
2022年1月29日(土)放送
夫婦が変えた鉄工所・オシャレな鉄雑貨
中塩屋祥子さん、宜弘さん 兵庫県尼崎市 「HIBANAS(ヒバナス)」
美味しそうな鉄板焼き。一般的な鉄板の2倍はある分厚い調理用鉄板で焼くと、味も格別です。そして、かわいくて便利で、おしゃれな鉄製品の数々。これらは「HIBANAS(ヒバナス)」という名の鉄製品ブランドの商品です。2018年に誕生したばかり。たとえばテントを固定する金具には、色々な動物をかたどるなど、、ユーモラスな新商品が次々と生み出されています。これらを作って、全国にファンを持つのが、尼崎にある鉄工所「ヒロセエンジニアリング」です。
創業50年以上という「ヒロセエンジニアリング」。船舶のタンクや生コンクリート工場の設備設計などを手掛けてきた、プロ仕様の鉄工所です。社員数は7名。「下町の工場」を支える熟練の職人たちです。社長は2代目の中塩屋宜弘さんですが、妻の祥子さんが「ヒバナス」を立ち上げました。工業用品を作る町工場が、なぜ一般家庭向けグッズを始めたのでしょうか。以前は材料業者に切断された鉄板を外注していたのですが、発注から納品まで何週間もかかるため、自社で裁断・加工できるプラズマ加工機を導入。納期を大幅に短縮して、取引先も増えました。そして祥子さんは、自分たちで裁断加工ができるなら、端材でオリジナルグッズができる、と閃いたのです。
「ヒバナス」は祥子さんが図面を引き、宜弘さんが試作して製品化します。すると、キャンプ用の商品が注目を集めてヒット。他にも、お好み焼き屋さんの鉄板や、鍋、お店の看板といったオーダーも舞い込むようになりました。社員たちも最初は戸惑いますが、もとより裁断・溶接のプロフェッショナルですから、他と差別化できる商品が出来て、一般の人と触れ合う場面が増え、社内も明るくなりました。
そんな「ヒロセエンジニアリング」が、3月の「アウトドアフェス」のための新作に挑戦します。また、子供さんの体験学習施設にも、ある新作を作成。さて、それはどんなモノでしょうか?
2022年1月22日(土)放送
ユーモラスで不思議な木彫り作品
北浦和也さん 西中島南方
スプレーの上に座るお坊さんに、鯨を押さえる力士、人の頭の上にチーターが乗っていたり…これらはすべて木彫りです。まるで落書きのような不思議でユーモラスな作品を生み出すのは、大阪を拠点に活動する木彫り作家、北浦和也さん。去年の11月、鳥取のギャラリーで北浦さんの作品展が開催されました。お客さんからは、「こんなふざけた木彫り、見たことない」、「めちゃめちゃ面白い」などの感想が。全国から個展の依頼が届く、北浦さんの木彫り作品。独特な世界観が人気のようです。
大阪にあるアトリエは、同世代の作家3人でシェアする広い空間。北浦さんはここで作品を作っています。完成までの工程を見せてもらいます。まずは思いついたアイデアを素早くスケッチします。今回は、縦に並んだ犬や熊の三体のぬいぐるみ。これを大きな丸太に書き写すと、チェーンソーで大まかに削ります。なんと北浦さんの作品は、三体を繋ぎ合わせるのではなく、一本の丸太を彫り出す一木彫りなのです。続いて、ノミで慎重に彫っていきます。5日間ぐらい、ひたすら彫り続け、形ができると、彫刻刀で細部を仕上げ、色を付けたら完成です。製作期間は一週間でした。
大阪で生まれ育った北浦さんは、小さな頃からモノ作りが大好きで、大阪芸術短期大学に進学。ここで彫刻家としても有名な川島先生と出会い、木彫り作家を志すのです。川島先生は言います。「彫刻は集中力が長続きすることが大事。北浦くんは向いていた」個展を自ら開催するうちにファンを獲得し、全国のギャラリーからオファーが殺到するようになりました。ギャラリー以外にも、個展を見たショップから、看板オブジェを依頼されることも多くなりました。この日は本屋さんの注文で、「象の上に分厚い本が開いたまま乗っている」オブジェを納品。とても喜ばれました。また、定期的に工芸品展などで、こけし風の木にお客さんの姿をその場で彫っていく「似顔絵木彫り」も続けています。これまで2,000体以上の似顔絵を彫ってきました。
そして去年の12月、京都精華大学の学生が、デジタルアートで有名なアーチストとのコラボを提案してきました。デジタルとアナログの融合、一体どんな個展になったのでしょうか?
2022年1月8日(土)放送
清水焼の絵付師
光武みゆきさん 京都市東山区 「NIEI」
繊細な色彩感覚と緻密な技巧で、陶器に絵を描く絵付師が、京都にいます。近年一気に頭角をあらわした清水焼の絵付師、光武みゆきさんです。清水焼は各工程が分業になっていて絵付師はその仕上げを担当。「美術品ではなく、あくまでも普段使いできる器で、使う人の心を華やかにしたい」と言う光武さんは、今年11月、東山の八坂神社にほど近い場所で、清水焼の新ブランド「NIEI」を立ち上げ、アトリエ兼ショップをリニューアルオープンさせました。気鋭の絵付師、光武さんに密着します。
アトリエで光武さんの仕事ぶりを見せてもらいました。成形された器に絵を描き、再び工房の窯で焼き上げるのですが、光武さんは「描詰め」という、色を密集させていく技法を用います。素地に絵や模様を描き、釉薬をかけて高温で焼いた器に色を入れていきます。顔料にはガラス質が混合しており、再び窯で焼きつけると起伏に富んだデザインとなります。色数によって何度も何度も焼きを入れ、驚くほど密度の高い色彩と精緻な描き込みの清水焼が出来上がります。
光武さんは子供の頃から手を動かしてものを作るのが好きで、京都の短大の生活デザイン科を卒業後、印刷会社に就職しますが、退職。23歳で陶工技術専門校に入学して絵付けを学びます。そしてこの世界では有名な窯元「京泉窯」に入り、働きながら絵付けを修行したのです。
実は光武さん、2020年に「伝統工芸士」「未来の名匠」に選ばれて以来、矢継ぎ早に名だたる賞を続々と受賞。成形師を頂点とする陶芸界で、絵付師が一気に注目を浴びるのは異例のことだとか。その一方で、光武さんは、鳥獣戯画のパロディにしたユーモラスでカジュアルな「お揃いの器めおと屋」というブランドも展開しています。雅と素朴さを行き来するハイブリッドな感覚を持っているのです。
そんな光武さんに舞い込んだ大きな依頼、それは海外への挑戦でした。
2021年
2021年12月18日(土)放送
ダンボールアーティスト
島津冬樹さん 東京都世田谷区
今、若い女性を中心に注目されている、カラフルな財布やカードケース。その素材はなんと、ダンボール。日本全国だけでなく、世界中を旅して集めたダンボールを使って、作品を生み出しているのが、ダンボールアーティストの島津冬樹さんです。
捨てられたり、資源ごみになるダンボールで作品を作る島津さんは、持続可能な世界の実現を目指す企業からも注目され、「ナイキ」や「ラコステ」、「ノースフェイス」といった一流ブランドとコラボしています。
東京都にある、廃校になった中学の校舎を利用して、ものづくりのアトリエやオフィスとなった施設に、島津さんのアトリエがあります。そこには、世界35か国をまわって集めたダンボールがズラリ。現地の方々に頼み込んで譲ってもらったと言います。「ダンボールの魅力を多くの人に知ってもらいたい」と、財布やカードケースを作る島津さんですが、作業はすべて手作業。見せたい印刷のデザインを意識して、手製の型に合わせて切り分けていきます。内側に来る部分には、柔らかいダンボールを使うなど、使いやすさにもこだわります。そうして出来たものは、それぞれが唯一無二の絵柄なのです。そのため島津さんは、「これらは商品ではなく、作品」と言い切ります。
島津さんが初めてダンボールの財布を作ったのは、美術大学の学生の頃。この時の感動が忘れられず、大手広告代理店に就職後も、ダンボールへの想いは増すばかり。ついには職を捨て、アーティストの道へと進んだのでした。そんな島津さんのもとに、新たな作品のオファーが舞い込みました。なんとトヨタの新車のPRとして、内装をダンボールでデコレーションしてほしいというものでした。悪戦苦闘の5日間。どんな作品になったのでしょうか。
企業からのオファーを終え、島津さんの旅が始まります。やって来たのは和歌山県有田市。求めたダンボールはもちろん、有田みかんです。もらったダンボールで、島津さんは新たな作品に挑みます。半分に切断したダンボールにファスナーを取り付け、出来上がったのは、これまた驚きの「機能的なみかん箱」でした!
2021年12月11日(土)放送
ローチョコレート専門店「Hareto-Keto」
吉田理恵さん 滋賀県彦根市
琵琶湖の湖畔に位置する滋賀県彦根市。観光客も多く訪れるキャッスルロードの近くには、江戸時代の町割りが今も残る足軽組屋敷があります。その一角にあるお店が「Hareto-Keto」。昔懐かしい風情漂う店内のショーケースには、カラフルなチョコレートが並んでいます。このチョコレートは全て、ローチョコレート。
ローチョコレートとは、カカオを焙煎せず、カカオが持つ豊富な栄養を生かしたスーパーフードなのです。カカオ豆に含まれるポリフェノールは熱に弱いため、48度以上の過熱をせず、小麦、白砂糖、卵、牛乳、乳製品を一切使わないチョコレート。糖分は果物やメープルシロップなどから取り、100%植物性です。このチョコレートを製造・販売するのが、吉田理恵さんです。
吉田さんは元看護師。患者さんと接する中、健康食に興味を持ちました。そんなある日、京都のチョコレート専門店のワークショップで食べたローチョコレートに夢中になります。「頬張った時の心の充足感に驚きました」。以後、看護師を続けながら、京都のローチョコレート専門店で作り方を学び、独立。出身地の彦根でお店を開き、クラウドファンディングで資金を募り、足軽組屋敷群の中に工房も作りました。
足軽組屋敷とは、城下町の最も外側に立ち並び、彦根城と城下町を守る屋敷群です。
敵の侵入を防ぐため道幅が狭く、遠くまで見渡せない作りで、400年前の形が残っています。吉田さんの工房はその中にあるのです。
ローチョコレートは特別なカカオ豆を使い、時間と手間がかかるため、どうしても販売価格が高くなるのが難点です。気軽に楽しんでもらうため、ワークショップも開いています。そんな中、近江八幡で開催するチョコレートと音楽のイベントに参加するため、吉田さんは日本初のローチョコレートファウンテンを作ろうと決意しました。しかし、やってみるとこれが難しい。果たしてこのイベントに、ローチョコレートファウンテンを出品することはできるのでしょうか?
2021年12月4日(土)放送
いま話題のフルーツタルト専門店「ふぁみり~たると」
荒山拓哉さん 大阪市此花区
梅田の阪急百貨店でこの10月、「阪急ケーキショー」が開催されました。30店舗以上が出店する毎年恒例のイベントは、大勢のスイーツファンで賑わいます。中でも注目は、フルーツタルト専門店「ふぁみり~たると」。今年6月にオープンしたばかりで、この「阪急ケーキショー」には初参加にもかかわらず、飛ぶように売れていきました。その理由は、ブース前に山積みされた長野県産のフルーツ。大阪ではなかなか手に入らない旬の高級フルーツが、ふんだんに使われたタルトだからでした。
「ふぁみり~たると」は、大阪市此花区と尼崎市にフルーツショップ2店舗を営む株式会社「ふるぅつふぁみり~」の直営店。社長の荒山拓哉さんは、旬のフルーツを目利きする仕入れのプロです。時には生産地にも赴き、現地の生産農家との親交を深めてきました。「日本のフルーツは品質が高くて、海外でも大人気です。当社でも輸出事業を行っていて、売り上げは大きく伸びています。ただ、ウチの店でフルーツを買うのは、中高年がほとんど。10代20代のフルーツ離れを食い止めようと開発したのが、フルーツタルトです」
フルーツ王国・和歌山県にある洋菓子店のパティシエ、上野山さんの知恵を借りて、タルトの生地とフルーツのバランスを調整しつつ、レシピを作り上げます。タルトも一級品なら、フルーツも荒山さんが旬を見極めた一級品。「ウチは卸しや輸出事業もやっているので、大量に仕入れますから、値段が抑えられます。他のスイーツ店では手が出せないような高品質のフルーツを、ふんだんに使えるんです」
青果店で働く父の背中を見て育った荒山さんは、19歳でフルーツを扱う会社に就職。尼崎にあるチェーン店を任されますが、27歳の時に独立して、妻の実家がある此花区で、フルーツショップ「ふるぅつふぁみり~」をオープンします。フルーツでお客さんを笑顔にする荒山さんの新たな挑戦とは?
2021年11月27日(土)放送
デフテニスプレーヤー
喜多美結さん 豊中市
「デフテニス」という競技をご存知でしょうか?耳が聞こえない人や、難聴などの障がいを持つ人が、補聴器を外して対戦するテニスのことです。打球音をはじめ、一切の音が聞こえない静寂の世界で、選手たちは目で見て反応するしかありません。通常のテニスより高いフットワークが必要で、はるかにプレイが難しいスポーツです。
2019年10月、デフテニスの世界選手権で、日本人選手として初めて優勝を果たしたのが、喜多美結さんです。難聴の原因を究明し、治療法を探したいと、大学で神経生命工学を学びながら、テニス部に所属。補聴器を付け、大学日本一を決める全国大会にも出場して、団体戦の貴重な戦力となっています。また彼女は、来年5月、ブラジルで開催される聴覚障がい者のオリンピック「デフリンピック」の優勝をめざしています。奮闘する喜多美結さんを追いました。
彼女の両耳が聞こえにくくなったのは、小学校4年生の頃。原因は不明で治療法も判らず、補聴器を付けての生活が始まりました。中学、高校とテニス選手として活躍。全日本ジュニア選手権では、女子ダブルスでベスト16まで行きました。しかし、難聴はさらに進行し、補聴器を付けても音が聞きづらくなりました。仲間が応援してくれても、それに応えられない。次第にテニスから離れていきました。
大学でもテニスをするつもりはありませんでしたが、ネットで「デフテニス」のことを知り、子ども向けのデフテニス教室にボランティアで参加してみます。子ども達が生き生きとテニスを楽しんでいるを見て、「これだ!私も頑張らなきゃ!」と、テニスの世界に戻ることを決意したのです。
美結さんは、テニスのレベルが高い関西大学のテニス部に入部。地道な努力が実り、全国大会の団体戦に出場する7名に選ばれました。11月に開かれた団体戦の結果は?さらにデフテニスの全国大会での優勝を目指します。
「デフリンピック」出場へ、夢のツヅキは?
2021年11月13日(土)放送
コロナ禍で閉店した人気食堂が復活
板野茂樹、千夏夫妻 「シチニア食堂」 清荒神
宝塚市にある、台所の神様として有名な清荒神清澄寺。駅から続く参道には、昔ながらのお店が100軒近く軒を連ねています。その中で、ひときわ目立つガラス張りの建物が、10月3日にリニューアルオープンした「シチニア食堂」です。元は植木屋さんだった建物の一階をキッチンスペースに、地下の広い倉庫を飲食スペースに改装しました。オーナーは板野さん夫婦。料理担当の茂樹さんと、盛り付けと接客担当の千夏さんです。現在は3曜日、ランチのみの営業ですが、こだわりの野菜を中心にした前菜・パスタ・メインはどれも美味しく、たちまち予約で満席になるほどの人気店に。「あの味が帰ってきた」と、お客さまも大満足です。また、他に2店舗のカフェや売店に、焼き菓子やランチボックスを届けています。板野さん夫婦は、大忙しなのです。
ともに吹田で生まれ育った二人は、30歳で結婚。清荒神に移り、この地で自分たちのお店を持とうと考えます。そして2012年、参道のはずれにある小さな一軒家で、「シチニア食堂」を開店。清荒神を代表する人気店になりました。しかし去年の8月、コロナ禍で閉店。ところが、閉店を惜しむお客さまの声に押されて、再開を決意します。空き家となった広々としたスペースを、クラウドファンディングを活用してリノベーション。再開にこぎ着けたのです。こんなに有難いことはないと、夫婦は口をそろえて言います。
昔ながらの商店街は今、新たな動きを見せています。「シチニア食堂」に刺激された若い世代が、空き店舗を改装して次々と出店。ここ数年で10店舗あまりがオープンし、商店街は一気に若返っています。そんな「シチニア食堂」の板野夫婦。日頃の感謝の気持ちを形にしたいと、あるイベントを企画していました。それは・・・
2021年11月6日(土)放送
五輪を目指すガールズスケーター
上村葵さん 堺市
東京オリンピックで日本人選手が活躍して、脚光を浴びたスケートボード。
3年後のパリ五輪を狙う期待の星として、注目の選手がいます。
上村葵さん、12歳。中学一年生の彼女が、スケートに打ち込む日々を追いました。
大阪・岸和田市。ショッピングモールの野外スペースに作られたスケートパーク。
「ランプ」と呼ばれる。楕円を半分に切ったような場所で、何時間も練習する葵さん。スケボーを始めた頃から、コーチの森岡さんと繰り返し練習してきたのが、「オーリー」という、板と一緒にジャンプする基本のトリックです。これをマスターしないと、次には進めません。ほぼ毎日練習し、同世代でも群を抜く高さと安定感。そしてこの日、重点的に練習していたのが、バックサイド・リップ・スライドという、レールの上に乗るトリック。失敗すれば危険な技で、何度も繰り返して、成功率を上げるしかありません。この日は5時間近く滑りました。
葵さんが初めてスケボーに乗ったのは、小学校3年生の時。そしてお父さんが、自宅の庭に練習用のランプを手作りして、本格的なスケボーライフが始まりました。学校から帰ると、すぐにお母さんとスケートパークへ。この日練習するパークは、次に出場する大会の会場です。葵さんが挑むのは、45秒間で争う「ストリート部門」。上級者なら、7つか8つのトリックを決めます。特に難しいのが、板を回転させながらレールに飛び乗る「ヒールボード」という大技。葵さんでも成功率が低い技ですが、次の大会でこれを成功させて、優勝を狙いたいと考えました。
葵さんが大技で攻めるのには理由があります。それはこの夏、東京オリンピックで見た同世代女子達の躍動。次のパリ五輪に出たいなら、自分をもっと磨かねばなりません。そして迎えた大会当日。全国からエントリーした14名の女子選手が集結。まずは予選を勝ち抜き、決勝であの大技を決めなければ優勝はありません。さて葵さん、猛練習の成果は?
2021年10月30日(土)放送
可愛い動物パンの人気店
石田沙織さん(パンとわがしの店mochiri) 木津川市
京都の最南端に位置する緑豊かな木津川市。新しい家が並ぶ住宅地に、「かわいい」と評判のお店があります。それが2015年にオープンした「パンとわがしの店mochiri(モチリ)」。ドアを開けると、そこはまるで遊園地のような楽しい空間。ここでは焼き立てパンと和菓子という、ちょっと変わった組み合わせを販売しています。
しかも、食パンなどの定番よりも数多く並べられているのが「動物のかたちをしたパン」。ねこ、小鳥、カエルなどなど、カラフルな動物パンが並んでいます。なんと焼いているパンの20種類以上が動物のかたち。このユーモラスな動物パンが、かわいいと評判になっているのです。動物パンを作っているのは、お店のオーナーでパン職人の石田沙織さんです。「パンはすべて私が1人で焼いています。別の場所で和菓子屋をやっている夫が作った和菓子も置いています。」
沙織さんが焼くのはパンだけではありません。動物のクッキーも「おいしくてかわいい」と評判。定番や犬や猫だけではなく「ヒョウモントカゲモドキ」など、なかなかマニアックな動物がクッキーになっています。
一方、夫の秀政さんの実家は、50年続く和菓子店。名物は、もちもち食感の冷たい和菓子「もちり棒」ですが、動物やおばけなどを模った「動物上生菓子」も大人気。夫婦二人で、ユーモラスなパンと和菓子を作っているのです。お互いにアイデアを出し合い、よきライバルとして、アドバイスし合ったり、デザインや型などを考えています。
そんな中、沙織さんは新しいパンのデザインを考え始めました。11月に枚方で開かれる「パンマルシェ」というイベントで、新作の動物パンを発表するためです。さて、どんなものができるのでしょうか?
2021年10月23日(土)放送
世界で一つだけのオリジナル品種を作るバラ農家
國枝健一さん 「Rose Farm KEIJI」
滋賀県守山市のバラ農園。たくさんの種類のバラが咲き乱れていますが、それらはすべてメイド・イン・ジャパンの「和ばら」なのです。「バラのイメージと違う」「一輪でも映える、色のグラデーションが美しい」お客さんから驚きの声が上がります。
父の啓司さんが苦労の末に生み出した「和ばら」を発展させ、新しい発想でバラ農園とお客さんを繋いだのが、このバラ園の三代目、國枝健一さんです。
東京で人気のファッションブランド&雑貨店とコラボして花束を飾り、花屋さんに行かない人たちにも「和ばら」をアピールしたり。京都でバラの無人販売所を開設したり。食品基準で育てている花びらから抽出したエキスで、ローズシロップやローズティを作ったり、さらには染色や、バラの香りを生かしたローズウォーターと、人々の毎日の暮らしに寄り添う製品も開発しています。
そんな健一さんが、新たに研究しているのが、「お部屋で育てるバラ」です。「切り花ではバラが咲ききる姿が見られません。でも鉢で育てると、最後まで鑑賞できます。バラは朽ちていく姿も美しいんですよ」。
さらに健一さんは、お店ではなく、お客様にバラを直接届ける、Uber Eatsの「バラ版」を企画して、早速都内で実験を開始しました。
2021年10月16日(土)放送
犬の車椅子
川西英治さん、仁美さんご夫妻 「工房スイーピー」 大阪市住之江区
私たち人間を癒してくれる、愛らしい犬たち。しかし今、高齢化や事故、病気などで、歩けなくなる犬も増加しています。「もう一度元気に歩いてほしい」「散歩に連れて行ってあげたい」。そんな願いを叶えるのが、『犬の車椅子』です。作っているのは、大阪のご夫妻。全国から依頼を受け、これまでに3,000台の車椅子を作ってきました。夫婦二人三脚で取り組む、犬の車椅子作りに密着します。
大阪市住之江区。ある住宅街の一角にある普通の一軒家。ここに、犬の車椅子を作る工房があるのです。切り盛りするのは、川西英治さんと妻の仁美さん。依頼主がやってくると、まずはヒアリングです。犬種や年齢、症状を聞いて、犬の状態をよく観察することが、車椅子の出来を左右します。また、犬は勿論、飼い主のコンディションも観ます。飼い主が高齢であるケースも多く、大型犬の場合、ちゃんと犬を車椅子に乗せられるのか?もポイントに。そうして、その犬に合う車椅子作りがスタートするのです。本当に身体に合ったものでないと、犬は不安や違和感を覚えて、歩いてくれません。ここに難しさがあります。
川西夫妻が車椅子を作るきっかけは、二人の愛犬スイーピーが、椎間板ヘルニアで後ろ脚を動かせなくなったことでした。獣医から車椅子を勧められましたが、その値段は高額で、すでに治療や手術で費用がかかっていた夫妻に出せる金額ではありませんでした。悩んだ夫妻は、車椅子を自作することに。悪戦苦闘の末、2か月がかりで何とか完成。そして車椅子にスイーピーを乗せると、嬉しそうに走り回るではありませんか。これには二人も大号泣です。
ある日、スイーピーを散歩させていると、知らない人から声をかけられました。自分たちと同じような悩みを抱えた人がいると知り、試しにネットで売り出してみると、すぐに注文が入りました。ここから2013年、愛犬スイーピーの名前を掲げた犬の車椅子工房、「工房スイーピー」をオープンさせたのです。
2021年10月9日(土)放送
近江の商店街を盛り上げるパンカフェ
吉田健一郎さん、克代さんご夫妻 「パンカフェKOKON~江近~」 東近江市
一日に50人しか通らないといわれたシャッター商店街に、夫婦で移り住んだのは5年前。二人が営むパンカフェが、街に希望を与えています。
近江鉄道「八日市」駅のすぐそばにある、レトロな雰囲気の商店街に、他府県からもお客さんがやって来る人気店があります。「パンカフェKOKON」。2017年のオープン以来、大盛況で、コロナ禍でも客足は衰えません。切り盛りするのは、吉田さん夫婦。一番人気の「スキレットパンランチ」は、奥さんの克代さんが、注文を受けてから焼き上げるこだわりの一品。独創的なメニューを生み出してきた克代さんのパンは店頭でも販売し、午前中で売り切れることも多いそうです。ご主人はパン以外のフードメニューを担当し、こちらも好評です。
地域おこし協力隊として移住してきたお二人は、空き店舗を改装してお店を立ち上げた時、商店街の人たちの優しさにほれ込みました。そこで、感謝の思いを形にしたいと、次々にイベントを企画、商店街を活気づけてきました。この夏も、緊急事態宣言の中、普段は通行禁止の商店街に車を入れて、テイクアウトを考えたのです。周囲の店舗に参加を呼びかけ、それぞれ自慢の食材をトッピング。SNSで告知すると、次々に車がやって来ました。そして1時間で完売したのです。
次に二人が考えたのは、コロナで廃業してしまった和食店の料理長に、再起してもらうこと。二人とも、その味が大好きだったのです。熱い想い伝えると、涙ながらに受け取った元料理長。「KOKON」2号店の計画は、一気に現実味を帯び始めます。
街を元気にするために、新たな挑戦が始まりました。
2021年10月2日(土)放送
オーダーメイド家具
「パトラッシュ」 臼井孝雄さん
今年3月、淡路島の景勝地「慶野松原」に、オーダーメイドの家具屋さんがオープンしました。「パトラッシュ」と名付けた店舗兼工房となる巨大な倉庫の中には、様々な手作りの家具が展示されていますが、これらは売り物ではなく、すべてサンプル。自分だけの家具を注文する上での参考にと展示されています。 この店舗兼工房のオーナーが、家具職人の臼井孝雄さん(44歳)です。臼井さんは、「『天板は良くても脚が気に入らない」、『あと5センチあれば』、『この角さえ無ければ』、そんな思いを抱えて家具を選ぶお客様をよく目にしました。だったら、お客様としっかり話し合い、細かいニーズに応えて一緒に家具を作り上げていけたら」と考えたそうです。その評判は口コミで広がり、島の内外から注文が舞い込んでいます。受注から製作、納品まで密着し、お客様の喜ぶ声をお届けします。
また、広い工房にはカフェのスペースも。「カフェがあれば、家具のオーダーに来られたお客様にテーブルや椅子の使い心地を試して頂けるし」と臼井さん。砂浜に出れば「日本の夕陽百選」にも選ばれた慶野松原の美しい夕陽を、コーヒーと共に堪能できるサービスも。
淡路島で工房を開いた臼井さんですが、実は生まれも育ちも大阪。学校を卒業後、なんとNSCに入学し、芸人を志していた時期もあったのだとか。しかし芽は出ず、アルバイトをきっかけに飲食店の厨房に立つことに。ところが30代、友人から「仕事を手伝ってほしい」と相談され、以前から興味のあった木工の世界に飛び込んだのです。大手家具業者に就職して、6年間修業。そこで基礎を学んだ後、技やセンスを磨くため、デザイン家具会社でも修業し、オーダーメイドの家具を作るため、独立します。
家具作りには、大型の木材や大きな機械と広い収納スペースが必要です。そして機械は大きな音が出るし、木くずも大量に出ます。これらの条件を満たす田舎の広い場所を探し回り、見つけたのが今の倉庫なのです。現在、堺に住まいを持ち、家と工房を行き来する臼井さん。奥様との生活はどんなのものでしょうか。そして将来は?
2021年9月25日(土)放送
妖怪書家
奈良県 逢香さん
赤いハイヒールに踏みつけられた妖怪たち。角を切り落として口紅を引く般若。
「現代の生きづらさ」を妖怪に投影して描く、女性の書家が奈良にいます。妖怪書家、という異色の肩書を持つ、逢香(おうか)さんです。その独特の作風で、由緒ある神社仏閣からも多くの依頼が来ています。今回は、「妖怪」と「書」で人々にエールを送る、若き書家の夢のカタチを追いました。
東京・品川で行われた、『妖怪ウォッチ」を生み出したレベルファイブという会社での新作アニメの試写。このアニメの題字を描いたのが、逢香さんでした。
実は逢香さんは、人気アニメ『妖怪ウォッチ』の異色シリーズ『黒い妖怪ウォッチ』で元々の可愛いキャラクターを不気味な妖怪に変えてデザイン。話題を集めて、今回の抜擢となりました。レベルファイブ代表取締役社長/CEOの日野晃博さんは、「文字で作品を表現できている」と絶賛します。
作品は「書画」、つまり筆と墨だけで描かれています。それを掛け軸の形で完成させるのです。番組では個展で展示された書や、世界文化遺産のお寺の絵馬、奈良の日本酒のラベルデザインなど、様々な作品を紹介します。
逢香さんが書道を始めたのは6歳のころ。母親が書道教室を開いていたことから、自然に筆を持つようになりました。その後、書道の道を究めようと、大学で書道を専攻します。その授業で、江戸時代の小説本の挿絵に描かれていた妖怪に衝撃を受け、墨絵で妖怪を描くようになったのです。
そんな逢香さんに大きな仕事が舞い込みました。明日香村にある聖徳太子生誕の地とされる橘寺から、聖徳太子にまつわる作品を描いてほしいというものです。来年の生誕1450年を記念して描く聖徳太子。これまでにも増して、超大作になります。果たしてどんなものに仕上がるのでしょうか?
2021年9月18日(土)放送
新しいマジック
マジシャン 新子景視さん
「ブレインダイブ」というマジックをご存知でしょうか?カードの数字やサイコロの目、誕生日や何かの暗証番号、誕生日から結婚記念日、さらには初恋の人の名前まで、その人しか知らない情報を、相手の脳に潜り込んで読み取り、当ててしまう。そんな、何だか超能力のような、でもれっきとしたマジックが、「ブレインダイブ」です。このマジックを考案したのは、マジシャンの新子景視さん。相手との会話や接触によって成立するマジックを封印し、新型コロナウイルス禍の中、これまでにないソーシャル・ディスタンスを守ったマジックに挑む、新進気鋭のマジシャンの夢のカタチとは?
1987年、和歌山県で生れた新子さんが、マジックに興味を持ったのは小学4年生の時。母親が見せてくれたカードマジックに驚き、そこからのめり込んでいったといいます。中学、高校とマジックのおかげで人気者だった新子さんは、大阪の大学に進学。ゼミやバイト先でもマジックを披露していましたが、卒業後は普通に就職しようと考えていました。ところが、ゼミの教授から、「お前はマジシャンにならなあかんやろ」と言われて一念発起。卒業後、アメリカに渡り、マジックの本場、ラスベガスでも腕を磨きました。
帰国後、ブレイクダンスやジャグリング、マジックといった演技を、ノンバーバル、つまり言葉を使わずに物語を演じるパフォーマンス集団『ギア』のオーディションを受け、合格。プロの道を進み始めます。そこで「ブレインダイブ」が生まれたのは、関西人の気質にあったといいます。「たとえばカードマジック。マジシャンはカードを混ぜたり、切ったり、布で隠したり、数字を当てるまでいくつか工程を踏みます。それを見ながらお客さんは、『どこにタネがあるのだろう?』と考えます。ところが関西人はせっかちなので、触ってはいけないカードに手を出してしまったりします。それなら、考える時間を与えなければいい。数字を当てるまでの工程を全部削ぎ落すことにしました」
この「ブレインダイブ」で人気になった新子さんでしたが、コロナ禍で舞台やマジックの公演が次々と中止になってしまいました。生でマジックを披露出来なくなった新子さんは、どんな手でパフォーマンスを見せていくのか?そして昨年5月に新型コロナの影響を受け、上演中止となってしまった初挑戦の演劇舞台、この夏、無事に千穐楽の舞台に立つことはできたのでしょうか?
2021年9月11日(土)放送
蘇嶐窯
京都市東山区 「蘇嶐窯」 涌波隆、まどか夫妻
歴史情緒漂う京都市東山区。お茶屋や神社仏閣が立ち並ぶこのエリアに、清水焼の工房「蘇嶐窯」があります。工房を囲むギャラリーに並ぶのは、凛とした佇まいを見せる陶磁器の数々。これらの器を作っているのが、四代目の涌波隆さんと、奥様のまどかさんです。
代表作は、「青磁飛び鉋」シリーズ。作り方は、まず涌波家が受け継いできた青磁器の「青色」を出すため、釉薬とは別に、土に鉄分を練り込みます。隆さんが成型して、乾燥させた器は、まどかさんが引き継ぎます。ここで器に模様を入れるのが、福岡で15代続く窯元に生まれた、まどかさんの伝統的な技、「飛び鉋(とびがんな)」です。高速で回る器の上を飛び跳ねるカンナの動きで、わずか2秒で見事な模様が入ります。隆さんの「伝統の青」に、まどかさんの「伝統の模様」。二人の異なる組み合わせが、新しい磁器を生んだのです。
一流の料理人たちからも愛される「青磁飛び鉋」シリーズ以外にも、清水焼の枠を超え、新たな作品に挑戦し続ける「蘇嶐窯」。陶器と竹細工を組み合わせた斬新なデザインの「スパイラル」は、雑誌にも取り上げられて大きな反響を呼び、埴輪をあしらった可愛い器やコーヒーカップの「縄文シリーズ」も人気です。
そんな「蘇嶐窯」の涌波家ですが、ある日、仕事を離れて、息子さん、娘さんと、家族4人で器作りに挑戦します。モノ作りの楽しみを、一家全員で味わうことはできるのでしょうか?
2021年9月4日(土)放送
フードロスをなくしたい淡路島の缶詰工房
南あわじ市 「YOKACHORO FOOD BASE」 角田大和さん
兵庫県淡路島の南端、鳴門海峡を臨むうずしおの町に今、話題を集める専門店があります。缶詰と瓶詰を作る工房です。主宰するのは、「ヨカチョロ・フード・ベース」オーナーシェフの角田大和さん。シェフが缶詰?角田さんは料理店を持たず、ここで加工食品を生産しています。しかもその中身は、淡路島で採れた野菜や魚。どれも新鮮で美味しいことで、一種ブランド化しています。しかし形や数が揃わなかったり、傷があったり、沢山獲れ過ぎたり、コロナ禍の影響だったりで、廃棄されるしかないものが。角田さんは、そんな食材を買い取って、缶詰にしているのです。
たとえば鰆。淡路の鰆は高級魚ですが、コロナ禍で出荷できず、漁師さんも困っていました。そこで角田さんは、アシの早いこの魚を水揚げしてすぐに捌いてもらい、鳴門の昆布だし、天日塩、有機醤油で味付けて、極上のツナ缶に仕上げました。鯛も飲食店が仕入れないので売れません。でも漁師さんが鯛を獲らないと、増えすぎて、鰯や鯵の産卵場が荒らされるのです。角田さんはこの鯛も、様々な食品に加工して、めちゃめちゃ美味しい缶詰を作りました。
魚だけではありません。淡路島といえば玉ねぎですが、春先に出てくる葉玉ねぎは、柔らかくてみずみずしく、別格の味わい。でも葉付きにすると傷みやすいので、出荷時には切り落とされてしまいます。この葉っぱを使って、角田さんは旨味爆発のディップ・ドレッシングを作ってみせました。
角田さんは広島出身。大学で農業と流通を学ぶうち、もっと掘り下げたいと野菜を取り扱う会社のレストラン部門で働くことに。そこで野菜の取り扱いや、調理保存方法を習得します。その後、丹波篠山で飲食店を営んでいた時にフードロスを目の当たりにした角田さんは、廃棄される食材を使って加工食品を作ろうと思い立ったのです。
淡路島を選んだ理由はいたってシンプル。「食材を取り寄せるとコストがかかる。食の宝庫、淡路島なら、何でもそこにあるから」今では様々な生産者から、相談を受けるようになりました。でも、いつ、どのタイミングで、フードロスのレスキューが来るのか、わかりません。連絡を受けたらすぐに動かないと、食材は生もの。旬は待ってくれないと、角田さんのワクワク感は止まりません。
2021年8月7日(土)放送
母と娘が作るコッペパンサンドのキッチンカー
加古川市 「母とむすめ」 山本千代香さん、濱尻世莉果さん、ほか
母と娘、親子で運営するコッペパンサンド専門のキッチンカーが、兵庫県の播州地方でたびたび目撃され、話題になっています。今年の3月から、毎週土・日曜だけの営業ですが、完売必至の売れ行きです。「牛ヘレカツ」や「豚ヘレカツ」を中心に10種類のコッペパンサンドが300本、揚げパンが100本。これがオープンして40分ほどで品切れになるんです。母・山本千代香さん、娘の濱尻世莉果さん親子を中心に、次女や三女も手伝いながらのキッチンカーの名前は、そのまま「母とむすめ」。山々に囲まれた自然豊かな加古川市志方町で、このコッペパンサンドは生まれました。
志方町は、靴下の産地として知られています。山本さんも平日は、靴下工場で働いています。そもそもは山本さん、こちらが本職だったのです。創業60年の靴下工場に嫁いできた山本さんでしたが、コロナ渦で仕事が激減。倒産を免れるために大きな借金をしたものの、これからどうしたら…と悩んでいたところ、長女の世莉果さんが「お母さんが大得意のコッペパンサンドのお店をしてみたら?」と提案。靴下だけでなく、畜産も農業も盛んな地元の美味しい食材を使えば、他には負けない味になる!
山本さんは一念発起で露天営業の許可を取得して、キッチンカーで街へ出て行ったのです。
パンは地元のパン屋さん特製の山本オリジナルで、超ふわふわ。肉や野菜、卵も地元から仕入れた、これまた超新鮮食材ばかり。ソースも山本さんが「よそでは絶対この味は出せない」という自信作。しかしそれでも、どうしてこんなに早く、人気になったのでしょうか?長女の世莉果さんには、秘策がありました。
2021年7月17日(土)放送
農園を営みながらのパン屋さん
福知山市「まころパン」岩切啓太郎さん 康子さん
山々に囲まれ、水量豊かな由良川や土師川が街を流れる福知山市で今、店舗を持たないパン屋さんが評判になっています。市内の直売所やスーパー、ネット販売で売り上げ好調の「塩バターパン」や「動物パン」も人気ですが、旬の野菜をたっぷり使った「野菜のせパン」は、イベントなどに出店したときにしか販売されないとあって、毎回、売り切れ必至です。美味しさの秘密は採れたての野菜。自然栽培で野菜本来の力強い味を引き出しているのは、生まれ育った福知山市の荒河地区で、「86ファーム」と名づけた農園を営む、岩切啓太郎さんです。厳選した小麦や卵、バターを使ってパンを焼くのは、奥様の康子さん。その材料へのこだわりとは。
康子さんは神奈川県の出身。管理栄養士や調理師の資格を取り、様々な飲食店で経験を積んだ後、パン作りの魅力にハマりました。福知山で生まれ育った啓太郎さんは、農業高校から農業大学に進学。二人が出会ったのは、「3か月半で世界一周」するツアーの船上でした。2018年に結婚後、啓太郎さんの故郷で畑を耕し、肥料も農薬も使わない自然栽培による野菜作りを始めました。翌年、「まころパン」をスタートさせて以降は、啓太郎さんは農作業を、康子さんはパン作りをメインに一日を過ごしています。基本は別々に仕事をすることが多い二人ですが、時には一緒に作業をすることも。
さて、マルシェイベントやレンタルスペースなどに「まころパン」が出店する日は、忙しさが増します。啓太郎さんが収穫した旬の野菜を使って、康子さんは朝から「野菜のせパン」を焼きます。年間150種類の野菜を栽培しているので、「野菜のせパン」はとてもカラフル。さらに、余った野菜を使った「野菜カレー」も好評です。出店準備から販売まで、二人の慌ただしい一日を追いました。また、「まころパン」のパッケージを描いているイラストレーターの安岡恵美さんとコラボして、新しい商品も生まれそうです。どんなパンになるのでしょうか。
2021年7月10日(土)放送
モノクロで記念写真を撮り続ける写真家
いとう写真館 伊東俊介
出張写真館という珍しいスタイルで、全国各地、様々な場所で撮影会を開くのは、写真家の伊東俊介さん。愛用するのは、デジタルではなく、フィルムカメラです。
しかもモノクロ。今の時代にフィルムの文化を残そうと走り続ける伊東さんに密着しました。
年間100日以上も全国を飛び回る伊東さんですが、撮影するのは家族の記念写真。
2005年にスタートして以来、1万5000組以上をフィルムに収めてきました。
アシスタントは妻のかおりさんと、少数のスタッフたち。撮影会は、どの場所も予約で一杯になるほどの人気です。さて、その訳は、いったいどこにあるのでしょうか?そしてモノクロフィルムにこだわる理由とは?
寝屋川出身の伊東さんは、京都の大学を卒業後、23歳で写真スタジオのアシスタントになります。同じくアシスタントだったかおりさんと27歳の時に出会い、2年後に結婚。現在は中学3年生の長男、優作くんと3人で暮らしています。勿論、自らも毎年、自分たち家族の記念写真を撮り続けています。どんな変遷になったかは、番組を観てのお楽しみです。
さて、撮影した写真は、モノクロ写真専門の現像所に持ち込みます。この道50年以上という勢井さんは、世界でも数少ない、手作業で写真を仕上げる職人。私たちがよく映画などで観るシーンでは、暗闇の中、フィルムを現像液に浸すと像が浮かび、すぐに紙の写真になって出てきますが、実際の工程はもう少し複雑です。その辺りも、番組でしっかりと紹介します。
2021年7月3日(土)放送
伝統の「奈良団扇」で涼を呼ぶ六代目の若き職人
奈良「池田含香堂」六代目 池田匡志さん
今年4月、奈良の魅力を発信する新しいスポットが誕生しました。その名も「鹿猿狐(しかさるきつね)ビルヂング」。店内には奈良の工芸が生み出した生活雑貨品が並んでいます。中でもひときわ夏向きな商品が、奈良団扇。奈良に古来より伝わる、透かし彫りの技法で、太陽にかざすと、鹿や、鳳凰、春日大社の灯篭など、奈良にちなんだ100種類もの絵柄が浮き上がります。目にも楽しい「奈良団扇」、その伝統を受け継ぐ職人が、池田匡志さんです。
創業から170年の「池田含香堂」、奈良団扇はそこで作られています。六代目の池田匡志さんと母・俊美さんが制作し、接客は祖母という、家内制手工業です。江戸時代に誕生したといわれる奈良団扇ですが、扇面に模様を彫る透かし彫りには、高度に熟練された技術が必要なため、いったんは途絶えてしまいます。それを江戸末期に復活させたのが、池田含香堂の初代でした。そして二代目が、昔に滅びたはずの文献や道具、型紙一式を発見し、その技法を確立させます。
その作り方ですが、これが大変複雑で、紙を丈夫にするため、冬にドーサ液を塗った後、1年間寝かせます。そして再び乾燥した冬に、色を付けて、彫りにかかるのです。骨は真竹を極めて細くして作ります。一般的な団扇の竹骨は、20本から30本ですが、奈良団扇は60本以上。それなのに重さは20gほどで、プラスチック製の三分の二ほどしかありません。初夏を迎える頃、彫り終えた紙と竹骨を貼り合わせてゆきます。
実は池田さん、小学2年生のとき、五代目だった父親を突然亡くしました。中学3年の時に、跡を継ぐ決心をしますが、「もっと世間を広げなさい」という母の勧めで大学まで進み、その後、職人の道へ。キャリア36年の母親からは、何も教わることなく、独自の手法で、自分の作風を会得していきました。けれど、まだまだ五代目の父には届かない。そんな中、五代目が遺した「鹿唐花文」に挑戦することに。はたして、どんな団扇になるのでしょうか?
2021年6月26日(土)放送
世界最小の財布を目指す革職人
工房アルティジャーノ 縄田真悟さん
キャッシュレス化で、コンパクトな財布が求められる中、国内最小ともいえる財布が注目を集めています。様々な工夫をこらし、その使い勝手の良さが話題に。
大阪府枚方市の商業施設の中に、小さな工房があります。ここで作られているのが、縦・横とも9cmを切る二つ折り財布。カード類が入り、お札が15枚、小銭も入るという大容量です。この財布をたった一人で生み出したのが、縄田真悟さん。
「ウスハ・ツー」と名付けられたこの財布は、金具を一切使わずに、革だけで作られています。留め具も革で出来ているため、表面に凹凸が出ません。イタリアン・レザーで、独特な風合いを持つその革の厚さは、0.7ミリ。使いやすさ、デザインの良さから、セレクトショップでも扱われています。
枚方市で生まれ育った縄田さんは、小さな頃から、物の構造に興味があったそう。
大学を卒業後、時計工房に就職しますが、2年で退職。そこから独学で学び、自宅でひたすら財布を作り続け、2016年に、今の工房を開いたのです。
この春からは新入社員も迎え、京都に、さらに広いショップ兼工房をオープンすることにしました。
開店するにあたり、縄田さんは、新しい挑戦を始めます。それは財布ではなく、トートバッグを作って、お店の看板商品にしようというものでした。使いやすく、自立して、大容量なのに厚さを感じさせない、美しいデザインのトートバック。
大国町でこだわりの革を選び、香川県の工房でレザークラフト専用の「抜き型」を発注しました。さて、一体どんなカバンが出来上がるのでしょうか?
アイデアあふれる革職人、縄田真悟さんに密着しました。
2021年6月19日(土)放送
木のおもちゃ~木工作家の壮絶人生
ナチュラルバックヤード 足立伸也さん
兵庫県の山間部に位置する丹波篠山市。そのシンボルともいえる篠山城跡近くの通りの一角に、その店はあります。車を模った可愛い看板が迎えてくれる、「ナチュラルバックヤード」。古民家をリノベーションした空間に並ぶのは、木を素材にしたおもちゃと雑貨です。
シンプルですが、使う人にとことん寄り添って作られています。広々としたキッズスペースには、木製の滑り台やキッチン、クレーン車。全て実際に触って遊べます。多くの子供たちがお目当てにやって来るのが、木製の大きなガチャガチャ。木のコインを入れて、ハンドルを回すとカプセルが!子供たちを夢中にするこれらの木のおもちゃを作っているのが、木工作家の足立伸也さんです。店を切り盛りするのは、妻の留美子さん。11年前、夫婦でこの店を開きました。
丹波市で生まれた足立さん。学校を卒業して大阪でサラリーマンをしていましたが、大きな事故に会い、車椅子生活に。リハビリしながら再就職するも、希望が叶わず退職。その後、運送会社に再々就職。トラックドライバーになりましたが、今度はリーマンショックで仕事が激減、丹波篠山市に移住しました。転機となったのは、息子のために作った木製のクレーン車のおもちゃ。このクレーン車が子供友達やご近所の人に人気となり、「うちにも作って欲しい」と注文が殺到したのです。そこで、なけなしのお金をかき集めて店を開きました。
こだわっているのは、単純な形や動きで子供の想像力がふくらむように。お父さんやお母さんでも修理できるよう複雑にしない。修理したら子供から「親ってスゴイ」と思ってもらえるように。小さなトゲやササクレが出ないよう、とことん磨く。子供が舐めたり、口に入れたりしても安全な自然素材で着色。木目の美しさも大切なので、無垢か、塗装を薄くして、木目が透けて見えるように。積み木は取り出しやすいよう、ケースを敢えて大きめに。
独学で始めたモノ作り。コロナ禍で一時は廃業も考えましたが、やがてオーダーメイドの注文も入り、お客さんのリクエストに徹底的にこだわる姿勢が、徐々に評価されていきます。また、木という素材そのものへと関心が向かった足立さんは、子供と親が共に遊びながら木に親しむ「木育」にも取り組むようになりました。木の良さ、森の大切さを伝えたいと、今では公の機関の委員も務めています。そして現在、足立さんが作っているのが・・・新しい工房です。さて、どんな空間になるのでしょうか?
2021年6月12日(土)放送
20代のパティシエ5人が腕を競い合う、新スタイルのスイーツ店が話題に!
hannoc(ハノック) パティシエ 岡村拓弥さん
大阪の地下鉄・中崎町駅すぐそばにあるスイーツ店、「hannoc(ハノック)」。今年3月にオープンしたばかりだというのに、連日、長い行列となっています。無骨でクールな店内。中央に設えた大きなショーケースの中には、色とりどりで斬新なケーキが並びます。そしてケースの背後に、ガラス張りのオープンキッチン。パティシエ達のケーキ作りが、ライブで楽しめるようになっているのです。ケーキの作り手は、全員が20代のパティシエ5人。特徴的なのは、キッチンを取り仕切り、指示を与えるチーフパティシエがいないこと。5人はそれぞれ、一流ホテルや有名パティスリーで経験を積んできた実力派揃いですが、全員横並び、同じ立場で技術を高め合うチームなのです。
5人のシェフは、それぞれにケーキを考え、試作します。そして新作のケーキは、スタッフ全員がOKを出せば、レシピを共有して商品化されます。店頭に並ぶケーキには、考案したパティシエの写真が添えられるので、それぞれに固定ファンがつくこともしばしば。そんなシェフたちの中から、28歳にして最年長という、岡村拓弥さんに密着して、紅茶を使った新作ケーキの誕生までを追います。
5月下旬、岡村さんは、京都府唯一の村、南山城村を訪ねました。目的は、収穫期を迎えた茶畑です。ここでは和紅茶という、日本産の紅茶を作っていました。生産者の話を聞き、手間と時間のかかる工程を見学させてもらい、その情熱にふれた岡村さん。何種類もの和紅茶を試飲させてもらい、選んだ茶葉は?数日後、和紅茶を使った新作ケーキの試作が始まります。しかし、考案したケーキは、スタッフからNGが出てしまいました。確かに、あまり和紅茶の味が立ってきません。思案を重ね、再度チャレンジ。全く違うスタイルとなった新作は、はたしてスタッフたちの心をつかむことができるでしょうか?
2021年6月5日(土)放送
ヘルシーで美味しい濃厚豆乳アイスを作る夫婦
ムーンフードジャパン 東野雄史さん マーシーさん
滋賀県北部の長浜市余呉町で4年前から、ヘルシーで美味しいと評判の豆乳アイスクリームを作っているのが、地元出身の東野雄史さんとポーランド出身の妻マーシーさんです。二人が手がけるアイスクリームは、長浜の農家が特別な栽培方法で育てた大豆から絞った濃厚な豆乳で作ります。卵や乳製品を一切使っていないのにクリーミーで口当たり滑らかな味が評判を呼んで、現在は滋賀を中心に様々なお店で販売されています。さらに、今年開かれた食のコンテスト「にっぽんの宝物」では滋賀県代表に選ばれ、全国大会でもヘルシー&ビューティー部門で準グランプリに輝きました。
雄史さんはスコットランドの首都エディンバラの日本料理店で働いているときに、マーシーさんと出会います。意気投合した二人は結婚して、マーシーさんの故郷ポーランドで完全菜食主義のヴィーガン向けのテイクアウト料理専門店を始めます。店はすぐに軌道に乗ったのですが仕事一辺倒の暮らしに疲れて、生活を変えるために選んだのが雄史さんの故郷・余呉町でした。
雄史さんの実家の敷地に二人で家を建てて、そこでポーランドの店で人気だった豆乳アイスを作ることにします。豆乳アイスで一番大事なのは豆乳の甘味と濃度。濃度が足りないとアイスではなくシャーベットになってしまいます。そのために厳選した大豆を使い、自作の装置を使った「生搾り製法」を編み出して濃厚な豆乳を絞っています。
豆乳アイスは、濃厚な豆乳の風味豊かな純粋豆乳を基本に、ソイラテ、宇治抹茶など定番フレーバーが5種類。さらに、滋賀の苺味やアップルパイ味など、地元の果物を使った季節限定フレーバーを作っています。
さらに新しい豆乳アイスを求めて雄史さんが考えたのは「砂糖を使わない豆乳アイス」。砂糖の代わりに米麹で作る甘酒を使って作れないかと閃いたのです。地元の老舗酒蔵に相談して麹作りから挑戦。雄史さんとマーシーさんが思い描く理想の甘酒豆乳アイス作りに密着します。
2021年5月29日(土)放送
夏にぴったり!元気が出る華やかなデザインが魅力の染色家
『some:teco』 染色デザイナー 池田圭さん
手に取る人がハッピーになるオリジナルテキスタイルブランド「some:teco(ソメテコ)」を展開する染色デザイナー、池田圭さん。「some:teco」では、ブラウスなどの衣類、手ぬぐい、日傘など、あらゆる布のものを展開。カラフルな色使いが池田さんの作品の特徴で、「元気になれて、パワーが出る」と評判になっています。デザインのインスピレーションは、散歩中に見かけた鳥から旅先の風景まで、かつて触れたものから湧いてくるという池田さん。 拠点としているのは、神戸・北野の「海外移住と文化の交流センター」の中にあるアトリエ。見学も可能で、作品を実際に手に取ることができます。
池田さんが手がけているのが、江戸時代に確立されたという日本の伝統的な染色技法で、型を使用して布などに模様を施した染めをおこなう「型染」。和紙にカッターや刀で切り絵のように模様を彫っていき、アルミ等で細かい網目を付けて型を作り、布の上にその型を置いて、米ぬかともち米で作られた型糊を均一に塗ってはがします。すると、その型の模様にあわせて布に糊がつくので、その糊を乾燥させて、染色剤で染めていく。このとき糊が付いている部分には色が入らないので、水で布を全部落としたときに白く残り模様が出るという技法です。
大阪出身の池田さんは幼いころから絵を描くことや創作すること、空想の世界にふけることが好きだったといいます。「美術や手仕事に関わりたい」と京都市立芸術大学工芸科に進学。「大好きな“色”をたくさん扱えそう」と陶芸と迷って染色の道に決めました。転機となったのは、大学卒業後に友人と共同開催した展覧会に向けて、日本伝統の染色技法の一つである「型染のタペストリー」を制作したことでした。「型染の面白さに改めて出会うことができた」という池田さんは、その後、小学校の図工の教師や大学講師などを務め、2016年に「some:teco」を立ち上げました。新たな作品に挑む、染色デザイナーに密着します。
2021年5月22日(土)放送
いちご大福が大きい!話題の和菓子職人
『菓匠庵白穂』 和菓子職人 新澤貴之さん
近鉄「若江岩田」駅から歩いてすぐの場所にあるのが、和菓子の人気店「菓匠庵白穂」です。定番商品は「若江城もなか」や、薄焼きの皮を1枚ずつ焼き上げ、つぶあん、こしあんに合わせたどら焼き「白穂焼」など約20種類。さらに季節商品約20種類含め、常時40~50もの和菓子が揃っています。
とりわけ人気が高いのが「いちご大福」。北海道の白小豆を使ったこしあんとつぶあんでいちごを包んでいます。今年2月から販売を始めて話題となったのが、その名も「きっと日本一大きないちご大福」。いちご一粒70グラム以上。一般的ないちご大福のおよそ約4倍にもなる巨大サイズ。「大きいけれど繊細な味わいで絶品だ」と予約が殺到したのだそう。SNSでは「いちごとリンゴが同じ大きさ」と話題騒然。たくさんのメディアがこぞってこの、いちご大福の話題をとりあげました。
新澤さんは全国和菓子協会の「選・和菓子職」の優秀和菓子職にも認定され、30代の若さで「なにわの名工」にも選ばれた凄腕です。1997年から千葉の和菓子店で修業。その後、東大阪の実家へと戻り、19歳という若さで「白穂」を任されることに。以来、苦労して今の人気店にまで育て上げました。
いちご大福に限らず、お鮨そっくりの和菓子や地元の野菜を使った商品など、斬新な和菓子を生み出し続ける新澤さん。この春も、斬新な新作和菓子を準備していました。今度はどんなアイデアでお客さんを驚かせてくれるのでしょうか?
2021年5月15日(土)放送
現代の生活に合う“新しい漆器”を!
『島安汎工芸製作所』 漆器職人 島圭佑さん
熊野古道が南北に走り、いにしえの時代から交通の要衝である和歌山・海南。ここは漆塗りの一大産地として知られ、漆器の工房が多く集まる街です。和歌山が誇る漆塗りは「紀州漆器」と呼ばれ、日本四大漆器のひとつに数えられます。
創業大正5年、漆塗り工房「島安汎工芸製作所」。ここに「おしゃれな器をつくる」と評判の職人がいます。それが五代目となる島圭佑さん。業界では若手の島さんですが、企画力と技術力の高さで、一気に頭角をあらわしました。島安汎工芸製作所の2階にしつらえられたショールームには、伝統的な漆塗りから、白やピンクなどポップな色調の食器やインテリア、オブジェがずらりと並んでいます。
商品は、“ナチュラル・インテリア”がコンセプト。カジュアルに普段使いしてもらえるようなものを目指してつくられています。
幼い頃からものづくりが大好きだった島さん。2008年、京都嵯峨芸術大学短期大学部にてプロダクトデザインを専攻、その後、石川県山中にある「挽物轆轤(ひきものろくろ)技術研修所」で学びます。挽物轆轤とは、ろくろで挽いてつくった漆器や細工物のこと。2015年和歌山県に帰郷し、代々続く「島安汎工芸製作所」に入社。以後、身につけた技術を活かし商品の開発・制作に携わっています。
「漆塗りの魅力を広く伝えたい」と同じ海南にある「橋本漆芸」「山家漆器店」「中西工芸」の若手たちと生産者集団「KISHU+(キシュウプラス)」というブランドで活動する島さん。斬新な製品を生み出し続ける気鋭の職人に密着します。
2021年5月8日(土)放送
淡路島のめぐみ!話題のキッチンカーピザ専門店
『淡路島ピザ石原商店』 石原諭さん
瀬戸内海最大の島・淡路島。海にも近い田んぼの真中に登場したのが2トントラックを改造したキッチンカー。車内に本格的なピザ窯を備えたピザ専門店です。提供するのは、利平水産の淡路島沖初摘海苔、淡路島牛乳のカチョカヴァロ、仲野水産のいかなごの釘煮、淡路島ファーム太陽と海の野菜などを使った絶品の焼きたてピザ。食材のほとんどが淡路島のものです。
店主の石原諭さんは、昨年10月にこのキッチンカーで移動販売を始めました。淡路島のキッチンカー業者共通の悩みは常設場所。いま週に4日以上営業している拠点は、2トントラックの駐車が可能な営業場所を求めて島内を走り回り、ようやく借りる事ができた場所です。現在、島内43か所以上で営業しています。
ピザ店の独立開業にあたって、コロナ禍であることとコスト面から選んだキッチンカー。石原さん、淡路島に移住する前は大阪の広告代理店でコピーライターをしていました。3年前、淡路島に移住して、観光農園に就職。そこで、レストラン部門に配属されたのがキッカケでピザ作りにハマったそうです。ピザ屋さんとして独立しようと思った最大の理由は、島の豊かな食材とその生産者たちの存在。淡路島にはまだまだ知られていない素晴らしい食材がたくさんある。それを作っている人たちは、とにかく良いものを作ることしか考えていない。ピザにして提供することで、そんな生産者と食材を応援したいと奮闘しています。
「一番いいもの、高いものを使う。生産者の協力がなければ自分はやっていけない。自分が関わっている全ての人に還元したい」と、石原さんのピザは一枚1300円~1900円と少々お高め。初営業の時はこの値段で売れるのか、心配したそうですが、それも取り越し苦労でいまや大盛況の日々が続きます。
今回、医療従事者と患者の方々を応援しようと病院に美味しいピザを届けることに。島に元気を振りまくキッチンカーに密着します。
2021年5月1日(土)放送
京都・野菜に情熱を注ぐ青果店&カフェオーナー
『ベジサラ舎』 オーナー 中本千絵さん
昔ながらの八百屋さんスタイルで地域に愛される野菜の店が京都・西陣にあります。ここ、『ベジサラ舎』に並ぶすべてがまさに今、食べ時を迎えた旬のもの。店の奥には、昨年、ベジサラ舎自慢の野菜で作るランチやスイーツを提供するカフェ『すこやか食堂』もオープンしました。看板メニューは月変わりで登場する季節の野菜を主役に一汁三菜で組み立てられた「すこやかセット」。見るだけで元気が出そうなビタミンカラーのカラフルなご膳です。評判が口コミで広がり、いまや大盛況となっています。
これらの野菜を農家まで足を運び厳選しているのがオーナーの中本千絵さんです。中本さんは京都市北区出身。西陣織の職人である父のもと、幼少期を過ごしました。
大学卒業後は新聞社に就職。結婚し、双子を授かったことをきっかけに退職し、もともと料理が得意であったこともあり、自宅でできるテーブルコーディネート・料理教室を開催するようになりました。
そんな中、滋賀県のとある道の駅で出会ったミニトマトの味わいに感動。野菜愛が高じ、気づけば八百屋さんになっていたと言います。中本さんが取引するのは、滋賀県を中心に野菜作りをする、およそ30か所の農家。どこも中本さんが実際に足を運び、信頼関係を築き上げてきたところばかりです。
美味しい野菜を作る農家さんと消費者をつなげたい。そんな中本さんにはこの春、やりたいことがありました。コロナ禍で苦しんでいる飲食店を応援したいという思いから、シェフや和菓子職人とのコラボ企画を考案。中本さんが目利きした野菜を使い、イタリアンや和菓子の新商品を生み出そうと動き出しました。
情熱あふれる青果店オーナーに密着します!
2021年4月24日(土)放送
“カレーが美味しい器”を生み出す陶芸家
陶芸家 shiiboさん
京都・左京区。間口がせまく奥行きが深い、いわゆる「京町家」に暮らしながら、インド料理に魅せられ、その料理を盛るための器を焼いているという異色の陶芸家・料理研究家shiibo(シーボ)さん。
玄関から一直線に裏庭までを結ぶ「通り庭」にあるタイル張りの古い台所が彼女の料理工房です。棚にはスパイスがずらり。そして奥にはインド料理のための器を作る工房が広がっています。
大阪生まれのshiiboさん。高校生の時に姉がバイトしていたインド料理店に手伝いに行ってインド料理と出会い、夢中になって17歳で店主と共にインドへ。京都の美術短大で陶芸を学ぶようになってからもインド料理の探求を続け、友達に振る舞ううちに彼女の作るインド料理が評判に。9年前、この町家に引っ越して来てからカレー会や料理教室なども開催するようになりました。
「人に集まってもらうための器が足りない、だったら自分で作ってしまおう」と今のスタイルに。鋳込みという技法で生み出される彼女の器は、名だたる料理店でも、その料理を引き立てています。
彼女の目下の興味はインド料理を作る土鍋づくり。しかも普段作る磁器ではなく、陶器で耐熱のものを作ろうとしています。インドの様々な鍋を研究し始めたshiiboさん。試行錯誤の結果、しっかりと熱の伝わる素敵な土鍋が出来上がりました。
独特の表情を見せる作品が人気の陶芸家に密着しました。
2021年4月17日(土)放送
華やかなRawケーキが話題の“ビーガン”カフェ
『サンライスキッチン』 シェフ 村上百合子さん
兵庫県丹波篠山市。 田んぼが広がる静かな集落の一角にランチ時にはひと際にぎわいをみせる一軒の古民家カフェ・サンライスキッチンがあります。お客さんをとりこにしているのは、地場産の有機野菜をふんだんに使ったオーガニックランチ。肉や魚など、動物性食品を加えない、ビーガンをテーマにした料理です。常に20種類程のお野菜や海藻を使っているとあって、ランチは見た目にもあざやか。
さらに、こちらのカフェの看板商品ともいえるのが、目にも麗しいスイーツ! フラワーコサージュのような美しい装飾はSNS映え必至。しかも小麦粉、乳製品、卵、 白砂糖などが使われていないというから驚きです。こうしたスイーツは「Raw(ロー)スイーツ」と呼ばれ、美容に気をつかう人やアレルギーのある方を中心に注目されています。
キッチンを取り仕切るのは、オーナーシェフの村上百合子さん。有機農法の指導者として全国を巡る父親の影響を受け、幼い頃から食への意識が高かったといいます。調理師学校へ進み、料理教室のアシスタントなども経験。18~24歳まで、毎年フランスに 短期滞在してフランスの家庭料理も学びました。10年前に友人が開いたカフェを手伝う中、アレルギー体質だったことからビーガンを実践、以来研究を深めていきました。夫の悟さんとの結婚を機に子育ての環境を考え、この地に移住。
コロナ禍の中、やりたいことをやって人生を生きたい!と昨年、お店を開いたのです。
そして今、百合子さんに新たな転機が。大阪の、ある幼稚園のイベント等のお手伝いしている縁で、その幼稚園のそばにカフェの2号店を設けることになりました。
また、1号店の入る古民家の一部を改装して、Rawスイーツのお菓子教室もスタート、新たな日々の幕開けです。日々進化を続けるシェフの姿を追います。
2021年4月10日(土)放送
「紙」で暮らしを豊かに!伝統工芸「近江一閑張」を受け継ぐ職人
『蛯谷工芸』 三代目 蛯谷亮太さん
滋賀県湖南市。東海道五十三次の51番目の宿場街「石部宿」に、三代続く伝統工芸の工房があります。紙の工芸品「近江一閑張」。その三代目を受け継いだ二十代の職人が蛯谷亮太さんです。彼の生み出す品々は一見、竹や木で出来ているように見えますが、素材は全て紙。器、籠、お盆からティッシュペーパーBOX等の小物まで様々なものを製作しています。
近江一閑張は、紙をよってつくられた工業用品「紙紐」を使い、「縦糸」「横糸」のような感じで紙紐を編み込んでいき、製品をかたちづくっていき、その後、形を整えるために1日程度寝かせます。さらに紙紐の間を埋めるように白い和紙で下張り、色のついた和紙で上張り等の工程を経て、「柿渋」や「ウレタン」で塗り、仕上げます。ウレタンにすると、和紙に耐水性が備わり、水洗いまでできるものに。柿渋にすると、防虫・防腐・撥水効果が生まれます。
今では、新しい感性で現代の暮らしに合った商品を創作し続ける亮太さんですが、元々家業には興味がありませんでした。バイクに魅せられ、バイク店で働きながら整備士を目指すかたわらアマチュアのバイクレースにも参加していました。しかし、2014年、練習中に転倒、頭蓋骨が割れる重傷を負い、それがきっかけで家業を継ぐことを決心しました。
手すき和紙の産地、富山県南砺市にある合掌造りの村「五箇山地区」。近江一閑張の和紙は、ここに特注しています。亮太さんの新しい感性が加わり、2018年にはイタリア・ミラノで開催された「ミラノ デザインウイーク」に出展するまでになった蛯谷工芸。猫のケージは可愛いと評判です。さらに商品の幅を広げようと、亮太さんは安心・安全な和紙の利点を生かすことを思いつきます。それは、一閑張で作る赤ちゃん用のゆりかご。
果たしてどんな商品が生みだされるのでしょうか?
2021年4月3日(土)放送
粗糖の優しい甘味 “喜界島スイーツ”姉妹
「ハバサハナ」 木村麻美さん・大東瞳さん
大阪・豊中市。音楽大学へと続く道沿いに一軒のスイーツ専門店があります。店の名前は「ハバサハナ(haba sa hana)」。鹿児島県の喜界島の方言でハバサが香りが良い、ハナサがかわいい。2つの言葉が繋がると”愛おしい”という意味。このお店のお菓子の特徴は、すべて喜界島の粗糖がベースになっていること。その優しい甘みがリピーターを呼んでいます。
お店を切り盛りするのは、喜界島にルーツを持つ姉妹。姉の木村麻美さんと妹の大東瞳さん。共に3人の子を持つお母さんで育児に追われながらも毎日美味しいお菓子を焼き上げます。粗糖のキャラメルを使ったアップルパイが看板商品。喜界島の黒糖焼酎で漬けたレーズンサンドクッキーや、アーモンドのキャラメリゼ等、お酒に合うスイーツも人気です。
3人兄弟の長女と次女として育った2人。母も祖母もケーキ作りが得意で、いつしか食べることも、手伝うことも楽しみに。その体験が忘れられず麻美さんは結婚後にお菓子教室へ通い始めイベントなどに出店。店を持つことが目標となりました。妹の瞳さんは小学生のころから趣味としてお菓子作りを継続。就職後も独学でその腕を磨いていました。そして2年前、麻美さんの提案で二人は「ハバサハナ」を立ち上げたのです。
この春、ハバサハナは大きな一歩を踏み出すことに。実は、お店に飾ってある写真のサトウキビ畑がちょうど収穫期を迎えています。食材の仕入れと新たなお菓子のインスピレーションを得るため、コロナで長らくご無沙汰となっていた、懐かしい喜界島へ行くことにした2人。現地で、サンゴ礁の美しい海岸や様々な特産品に触れ、今まで使ったことのなかった黒糖そのものを使ったお菓子や、名物の「たんかん」を使ったスイーツを構想します。
ルーツの島に魅せられた、喜界島スイーツ姉妹に密着します。
2021年3月27日(土)放送
食材ロスをカット!“地産地食”で地域の食文化を守る
「かま屋」 料理長 清水愛さん
自然あふれる山間の静かな町・徳島県神山町は近年、企業のサテライトオフィスが出来るなど、さまざまな若者が移住する地方創生の聖地として注目されています。この地に2017年、注目のコンセプトを掲げたレストラン「かま屋」がオープンしました。地元産の食材を使い、週替わりでランチを提供。地元の人はもちろん、週末ともなると遠方から足を運ぶ人々でにぎわいます。
料理の監修を務めるのはジェローム・ワーグさん。カリフォルニアの有名オーガニックレストラン『Chez Panisse(シェ・パニース)』の元総料理長だった人物です。そして、このお店を切り盛りしているのが、元々東京のフレンチレストランで腕を振るっていたという今回の主人公・清水愛さん。
清水さんらが参加するフードハブプロジェクトとは、農薬や化学肥料に頼らずに「育てる」、その土地に伝わる方法で料理を「つくる」、地元の農業と食文化を支えるために「食べる」、この3つを柱に“地産地食” の意識を高め神山の農業を次世代に伝えようというチーム。農園・レストラン・パン屋さん等が有機的に関連しながら地域の食を守っています。今回は、地元の学生寮の生徒さんと一緒に、商品にならないという理由で廃棄されてきた規格外野菜を活用するため、食育と地域の交流を兼ねた「0円食堂」というイベントを開くことに。
地域の食文化を未来につなぐシェフとその仲間たちに密着します。
2021年3月13日(土)放送
木と紙からユーモラスな作品を生み出す夫婦
「COZY FACTORY」 木工作家 樋口晃史さん・切り絵作家 樋口佳奈さん
モフモフのこけし、ユーモラスな動物たち。クスッと笑えて暮らしが豊かになる。そんな作品を生み出す作家夫婦がいます。夫は木を素材にして、妻は主に紙を素材にして、それぞれのモノづくりが融合して生まれる可愛いカタチとデザインが人気です。
“ヒグさん”こと、夫の樋口晃史さんは木工作家。“かなっぺ”こと、妻の佳奈さんは切り絵作家。そんな2人のユニットが「COZY FACTORY」です。独自の世界観で、2人にしか作ることができないユニークな作品を生み出しています。2年前には、アートの街として知られるアメリカのポートランドで個展を開催。2人の作品とワークショップが、現地の人たちに大好評を博しました。
ヒグさんは、京都の美術大学を卒業後、木を使った生活用品を作りたいと、京都の家具メーカーで働いたのち独立、家具作家として活動していました。一方、子どもの頃から絵を描くのが好きだったという佳奈さんは、京都の美大を卒業して切り絵作家として活動。今では商品のロゴデザインなども手掛けています。さらに2人は、子どものためのお絵描きと工作の教室も開催。ものづくりの楽しみを子どもたちに伝える活動もしています。
そんな2人が今回、西宮で個展を開くことに。ヒグさんが大好きな「山」をテーマに、作品づくりを始めました。果たして、どんな新作ができあがるのでしょうか?
2021年3月6日(土)放送
衣・食・住 あらゆるシーンにハーブのある暮らしを提案
「ハーブラボラトリー」 オーナー 泉佑佳さん
神戸・三ノ宮。東遊園地のすぐそばに去年、あるテーマに特化したユニークなカフェがオープンしました。店の名前は、「ハーブラボラトリー」。その名の通り、ハーブが様々な形で楽しめるお店です。オープンから1年足らずでリピーターが続出。全てのメニューを手がけるのは、オーナーで店主の泉佑佳(いずみ ゆか)さんです。
お店で扱うハーブは、ハーブセラピスト、ティーコンシェルジュの資格も持つ泉さんが可能な限り生産者に直接会い、味を確認してから入荷していると言います。カフェのメニューも全て泉さんの手づくり。お茶として飲むだけでなく、カレーやスイーツ、ケークサレ等、様々なメニューに活用。ハーブの多様な魅力を提案しています。
幼い頃からハーブティーが大好きだったという泉さん。大学を卒業後、お茶を扱う仕事に携わります。そこでハーブ部門を立ち上げることになり、プロジェクトの中心メンバーに抜擢。このプロジェクトは実現に至りませんでしたが、ハーブの奥深さに魅了された泉さんは、「自分でハーブの会社を立ち上げる」と決意。2017年「ハーブラボラトリー」を設立し、「かけるハーブ」や「とかすハーブ」等、次々とユニークな商品を開発。少しずつ取引先を増やし去年6月、念願のSHOP&カフェをオープンさせたのです。
この春は、新たにハーブを染料にした草木染めもスタートさせたいという泉さん。さらには農家さんと手を組み、ハーブを使った体に優しい米づくりにも挑戦!衣・食・住あらゆるシーンでハーブのある暮らしを届けるハーブ専門店オーナーに密着します。
2021年2月27日(土)放送
吉野杉から華やかなアクセサリーを生みだす木工作家
「花井商店」 花井慶子さん
奈良県の中南部に位置し、森林が広がる吉野。この地の特産品、吉野山地から伐り出される杉は「吉野杉」と呼ばれ、高級ブランド材の一つとして高い人気を誇っています。そんな吉野杉専門の製材所、祖父が創業した「花井商店」で働く花井慶子さん(42)は木工作家。
花井さんは吉野杉で出来た「面皮(めんかわ)」と呼ばれる材料を使い、暮らしを彩るさまざまなインテリア雑貨やアクセサリーなどの商品を生み出しています。彼女が使う「面皮」とは、吉野杉の年輪に刃を入れ、一枚一枚手で剥いで作る木材。主に丸太を立柱にするときの集成材として使います。面皮を貼ることで合板になり、柱が美しくなるうえ丈夫になるといいます。
花井さんは大学で服飾を学び、卒業後、神社に奉職。幼い頃から家業にも吉野杉にもまったく興味がなく、木を切った経験もありませんでした。その後神社を離れ、32歳の頃、実家で木材の運送を手伝うようになりました。その頃、ベテランの職人が退職。工場の職員になり、父から教わりながら「面皮」を担当する中で、その面白さに目覚め今のような作品づくりを始めました。
また、「透かし彫り」という吉野杉の緻密な年輪を活かした技法で作品を発表し、奈良県の知事などが記者会見で使うパネルを「透かし彫り」作成するなど、現代の技法とこれまでの木の仕事の世界には少なかった女性目線の発想で、吉野杉を暮らしのなかに活かそうと努めています。
そんな花井さんのもとに老舗旅館から、リニューアルに合わせてその象徴となるような大きな作品の依頼が。いったいどんな作品が出来上がるのでしょうか?
2021年2月20日(土)放送
母・娘・息子 夢のベーカリー
「パンプラス クルトン」 パン職人 山本友理さん
和歌山県和歌山市。紀ノ川の河口に架かる紀ノ川大橋のすぐ近くに、自宅の1階を改装して開いた小さなベーカリー「パンプラス クルトン」があります。
「パン プラス」とはフランス語で「パンの広場」という意味。広場のように多くの人が集まる居心地のいいお店にしたい。そんな思いから店内にはカフェスペースも併設されています。オーナーパン職人の山本友理さんは、幼い頃から料理を作るのが大好きで、「食に関わる仕事がしたい」と短大の食物栄養学科に進学しました。卒業後は料理学校の助手の仕事に就き、講師としてパン教室も任されるようになります。その後、結婚して3人の子どもを授かり、一度は家庭に入りました。
そんな山本さんの人生を大きく変えることになったのが娘の恵さんが小学6年生のときに書いた作文でした。「私の夢は母と一緒にパン屋さんをやることです」
夢を実現すべく、恵さんは大阪の専門学校でパンづくりを勉強し、さらに卒業後は人気店で1年間修業。親子念願のパンの店『パンプラス クルトン』を開いたのは2014年12月のことです。
そんな恵さんにも昨年赤ちゃんが生まれ、お店を離れて大阪に引っ越すことに。
恵さんの代わりを務めることになったのは息子の肇さんです。今までもイベントがあるときなどにお店の手伝いをしていましたが、昨年の3月から本格的に『パンプラス クルトン』のパン職人として働き始めました。
そして、クルトンは和歌山の新たなランドマークとして昨年6月にオープンした商業施設「キーノ和歌山」の産直コーナーに出店することに。そこで地元の農家さんの野菜を使ったパンを作って欲しいとの依頼を受けました。母・友理さんと息子・肇さんの創作パン作りが始まります。
2021年2月6日(土)放送
一念発起!元看護師が営むイタリアン
「オルト・ミーオ」 本田陶子さん
兵庫県豊岡市。日本海に面する竹野海岸は、国立公園やジオパークに属する歴史ある海岸です。そんな海岸からすぐに、一軒の料理店「オルト・ミーオ」があります。イタリア語で「うちの畑」という意味。この店を切り盛りする本田陶子さんは、看護師から転身した料理人です。
大阪・堺市に生まれ育ち、大阪府内の病院で27年間、看護師として勤務。料理人となったのは子どもたちの多い病棟を長く経験したことがきっかけでした。子どもたちの食事の世話をしていく中で食への意識が高まったといいます。
料理の道に入る決心をしたのは今から5年前。婚約をきっかけに病院を退職、夫の故郷の豊岡に移住することになりましたが、結婚前にイタリアに料理人として修行に出ます。イタリアで短期の料理学校に入って、そこからシエナやナポリの店で1年間下働きを続けました。20歳の料理人たちと一緒に夜中まで料理漬けという厳しいレストランや山奥のペンションのようなところで働き、2年間の修行を経て帰国、豊岡へ移住しました。
結婚して、すぐに豊岡市内で「オルト・ミーオ」をオープン。その後、より広い店舗で多くの人に楽しんでもらいたいと、去年6月に今の場所に移転しました。実は本田さん、チョークアートの作家としても活躍。作品が店内を彩っています。
コロナ禍の今は、初心にかえって新しいメニュー開発の真っ最中。地元のイカ、魚、海老、竹野の塩や醤油など竹野づくしのパスタを作ります。料理の道に入った時、本田さんが一番お世話になった三宮「a la japonaise Fuku」の福井シェフに食べてもらいます。優しくも厳しい先輩の反応はいかに。
2021年1月30日(土)放送
次世代に伝えたい!新しい感性が生み出す盆栽
塩津植物研究所 塩津丈洋さん、久実子さん夫妻
盆栽といえば「おじさんの趣味」というイメージがありますが、それを覆す新しい盆栽を作っているのが、奈良・橿原市を拠点に活動する種木屋の塩津丈洋さん、久実子さん夫妻です。
種木とは盆栽に使う樹木のこと。塩津さん夫妻は松や梅以外にも、普通は盆栽にしない
観葉植物なども種木として育てています。その数、およそ1万株。塩津さんが作る盆栽は、数千円から手に入る手軽さと可愛らしさから、若い世代を中心に人気を呼び、昨年10月に東京・青山で開いた展示会も大盛況。橿原のアトリエにも日本各地からお客さんがやってきます。
塩津夫妻の1日は、ほとんどを草木の手入れに費やしています。盆栽とは、草木が生み出す自然の風景を小さな鉢の中に再現して楽しむもの。木を自然界にあるユニークな形に近づける「針金かけ」は、盆栽作りに欠かせない技です。草木の個性を見極めて、どこまで再現できるかが腕の見せ所。
盆栽の魅力を次世代に伝えることも塩津夫妻が大事にしていることです。妻の久実子さんは、月に1度、盆栽教室を開催して、種木や鉢選びから植え方までを丁寧に指導。丈洋さんは母校の名古屋芸術大学で教鞭をとり、盆栽の面白さを若い世代に伝えています。さらに、植物のトラブルに応える「草木ノ駆け込み寺」の活動も行っています。
日本の伝統を大切にしながら、植物と共に毎日を丁寧に生きる塩津さん一家。盆栽との関わりや和やかな日常を、赤や黄色の紅葉が美しい秋から、大忙しの年末、そしてお正月まで追いかけます。
2021年1月23日(土)放送
華やかなケータリングとお弁当で和歌山の食を発信!
「オズズキッチン」 杉本佳奈さん
和歌山の紀ノ川を臨む小さな駅「田井ノ瀬」。ここからほど近い場所に、去年の夏、あるお店がオープンし話題となっています。それがテイクアウト弁当の「オズズキッチン」。地元生産者さんがつくる野菜、港に揚がった魚、紀州のお肉など和歌山の食の魅力を、お弁当を通じて伝えています。
店主の杉本佳奈さんは「管理栄養士」と「ジュニア野菜ソムリエ資格」を持っています。心も身体も満たされる料理を“わっぱ”に詰め込んだ、見た目もカラフルなお弁当が人気。また、予約制で華やかなウェディングやパーティの出張ケータリングも手掛けています。
料理やお菓子づくりに興味があった杉本さん。大学では食物学を学びました。卒業後は給食を自分たちで作っている保育園に就職。毎日200人分の給食を作っていました。働きながら規格外野菜で子どもたちと料理を作って食べる食育イベントをスタート。その活動の中で食材を仕入れていた縁で和歌山に移住しました。
ゲストハウス2階に住まわせてもらいつつ、そのゲストハウスのレストランで働き、食を通じて和歌山の生産者とも関係を深めていきました。
冬場は年末年始のイベントなどでケータリングの仕事が多く舞い込む時期ですが、今年は新型コロナの影響で思うにまかせません。そんな中、久しぶりにホームパーティのケータリング依頼が入りました。杉本さん、どんな料理でケータリングの技を見せるのでしょうか。逆風の中、奮闘する食の伝道師に密着します。
2021年1月16日(土)放送
人が笑顔で過ごせる場所をつくる建築家
建築家 奥田達郎さん
宝塚の清荒神を拠点に活躍する気鋭の若き建築家・奥田達郎さん。今、彼が設計や内装を手掛けた建物が北摂を中心に関西で急増しています。自宅は気持ちのいい高台に建てられた築50年ほどのコンクリートの建物。もともと診療所兼住宅だったものをシェアハウスとしてリノベーションしました。家庭菜園が楽しめる庭と、大きなキッチンがあり、ここを使って様々なイベントや集まりを催しています。
1987年に宝塚市で生まれた奥田さん。大学で文化人類学を研究。様々な国や町を見聞し、生きる人々の営みと文化が居住空間に深く関わっていると気付きました。大学を2年で休学し、建築の専門学校に入学。日中は建築事務所で働き、夜は学校という生活に。卒業後、実際に設計と建築の仕事を始め、そこから口コミで仕事が増え、今では引っ張りだこの人気に。
学生寮だった木造ハウスを、施主を含めたみんなのDIYでカフェ食堂に変身させたり、 古い理容室をリノベーションして、セレクトショップに変えたりと、奥田さんのもとには、人が集まる場所を作ってほしいという依頼が絶えません。
そんな奥田さんが新たに手掛けているのが、今でも古い街並みが残る吹田市の旧山田村地域。こだわりのイタリアンがこの地に出店する、その店舗デザインを奥田さんが担当することに。建物の周辺を自分で歩いてデザインのコンセプトを探す奥田さん。周囲の環境からヒントを得たリノベーションでどんなお店ができあがるのでしょうか?
2021年1月9日(土)放送
ハーブの町 クラフトビールで魅力発信!
「奥大和ビール」 米田義則さん
薬草の街として知られる奈良県宇陀市にある小さなクラフトビール工房「奥大和ビール」。ここで作られているハーブやスパイスをブレンドしたクラフトビールが、ビール好きの間で話題になっています。オーナーであり、醸造家でもある米田義則さんが、酒屋だった古民家をリノベーションしてオープンしました。定番はオレンジピールやレモングラスを使用した「ハーバルエール」、数種類のハーブに甘いスパイスを効かせた「アロマホワイト」、ロースト麦芽が味わい深い「スパイスダーク」の3種類。奥にある醸造室で仕込まれたクラフトビールを手前にあるタップルームで味わうことが出来ます。
宇陀市で生まれた米田さん。若い頃は音楽の仕事を志し、東京へ。バンドを組んでデビューも果たし、作曲や舞台音響なども手掛けていましたが、結婚後、田舎でのびのび子育てをしたいと、宇陀市の地域おこし「仕事づくり推進隊」の一員として故郷に戻りました。このプロジェクトの一環で、ビールの醸造家をめざす人を募集していることを知り「これしかない!」と名乗りを上げ、まったくの素人から猛勉強、醸造所の開設にまでこぎつけました。
オープン後、瞬く間に話題となり、奈良の有名飲食店はもちろん、全国各地からも注文が殺到!愛する故郷の魅力を発信する場を広げています。
この冬、急ピッチで進めているのが奥大和ビールのタップルームに併設する宿泊施設の工事。遠方からのお客さんもこころゆくまでビールを楽しめるようにと、泊まれるビール工房に変身中です。
もちろん、施設のオープンに合わせて特別なビールも仕込みたいと試行錯誤しています。次々にアイデアを実現する、“行動する醸造家”に密着します。
2020年
2020年12月19日(土)放送
丹波布・備前焼 田舎ぐらしからうまれる“ものづくり”
イラズムス千尋さん・ジェイムスさん夫妻
丹波市春日野町。連なる山々に囲まれ、田園風景が広がる自然豊かな山里です。そんな風景の中に立つ、一軒の古い民家。丹波に伝わる伝統織物、丹波布の作家、イラズムス千尋さんの工房です。丹波布と認められるには4つの約束があります。手紡ぎであること、草木染であること、手織りであること。そして丹波布の最大の特徴になっているのが、織る時に緯糸につまみ糸と呼ばれる絹糸を使うこと。
工房のお隣が自宅。イギリス出身のご主人・ジェイムスさんと2人の女の子との4人で生活、のんびり羨ましくなるような田舎ぐらしを続けています。実はモノづくりの先輩はジェイムスさん。岡山・備前で本格的に修行を積んだジェイムスさんの作品は備前焼の技法を用いながらどこかモダンな雰囲気を醸し出しています。千尋さんの工房の2階はギャラリーになっていて、ジェイムスさんの器・千尋さんの丹波布を使った小物、夫婦の作品が楽しめる空間になっています。
千尋さんは大学を卒業後、旅行会社に勤務。田舎暮らしともモノ作りとも無縁だったそうです。大阪で英会話教師をしていたジェイムスさんと出会い結婚したのが、転機になりました。ジェイムスさんが、備前焼の窯元で修行することになり、岡山へ移住。その後、ジェイムスさんが独立するにあたって、千尋さんの叔母が暮らしていた場所でもあった丹波へ。丹波布の技術の伝承を目的として建てられた丹波布伝承館で学び、その後2014年に丹波布作家として本格的に活動を始めました。
丹波市内に丹波布の織り手仲間と開いたアンテナショップも運営している千尋さん。この秋は、村の地産である竹を使って糸を染め「丹波の空」をイメージした作品に挑みます。思う布に仕上げるため試行錯誤を繰り返す千尋さん。イベントでのお披露目で、お客さんはどんな反応を見せるでしょうか。
2020年12月12日(土)放送
みんなに笑顔を届けるパティシエール!
「YAKIGASHIYA LUCCA」パティシエール 谷口朋美さん
大阪府豊中市。にぎやかな商業施設が立ち並ぶ駅前の街角に毎日でも通いたくなるという季節の焼き菓子専門店があります。「YAKIGASHIYA LUCCA(焼き菓子屋ルッカ)」。小さな店内には、色とりどりの焼き菓子がずらり。メインとなるガラスケースに並ぶのは、その日、1番おいしいものを使ってアレンジするというタルトやマフィン、プリン等。何を作るかは、その日の素材次第になっているので、見てのお楽しみとなっています。
お菓子以外でも、午前中に売り切れ必至という人気商品がプルプルとした食感が病みつきになるというキッシュ。ある日の中身には、旬のさつまいもとカリフラワーにベーコン、ゴルゴンゾーラチーズが入っていました。1日でおよそ30種類ものお菓子を一人で作るという店主でパティシエールの谷口朋美さん。オーブンとともに朝から晩までフル稼働しています。
岐阜県で生まれ夢を叶えるため大阪の辻製菓専門学校へ入学した谷口さん。2年目にフランス校へ留学し、レストランでの研修も経験。帰国後は神戸・北野ホテルに就職、ザ・リッツ・カールトン大阪のメインダイニング「ラ・ベ」のデザート部門で3年。さらにアランデュカスが率いる「ル・コントワール・ド・ブノワ」で3年。名だたる名店を渡り歩きました。結婚し出産。産休・育休を経て、2012年店舗を持たずイベント出展のみで活動する「ルッカ」を設立。その後、豊中で飲食店を経営するオーナーから声を掛けられ、昼だけ営業する間借り店を開くことを決意。そして、今の形の焼き菓子専門店になりました。
そろそろクリスマスのシュトレンを作り始める時期。ラム酒に浸けたイチジク・レーズン・プルーン・クランベリーなどのフルーツとアーモンドを生地に練り込み、スパイスはカルダモンをメインにブレンド。今年はシュトレンと新作のフランス伝統菓子を出したいと意気込んでいます。
季節のフルーツをふんだんに盛り込んで美味しい焼き菓子を完成させる谷口さんに密着します。
2020年12月5日(土)放送
かまぼこの概念を変えたい!
「ハチマル蒲鉾」 店主 河内慎太郎さん
今やグルメの町として人気のある大阪・福島に蒲鉾料理の専門店「ハチマル蒲鉾」があります。店主の河内慎太郎さんが提供するのは、まるで創作料理のような絵になるかまぼこ料理の数々。自家製のタラのすり身を、その場で練って揚げる出来たてのかまぼこには、ひとつひとつに熱い想いが詰まっています。
実は、河内さんは元お笑い芸人。オープンから2年経った今も店の壁には多くの人気芸人から贈られた開店祝いが飾られています。「ジョニーレオポン」というコンビ名で活動していた芸人時代、飲食のアルバイトに明け暮れていた河内さん。そんなとき、たまたま入って食べた店のかまぼこに運命を感じたといいます。それが「八尾蒲鉾」の2代目であり、河内さんが尊敬する師匠の八尾尚さんとの出会いでした。
師匠とかまぼこの味に惚れ込み、9年間の芸人生活に幕を下した河内さんは、調理師免許を取り、師匠のお店で修行。独立して福島に「ハチマル蒲鉾」をオープンし、わずか1年後の昨年、彼にとっての聖地「なんばグランド花月」のすぐ近くに2号店もオープン。共に店を盛り上げてくれるアルバイトスタッフの多くが現役の芸人で、夢を追う若手芸人たちをバックアップしています。
コロナ禍で苦しい状況が続く飲食業界ですが、先日、2号店の1周年をお祝いすることができました。さらに、テイクアウト商品にも力を注ぐ河内さん。薄い「かまぼこシート」を開発し、斬新なかまぼこのテイクアウトメニューも考案。そして、シートを使った冬の新作メニューに取りかかります。
「かまぼこの概念を変えたい」と意気込む河内さんが向かったのは、新潟にある老舗のかまぼこ店。そこは、師匠の父の「八尾蒲鉾」の初代が修行したお店でした。いったい、どんな新作メニューが完成するのでしょうか?
新たなスタイルのかまぼこ料理を追求する河内さんに密着します!
2020年11月28日(土)放送
人間のふとした思いを彫り出す彫刻家
2B works 店主 美藤圭さん
1本の楠から日常の一コマに潜む人間模様を彫り出す若き彫刻家が兵庫県豊岡市にいます。工房「2B works」オーナーの美藤圭さん。木彫りならではの温かみと優しくユーモアのある絵付けにより生まれる彼の作品は今や全国区の人気。オーダーメイドの依頼が後を絶ちません。
彫刻作品のもととなるのは、日々のスケッチ。昔から人間観察が大好きで、鈍行列車やカフェなど、日常の様々な場面で心惹かれた個性的な人物を見ては、スケッチしていたといいます。彼の作品の特徴的なモチーフは「雲」。制作に没頭している中、行き詰まると深呼吸をするそうで、そうすると頭から雲が出ていくようなイメージが沸くのだとか。
豊岡に生まれた美藤さんは18歳の時に「ものづくりでメシを食いたい」と飛騨高山にある家具の専門学校へ入学。家具のデザイン、制作を学びました。卒業後、設計事務所、家具工房、家具メーカーを経て、22歳の時、家具職人として豊岡へ帰郷しましたが自身の家具が全く売れず、失意の中、再び岐阜へ。そこで家具職人としてもう一度研鑽を積みなおす傍ら、知人に頼まれたことがきっかけで彫刻作品の制作を開始。作品を見た人々が少しずつ話題を広げ、ファンが増えていきました。
そんな美藤さんは、この秋、大きな個展が目白押し。東京で開かれた個展には船をモチーフにした大きな作品を展示。
さらに地元・豊岡で、人々に気軽に彫刻を楽しんでほしいとの思いから、野外スペースを丸ごと美藤さんの美術館にしてしまおうというプロジェクトも始動。
飛躍する人気彫刻家の姿を追います。
2020年11月14日(土)放送
人気の竹籠バッグを生み出す京都の竹工芸職人
「竹工房 喜節」 細川秀章さん
和歌山県の山深い集落に週末と祝日のみオープンするスパイスカレーの人気店「鳥唄山馨(トリウタイヤマカオル)」があります。
オーナー店主は、3年前にこの地に移住し、犬と一緒に山暮らしを始めた元会社員の田中秀樹さん。築160年の古民家を改装したお店からは、天気が良ければ和歌山の海や四国の山並みまでが見渡せるとか。そんな自然のなかで絶景を眺めながらいただくのは、旬の食材を使った日替わりのスパイスカレー。田中さんが金曜日に仕入れる食材で、「本日のカレー」2種のメニューが決まります。
高校3年生のときから数年間、長野県白馬の山小屋で冬のアルバイトを経験した田中さん。まかないで食べたスパイス料理にハマり、自身もカレー作りが趣味になりました。その後、大阪で就職しますが、全く新しいことをしたいと41歳で退職。山小屋で仲間たちと過ごした楽しい食事の時間が忘れられず、秘境でスパイスカレーのお店をしたいと考えます。そして、和歌山県かつらぎ町の町役場が取り組む移住斡旋を知り、古民家と出会ったのです。
現在は完全予約制で、土曜と日曜、祝日のみオープンし、木曜日は町役場の駐車場で移動販売をしています。そんな田中さんは看板犬のマルタと森を散策するのが日課。また、古民家カフェを営む先輩移住者や後輩移住者、さらには古くからこの地に暮らす地元の人たちとの交流を紹介します。それぞれが語る田舎暮らしの魅力とは?
田中さんがカレー作りで一番大切にしているのは食材選び。現在、新たに開拓しているのが、イノシシの肉を使ったカレー。罠猟の免許も取得し、いつかは自分が捕まえたイノシシの肉をカレーに使いたいという願いも。イノシシの肉を活かした、新たな名物カレー作りに取り組む田中さんに密着します!
2020年11月7日(土)放送
“秘境”のスパイスカレー 移住した店主の奮闘
「鳥唄山馨」 店主 田中秀樹さん
和歌山県の山深い集落に週末と祝日のみオープンするスパイスカレーの人気店「鳥唄山馨(トリウタイヤマカオル)」があります。
オーナー店主は、3年前にこの地に移住し、犬と一緒に山暮らしを始めた元会社員の田中秀樹さん。築160年の古民家を改装したお店からは、天気が良ければ和歌山の海や四国の山並みまでが見渡せるとか。そんな自然のなかで絶景を眺めながらいただくのは、旬の食材を使った日替わりのスパイスカレー。田中さんが金曜日に仕入れる食材で、「本日のカレー」2種のメニューが決まります。
高校3年生のときから数年間、長野県白馬の山小屋で冬のアルバイトを経験した田中さん。まかないで食べたスパイス料理にハマり、自身もカレー作りが趣味になりました。その後、大阪で就職しますが、全く新しいことをしたいと41歳で退職。山小屋で仲間たちと過ごした楽しい食事の時間が忘れられず、秘境でスパイスカレーのお店をしたいと考えます。そして、和歌山県かつらぎ町の町役場が取り組む移住斡旋を知り、古民家と出会ったのです。
現在は完全予約制で、土曜と日曜、祝日のみオープンし、木曜日は町役場の駐車場で移動販売をしています。そんな田中さんは看板犬のマルタと森を散策するのが日課。また、古民家カフェを営む先輩移住者や後輩移住者、さらには古くからこの地に暮らす地元の人たちとの交流を紹介します。それぞれが語る田舎暮らしの魅力とは?
田中さんがカレー作りで一番大切にしているのは食材選び。現在、新たに開拓しているのが、イノシシの肉を使ったカレー。罠猟の免許も取得し、いつかは自分が捕まえたイノシシの肉をカレーに使いたいという願いも。イノシシの肉を活かした、新たな名物カレー作りに取り組む田中さんに密着します!
2020年10月31日(土)放送
木の文化と魅力を発信する「箱屋」5代目の挑戦
「箱屋常吉」 笹井雅生さん
明治元年。大阪・江戸堀で一人の職人が「木箱」の商いを始めました。有名料亭の料理箱や、京都都踊りの弁当箱などを手がけ、屋号は“箱屋の常吉”「箱常」です。最大の特徴は「角丸」。角型が主流だった時代に初代が考案、木箱に華やかさと柔らかさを添えた弁当箱の形です。
その職人の技を再現したのが5代目の笹井雅生さん。
東大阪市の工場から生まれる看板商品が、国産の天然杉を使って、使い込むほどに味わいが増す「おひつのようなお弁当箱」です。サイズも形も様々。百貨店の催事などでも話題の商品。
笹井さんは1968年大阪・阿倍野生まれ。家業を継ぐつもりはなく、大学を卒業後はパイロットを目指しアメリカへ。しかし、夢叶わず複数の職に携わるうち、母が病で倒れたことをきっかけに実家へ。当時、安価な中国製品に押され箱常は廃業の危機でした。笹井さんはアルバイトをしながら家業を立て直し、現在の「箱屋常吉」への道を開きました。
多忙な日々の中、新製品開発にも熱心に取り組み、木で作ったハンドバッグや、豆行灯、木のスピーカーなど次々に新作を送り出してきました。
この秋も百貨店の催事に向け、新製品の発表を控えています。今回は一体どんなものが生み出されるのか?国産の天然杉にこだわる、5代目のモノ作りに密着します。
2020年10月24日(土)放送
国際結婚カップルが淡路島で生み出すポップな藍染め
染色家 サリー・ハンコックスさん、岡田淳一さん夫婦
眼の前に海が広がる洲本市の海岸通。その一角に今年6月、一軒の藍染め工房がオープンしました。一度見たら忘れられない、大きく藍の葉が描かれた「映える」外観。その名は藍染め工房「AiAii(アイアイ)」。イギリス人のサリー・ハンコックスさんと岡田淳一さん夫婦が開きました。ふたりは2歳と4歳の男の子を育てながら、藍染め工房を営んでいます。
デザインに海外の感性が入った「AiAii」の藍染めは「おしゃれでかわいい」と好評。斬新なデザインの理由のひとつは、日用品を使った絞り染め。ビー玉を包んだり、洗濯ばさみで挟んだり、一風変わった手法でオリジナルな絵柄を作り出しています。藍染めのワークショップも予約が殺到する人気ぶり。
サリーさんが日本へやってきたのはおよそ10年前。壁画などを描くアート活動をするためにワーキングホリデーで来日しました。今では、サリーさんは洲本市の「地域おこし協力隊」の隊員でもあり、インバウンドや在日外国人へ向けて英文で淡路島の魅力を発信しています。
一方、夫の淳一さんは淡路島生まれ、明石育ち。WEBデザイナーとして大阪で働いていた時にロンドン出身のサリーさんと出会いました。今では夫婦ですっかり地元に溶け込んだ生活を送っています。
今回、南あわじ市にあるペンション「アマテラス」から、「ペンションのイメージに合うカーテン」を作ってほしいという依頼が。一枚が2m×2m。かなり大きな染め物です。夫婦の挑戦が始まりました!
2020年10月17日(土)放送
セロハンテープと紙で魅力的な動物を造形
造形作家 植田楽さん
セロハンテープと紙で生き物を作る注目の造形作家・植田楽(ひらく)さん。京都市中京区、京都御苑のすぐ南のレトロで小さなビルの中、窓の向こうに京都御苑の緑が広がる明るいアトリエから彼の作品は生み出されます。部屋に入ると、ティラノサウルスがお出迎え。恐竜の他にもワニやゴリラ、ヒグマなど独特の存在感を放つ動物たちが。これらは、全て同じ素材、紙とセロハンテープで作られています。
楽さんは1993年京都生まれ。母親がデザイナーだったこともあり、紙とセロハンテープを使ってモノ作りを始めたのは、6~7歳の頃。動物が好きだったことから、次第に動物づくりが中心になり、もう20年も、ずっと同じ素材、同じモチーフ、そして変わらぬ情熱で作品を作り続けています。
これまでに作った動物は、1000体以上!設計図は一切ナシ。書家の方からもらった半紙をベースに、骨など支えになる部分にはお菓子の空き箱を使用。紙という柔らかい素材だけに自立させるのはかなり難しいのだとか。
楽さんの作品発表の場は主にギャラリーでの個展。今年9月は西宮・苦楽園にあるギャラリーで開催されることになりました。今回はなんと70点もの作品を展示する、かなり力の入ったもの。新作づくりに余念がありません。
しかも、楽さん今回は何やらサプライズを考えているのだとか。どんな展覧会となるのでしょうか。
2020年10月3日(土)放送
コロナ禍のアート界に新風を吹かせる共同アトリエ
「スタジオGURA」 鮫島由衣さん
京都市内にある古い酒蔵だった場所が、今では若き芸術家が集い、夢を追うための共同アトリエとなっています。このアトリエの古参メンバー、現代美術作家の鮫島由衣さんが今回の主人公。彼女自身、精力的に活動するアーティストでもあり、これまでに数多くの展覧会に参加。彼女の描く躍動感あふれるペインティングは海外の美術館にも作品が展示され、大学や企業からも購入されています。一方で成安造形大学で助手も務め、後進の指導にもあたる毎日。
鮫島さんは京都生まれ。京都精華大学芸術学部版画専攻を卒業し、そこからペインティングを中心に活動、大胆で迫力のある作風を磨いてきました。
共同アトリエには今、鮫島さんを含め8名のアーティストがいます。それも全員女性。漆を使って立体の作品を作る谷川美音さんをはじめ、テクノロジーを駆使した大型の絵画作品を作るメンバーや、斬新なコラージュが魅力的なアーティスト他、それぞれに独自のアート制作に没頭しています。しかし、そんな彼女たちにも、新型コロナの影響は大きいものがありました。オープンアトリエのイベントが中止に追い込まれ、作品を発表する場を奪われてしまったのです。
なんとか、自分達で展示が出来る場所を作れないか?そこで8人で共同アトリエ内のリビングを改修し、新たなコミュニケーションスペースとなるようなミニギャラリーを作るため動き出しました。元酒蔵を所有する大家さんは、アートに造詣が深く彼女たちの理解者で、すぐにOKを出してくれました。アトリエの改修と並行して、そこに展示するそれぞれのアート作品づくりにも精を出す8人。女性アーティストたちが作り上げた夢のアトリエショーの幕が開きます!
2020年9月26日(土)放送
思わす写真を撮りたくなるかき氷
『かき氷 みしょう』 森分友美さん
桃やメロン、スイカなど旬の果物を惜しみなく使ったフォトジェニックなかき氷。かつて北新地で人気を博した名店がこの夏、中崎町に移転オープンし話題を集めています。「かき氷 みしょう」はカウンターとテーブル合わせて12席の小さなお店ながら基本、予約制となっていて、密にならない心配りがされています。
人気の秘密は何よりインパクトのあるビジュアル。インスタ映え必至!食べ進めるうちに中から出てくるサプライズな仕掛けもあり、思わずSNSへ投稿したくなるかき氷です。食べ応えも抜群のかき氷を作るのは、店長の森分友美さん。森分さん自らが目利きし、仕入れた季節の果物から提供するメニューを考えます。
以前は北新地で昼だけ間借り営業をしていたというこのお店、新型コロナの影響で2カ月間営業できず、この場所への移転を決意しました。森分さんがかき氷屋さんを始めようと思ったきっかけは、食物アレルギーがある娘のために作った手作りおやつ。娘が喜んでくれる究極のかき氷を研究しつくしたのだとか。
この秋、初めて百貨店での催事に出展することになった森分さん。新たなメニュー開発のため試行錯誤しています。かき氷の名店を食べ歩き、先輩にヒントを貰いながら試作を続ける彼女。果たしてどんな、かき氷に出会えるのでしょうか?
2020年9月19日(土)放送
逆境を乗り越え実現したコンサート
バイオリニスト SHOGOさん
その音色で、道行く人を釘付けにする注目のバイオリニストがいます。日本では珍しいバイオリンのストリートライブで人々に囲まれているのは、金髪にスニーカーというスタイルで演奏するバイオリニスト・SHOGOさん。見た目と奏でる音とのギャップも彼の魅力です。
岡山市に生まれ、5 歳からバイオリンを始めて才能が開花。数々のコンクールでグランプリを受賞し、国内外で演奏を経験するなど順風満帆でしたが、中学校でいじめを受け不登校に。卒業式にも出ないまま、家を飛び出し大阪へやってきました。苦労しながらも、音楽は諦めず、ストリートから頭角をあらわしたSHOGOさん。今ではラオスの日本大使館主催のイベントに招待されるなど、海外でも活躍することが多くなりました。今年の2月には、映画界最高峰のイベント、アカデミー賞のビューイング会場で演奏する経験も。
いつかはグラミー賞を!2020年は、その夢に向かって大きく飛躍する年になるはずでしたが、コロナ禍で思うように活動できない日々が続いています。しかし、こんな時だからこそ何とか音楽を届けたいとSHOGOさんは東奔西走、交流のある音楽家やジャンルを超えたパフォーマーを招き、8月、クラシックの殿堂「ザ・シンフォニーホール」でのコンサート開催にこぎつけました。今できることに向き合うと決めたSHOGOさん。
全身全霊を込めたステージが生まれた軌跡を追います。
2020年9月12日(土)放送
伝統の漆の技を現代アートに!
漆芸家 江藤雄造さん
古美術の修復から蒔絵、金継ぎ、漆の新感覚アートまで、幅広く手掛ける漆アーティストの江藤雄造さん。兵庫工芸展の大賞をはじめ、数々の賞に輝く注目の実力派です。
いま女性を中心に人気の金継ぎ教室。金継ぎとは、割れたり欠けたりした陶器を漆で修復する伝統技術です。漆の魅力を知るきっかけになればと、金継ぎ教室の講師を務める江藤さん。漆のスペシャリストの教室は予約がすぐに埋まってしまうほどの盛況ぶり。
江藤さんが工房を構えるのは兵庫県姫路市。作業場では作品作りのほか、漆の技術を使った修復も行っています。仏像などの文化財から割れた器まで、様々な修復の依頼は年間1000件以上。壊れた古い器を金継ぎで蘇らせる江藤さんの見事な腕前を紹介します。江藤さんが3年前から手掛けているのが“金魚”をテーマにした漆アート。ガラスの器やアクリル板に赤い漆で金魚を描いた作品は、漆の伝統の技と現代的なセンスが融合し、日本だけでなく海外でも高く評価されています。伝統の枠を超えたアート作品。そこには江藤さんの漆への熱い思いが込められています。
生まれも育ちも姫路の江藤さん。父親の國雄さんは今も第一線で活躍する漆芸家で、漆と金や銀の粉を使って描く蒔絵で斬新な作品を発表してきました。そんな父に弟子入りし、父の背中を見つめ、今の技術を身につけた江藤さん。師匠でもある父と2人で神戸市内にある日本庭園「相楽園」の大きな文化財の修復も担っています。
東京・銀座での個展に向け、江藤さんは新作の制作中。「光と影」をテーマに、アクリル板を使った様々な漆アート作品に挑みます。立体的で、まるで泳いでいるかのように躍動する金魚たち。そんな新作の数々が揃った東京での個展。その評判は…!?
2020年9月5日(土)放送
夢のお店をオープン! 若き女性店主の挑戦
「Dali」 松村萌衣さん
大阪市中央区にある船場センタービルに新しいお店がオープンしました。「船場トースト」の店『Dali』です。
注文を受けてから鉄板にバターを引きカリッと焼き上げた食パンに、ふんわりとろとろの卵やベーコンをはさむ新感覚のトーストサンドはビジネス街の女性に大ウケ!美味しさの秘密は、こだわりの自家製生食パンです。「これだけでも売って欲しい」という要望に応えて始めた1日20本の限定販売にも予約が殺到しているとか。
今年2月にオープンしたばかりですが、デリバリーにも力を入れて売り上げを伸ばし、5月には天満にテイクアウト専門の2号店をオープン!起ち上げた店主は28歳の松村萌衣さんです。いつかお店をやりたいとコツコツ資金を貯めていた松村さん。去年、韓国を旅行した際に路上で売られている人気のB級グルメを食べて「これだ!」と確信、すぐに研究を始め、このトーストを完成させました。
今回は、話題のトーストサンドの新メニュー開発に密着。新型コロナの影響で、家に持ち帰って食べる人が増え、大人が自宅でお酒を飲みながらでも楽しめて、冷めても美味しさが損なわれない工夫が必要になりました。若きオーナー店長はどんな解決法を編み出したのでしょうか?
トースト&サンドの店「Dali/ダリ」本町店
住 所 大阪府大阪市中央区船場中央4-1-10 船場センタービル10号館B134
アクセス 御堂筋線・中央線「本町駅」16番出口より徒歩1分
営業時間 10:00ー17:00 ※土日・祝月曜日・年末年始を除く
公式サイト Dali/ダリ
2020年8月29日(土)放送
花や緑のある暮らしで人々に癒しを
ガーデンプランナー 奥田由味子さん
2020年8月22日(土)放送
B’zのステージ衣装も手掛けた革職人
「赤竹工房」革職人 竹本良平さん
2020年8月8日(土)放送
器で人と人をつなぐ! 陶芸家の新プロジェクト
陶芸家 和田山真央さん
2020年8月1日(土)放送
播州織の魅力を伝えるデザイナー
「niki*」テキスタイルデザイナー 大塚美智代さん
2020年7月18日(土)放送
本田圭佑選手の元専属料理人 新店オープン!
「Funachef」 オーナ-シェフ 船岡勇太さん
2020年7月11日(土)放送
“練り込み”技法で注目される陶芸家
陶芸家 高橋由紀子さん
2020年7月4日(土)放送
人々の暮らしを模型で蘇らせるドールハウス作家
ドールハウス作家 植田定信さん(シック・スカート)
2020年6月27日(土)放送
自宅を楽しく変化させるヒント満載!
「DIYクリエイター」 村田恵津子さん
2020年6月20日(土)放送
“お酢”で故郷の町を盛り上げたい!
「飯尾醸造」5代目 飯尾彰浩さん
2020年6月13日(土)放送
ガラスの魅力を伝えたい… 新たな作品づくりに密着!
「御崎ガラス舎」 オカモトヨシコさん